
『家事労働ハラスメント』(竹信三恵子著 岩波新書)を読むと、
「働く」は「傍を楽にする」ことなはずなのに、
働く本人は、楽にさせてもらえない、それどころか、
苛め抜かれているとしか思えないようなことが書かれています。
これから書くことは、昨日の”「よきにはからえ」という実態”の続きですが、
まずは、うまく行っているケースです。
巌さんと純子さん夫婦の物語です。
純子さんが「働きたい」といっても、巌さんは反対でした。
それを、純子さんが強行突破したことで、状況は好転します。
引用と抜粋したものを、書き出します。
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巌さんは、朝早く起きると、家族全員分の弁当を用意する。
職場で「おい、愛妻弁当か」と言われるたびに、
「おれが作っているんですよ」と言い返す。
ほとんどの同僚が専業主婦という職場で、
理解者は労働組合運動にも取り組みながら
家事・育児を分担している先輩の運転手だけだ。
だが、巌さんは、いまのやり方を捨てるつもりはない。
多くの男性が、自分にとって本当に利益になることに目をつぶり、
社会に順応するためだけに懸命になっていることがわかってきたからという。
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「家庭の中で、孤独に育児をしていたころは、
本当につらかったよ」と純子さんが言うと、
巌さんは、気色ばんでやり返す。
「おれだって、家族のため、家族のためと、
せっつかれて収容所とかに放り込まれて、
強制労働させれれているような人生だったんだぞ」
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女性の低賃金が、男性の長時間労働を誘い、
長時間労働が男性の家事参加を阻んで、女性の外での就労を妨げ、
それがさらに男性の長時間労働を生む。
そんな悪巡回を、純子さんの「強行突破」が打開した。
巌さんはさらに続ける。
「家族を養うためという義務感係で働いでいたときは、仕事が好きではなかった。
でも自分のために働けるようになったいまは、
運転手という仕事が、本当に好きなんだと実感している」。
お年寄りや妊婦、赤ちゃんを抱いて通勤する父親など、
かつては、ただの数だった乗客の顔が見えるようになった。
営業マン時代のように、人間関係で神経をすり減らすのではなく、
専門技能を発揮して、乗客を安全に目的地まで運ぶ公共性の高い仕事として、
やりがいを見出せるようになったというのだ。
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純子さんが勝手に働き始めたことで、経済的にも楽になり、
夫婦関係も改善し、巌さんも自分を大事にできるようになりました。
それまでは、巌さんはこう思っていました。
「女性を働かせることは、男性としてはあってはならないこと」
「男は仕事、女は家庭」
純子さんは、パートとして働き始め、働きぶりを認められて正社員となり、
年収は、300万円を超えるようになったのです。
それを見た巌さんはこれは悪くないなと思うようになり、行動が変わりました。
残業を断り、会社の理不尽な命令にはきっぱりと反論し、
労働時間が減って体調がよくなり、非番の日には、
自分に合ったメニューで食事を作るようになって、体重は大幅に減りました。
スポーツジムにも通うようになり、
すっきりした体で、おしゃれを楽しむようになった。
というわけです。
泣き寝入りしないで、しっかり主張することで、巌さんは元気になりました。
バスの運転手ということもあり、
辞められたら困るという会社の事情もあるのかもしれませんが、
泣き寝入りしないことで、仕事はつらいものではなく、
傍を楽にするものだという実感がわいてきたのだと思います。
会社ももっと考えるべきでしょう。
人に投資して、押しつける、やらせるではなく、
自ら働きたいという職場にしていくことこそが、
企業の存在意義であるというように。
難しいことはわかるんですけど.....。
つづく