この本には、学校の先生の実態が、赤裸々に書かれています。
これは本当なのでしょうか?
私が通う小学校の先生方は、いきいきと働いておられるように感じています。
そして、私が帰る18時すぎには、職員室はかなり閑散としていたり、
管理職も早く帰られたりしているようなので、
なおさら本当だろうか?という感じはしています。
しかし、ネットで見る限り、どうも本当のようなんです。
あなたの先生は大丈夫?教師の過重労働 その果てに何が (nhk.or.jp)
教師の過重労働、教師不足と向き合う現役教師たち | 日本財団 (nippon-foundation.or.jp)
『何が教師を壊すのか』(朝日新聞取材班 朝日新書)から引用します。
この本の冒頭に、2010年前半ごろに、
この問題(学校の先生は忙しすぎる)がクローズアップされてから、
朝日新聞教育班は、力を入れて報じてきたと書かれています。
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近年、教員の働き方の問題点が最初に大きく注目されたきっかけは、
2014年に発表されたOECDの国際教員指導環境調査(TALIS)の結果だった。
この調査結果によりと、日本の中学校教員が仕事をしている時間は、
週に53.9時間で、参加34か国・地域で最長だった。
このうち授業につかった時間は、17.7時間と平均を下回った一方、
一般事務業務の3.5時間、部活指導を含む課外活動の指導の7.7時間は、
いずれも参加国で最長だった。
この結果や、その後の社会的な働き方改革の機運の高まりを受け、
2016年度には、文科省が10年ぶりに教員職務実態調査と実施した。
この結果から、小学校教員の3割、中学校教員の6割が、
「過労死ライン」ともいわれる週80時間を超える残業をしているという、
衝撃的な実態が判明した。
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ただ、このデータちょっとおかしいのです。
授業、一般事務、部活など課外授業時間を足しても、
53.9時間には、はるかに届かないのです。
残りの半分はどこへ行った?という感じなのです。
ネットで見ると、2013年の調査報告書がありました。
2014年発表なので、たぶんこれでしょう。
合計の、53.9時間もあっていますが、ほかの時間は微妙に違っています。
でも、足しても大幅に足りないのは同じです。
ほかの国を見てみると、項目の合計時間が、
合計の数字を超えているところもあり、ほんとうに信じてよいのかは不明です。
いずれにしても、これは日本の状況を反映しているのは間違いありません。
本当の民主主義の発達していない日本では、
善良な国民は泣き寝入り状態です。
この本にも、こんな言葉があります。
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「一日中仕事。教員の善意ありきで学校が成り立っているのはおかしい」
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結局、外圧でしか、政治・行政は動かないのです。
学校の先生に、「人権はあるのか?」状態とも言ってもいいくらいです。
「給特法」(1971年に成立 72年に施行)があります。
基本給に教職員調整額4%を上乗せする代わりに残業代が出ないというもので、
いくら残業しても、それはタダ働きになる制度です。
上記の外圧で、残業の上限が設けられましたが、何も変わっていません。
勤務時間の改ざんが横行しているようです。
この本にもそれは書かれていますし、
上にリンクしたネットにも、同じことが書かれています。
そんな給特法は、50年以上続いているという信じられない状況があります。
やっと来年度に見直しがされるようなのですが、
残業をつけるという方向ではなく、4%を10%にする案が有力というのですから、
あきれてものが言えません。
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極めつけはこの言葉です。
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過酷な勤務は女性(関東地方の30代教師)が若手のころから変わっていない。
教員になった直後、いきなり未経験の球技の部活顧問に任命された。
6月には大会で審判をやるように言われた。
5月の大型連休は、ルールを覚えたり、審判の練習をしたりするのに費やした。
審判着は自腹で買った。
大会の引率は休日で、土日のどちらかは部活ということが多かった。
生徒会の奉仕活動の引率などもあって、
土日の両方ともが勤務になることもあった。
5年間で年休は1日しか使えなかった。
当事肌の業界を知らなかったのこともあり、
「こんなものか」と思って我慢していた。
だが、家庭を持った今はこう思う。
「自分の子どもには絶対に教員をやらせたくない」
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いまや、特に中学校の教員は、最もブラックな職種になっています。
「だから僕は1年で教師を辞めた」 23歳元教師が語る過重労働の実態 - クローズアップ現代 - NHK
つづく