【学びの時間】子どもが育つために④ 優劣のかなた

 

『教えるということ』(大村はま著 ちくま学芸文庫)を読みました。

私は本をたくさん読むので、読んでいる本から、次の読書が導かれてきます。

この本を図書館で予約したのも、

読んだ本のどこかに、この本の存在が記されていたからです。

 

それまで、大村はまという方を知らないでいました。

なので、ちょっとだけ調べてみました。

大村はまとは – 大村はま記念国語教育の会 (omurahama-kokugo.com)

1906年(明治39年) - 2005年(平成17年)

この時期に生き、98歳10か月で亡くなるまで、

「教えるということ」に命を懸けた人だったようです。

私は、60歳より少し前に、あるワークで、自分の人生は99歳として、

それまでのステップを書きました。

もしそうなら、大村はまさんと同じです。

 

この本を読んでいるとき、さすがに古いなと感じることもありました。

しかし、この方の想いは、今でいう「教育」というものの本質だと思えます。

この先生に教えてもらった子どもたちは、本当に幸せだったなと思えます。

 

この本から、書きとったところを引用します。

 

話し合いについての言葉です。

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本当に発言が偏って少なく、多くの子どもが話す内容もなく、

したがって意欲もない、沈滞した空気になったのでしたら、

それは、話し合いの事前の指導の失敗です。

話したいことを、ひとりひとりにもたらせられなかったということです。

あるいは、話し合いの準備の時間がはじめからなかったのかもしれません。

魅力とまでいかなくても、話し合いが成立するために、

その前に準備の時間をもって、

十分話し合いの内容をめいめいがもつように指導します。

さまざまな考えをみんなの中に育てておきます。

もし教師にその考えがないとしますと、

この話し合いはできないことになります。

他の人が言わない自分の考え、ユニークな自分の案をもたせる。

そこまで持って行かないのでしたら、

そういう状態では話し合いをしないことです。

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学びの場である教室についての言葉です。

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教室に魅力があって、子どもたちが、そこで優だの劣だのということではなく、

その人なりの成長感に満ちて、それを実感して伸びている。

気がついたら、望ましき力が自分にあったというようにしたいものです。

姿勢がよくならなければいけないのなら、姿勢がよくなっていた、

というところへもっていくのが教室の魅力です。

そういうあきらかな証拠、そして、

それをひしひしと子どもたちが実感しているところに、

教室の魅力があると思います。

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教えるとは、学ばせるということではなく、

「気がついたら、自ら学んで、いつのまにか成長している」

ということを言われているのだと思います。

それは、「教える」側の先生が、学び続けることでなしえるものです。

 

ドリームマップ授業の前後に読んだ本が、印象的だったので、

職場の子どもから聞いたことも含めて、感じたことを書いてみました。

KUMONに通うその子が言っていたのは、

「この間、人がいっぱいで自分が座る席がなかったんだ」

ということでした。

学校の勉強の先取りを、

塾でさせようとしている家庭がたくさんあるということでしょう。

 

「学校が終わってから、学校で学ぶ勉強の先取りなんてしなくていいんです。

それよりも大切なことがあるんです」

それを、多くの家庭でわかってほしいと思っています。

 

大村はまという人は、「教えるということ」を通して、

子どものどんな力を育もうとしたのでしょうか?

それは「認知能力」ではなく、「非認知能力」だと思うのです。

 

これを書いている間に、また別の本を読みました。

だから、④でもおわらなくて⑤に続きます。