『教えるということ』(大村はま著 ちくま学芸文庫)を読みました。
私は本をたくさん読むので、読んでいる本から、次の読書が導かれてきます。
この本を図書館で予約したのも、
読んだ本のどこかに、この本の存在が記されていたからです。
それまで、大村はまという方を知らないでいました。
なので、ちょっとだけ調べてみました。
大村はまとは – 大村はま記念国語教育の会 (omurahama-kokugo.com)
1906年(明治39年) - 2005年(平成17年)
この時期に生き、98歳10か月で亡くなるまで、
「教えるということ」に命を懸けた人だったようです。
私は、60歳より少し前に、あるワークで、自分の人生は99歳として、
それまでのステップを書きました。
もしそうなら、大村はまさんと同じです。
この本を読んでいるとき、さすがに古いなと感じることもありました。
しかし、この方の想いは、今でいう「教育」というものの本質だと思えます。
この先生に教えてもらった子どもたちは、本当に幸せだったなと思えます。
この本から、書きとったところを引用します。
話し合いについての言葉です。
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本当に発言が偏って少なく、多くの子どもが話す内容もなく、
したがって意欲もない、沈滞した空気になったのでしたら、
それは、話し合いの事前の指導の失敗です。
話したいことを、ひとりひとりにもたらせられなかったということです。
あるいは、話し合いの準備の時間がはじめからなかったのかもしれません。
魅力とまでいかなくても、話し合いが成立するために、
その前に準備の時間をもって、
十分話し合いの内容をめいめいがもつように指導します。
さまざまな考えをみんなの中に育てておきます。
もし教師にその考えがないとしますと、
この話し合いはできないことになります。
他の人が言わない自分の考え、ユニークな自分の案をもたせる。
そこまで持って行かないのでしたら、
そういう状態では話し合いをしないことです。
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学びの場である教室についての言葉です。
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教室に魅力があって、子どもたちが、そこで優だの劣だのということではなく、
その人なりの成長感に満ちて、それを実感して伸びている。
気がついたら、望ましき力が自分にあったというようにしたいものです。
姿勢がよくならなければいけないのなら、姿勢がよくなっていた、
というところへもっていくのが教室の魅力です。
そういうあきらかな証拠、そして、
それをひしひしと子どもたちが実感しているところに、
教室の魅力があると思います。
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教えるとは、学ばせるということではなく、
「気がついたら、自ら学んで、いつのまにか成長している」
ということを言われているのだと思います。
それは、「教える」側の先生が、学び続けることでなしえるものです。
ドリームマップ授業の前後に読んだ本が、印象的だったので、
職場の子どもから聞いたことも含めて、感じたことを書いてみました。
KUMONに通うその子が言っていたのは、
「この間、人がいっぱいで自分が座る席がなかったんだ」
ということでした。
学校の勉強の先取りを、
塾でさせようとしている家庭がたくさんあるということでしょう。
「学校が終わってから、学校で学ぶ勉強の先取りなんてしなくていいんです。
それよりも大切なことがあるんです」
それを、多くの家庭でわかってほしいと思っています。
大村はまという人は、「教えるということ」を通して、
子どものどんな力を育もうとしたのでしょうか?
それは「認知能力」ではなく、「非認知能力」だと思うのです。
これを書いている間に、また別の本を読みました。
だから、④でもおわらなくて⑤に続きます。