【学びの時間】40日をジャングルで生き延びた4人の子どもたちに見る人間としての生き方

 

『殺意をえがく子どもたち』(三好直子著 学陽書房)という

1998年4月発行の本を読みました。

最初の方に、子どもの描く絵のいま昔があり、

そこに異様な絵があったと思いますが、

本の内容は、タイトルとはかなり違っていました。

1997年に「神戸連続児童殺傷事件(「酒鬼薔薇聖斗事件」)があったため、

こんなタイトルになったのではないかと思います。

本の内容は、「子育て」関する内容でした。

 

この中に、著者のこんな言葉があります。

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相談に乗るきっかけは、子どもに何らかの問題が生じた場合が多いのですが、

これまでそういう何百ケースもの相談の中で、

子ども自身のカウンセリングやセラピーが必要だったケースは、

ほんのわずかにすぎませんでした。

お母さんやお父さんが変われば、子どもの問題というのは、

驚くほど速やかに解消していくものなのです。

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子育てとは、

「子どもが一人の人間として、幸せな人生を生きていけるようにする」

ことだと、私は思っています。

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本来、子育ての最終的な結果は、

大人になって結婚して子どもを産んだときに、

十分に父親・母親としての役割を果たすことができるかどうか、

ということにかかっているものと思います。

それでなければ、人類の健全な存続自体が危ぶまれてしまうでしょう。

そしてそのためには、勉強だけではなく、

かつてのように「お手伝い」を通して、

ある程度家庭的なことにも慣れておくことが必要なのではないでしょうか。

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いまどき、結婚して子どもを育てるのが幸せな人生だというと、

バッシングされるかもわかりませんが、

それが様々な理由でできない人もいるということを認識したうえで言えば、

私自身は、それが人間にとっての本質的な幸せではないかと思ってます。

ところが、それが、人生のなかで一番難しいのです。

私には、それが十分できなかった、そんな負い目があります。

それは、長男としてちやほやされたからではないか?????

小さいときからお手伝いをすることの大切さが、今ではわかります。

 

そんな矢先、

コロンビアの原住民の子どものたくましさを物語るニュースがありました。

13歳にして、過酷な環境で生きる術、

そして、自分の子どもを育てる術まで知っていると思えます。

今のいわゆる文明人は、人間の本質ではない人生を生きているのではないか、

そんなことを教えられた気がします。

この子たちは、亡くなった親や身近な大人たちから授かったもので、

生き延びることができました。

私は、子どもに生きるすべを教える自信はありません。

また、私自身も、親からそんな子とは教わっていないのです。

いいか悪いかは別にして、

それが現実なのだということを知っておく必要があると、感じました。

 

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これまで母親講座などで早期教育に対して反対意見を述べたりしますと、

「それでは私たちは子どもに何をしたらいいのでしょうか」

と質問されることがたびたびありました。

それに対して「何もしないのが一番です」と答えると,

質問したお母さんはとても困惑した顔をされます。

しかし、子どもの積極性や自主性、社会性、創造性、行動力、意志力など、

そういう人格的な要素を養っていくためには、

実際、大人は下手に手出しをしないことが一番なのです。

以前の子どもたちは、豊かな自然のなかで、

近所の仲間たちと時がたつのも忘れて遊びまわっているなかで、

自然にそういう能力をつちかっていました。

ところが、戦後の高度経済成長のなかで、

まず子どもたちが遊びまわれる「安全な空間」がうばわれ、

教育産業はゲーム産業など、

企業の利潤追求主義に巻き込まれて「自由な時間」がうばわれ、

その結果、一緒に遊ぶ「仲間」や、

父親をはじめとする「豊かな人間関係」もうばわれてしまいました。

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私は、いまのなんでもありの企業の利潤追求には、深い懸念を持っています。

私自身、ゲームや教育産業で働きたいとは決して思えません。

その社会汚染から子どもを守ることができるのは、

心ある大人たちではないかと思います。

 

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親が子どもを心配するのは、一見親の愛情のように見えますが、

実は親自身の不安の投影であったり、子どもの力をいま一つ信じられない、

ということでもあります。

また親の過剰な心配は、

とかく子どもからチャレンジ精神をうばってしまいますし、

なによりも問題なのは、

そうやって親の全エネルギーを小さな子どもにくけたならば、

子どもは押しつぶされてしまうことになりかねません。

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私が毎日接している小学校の子どもたは、

人間としての本来の楽しさを知っています。

どの時代でも、子どもは同じだと思います。

子どもの未来を、大人が奪ってはいけない、

イキイキのびのび育ってほしいと心から思っています。

 

もう一つの本があります。

『ノッポさんの「小さい人」となかよくできるかな?』

(高見のっぽ著 小学館)

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子どもをどうこうしようと考えるより、

まず大人が“自分自身をどう育てるか”を考えるほうが先でしょう、

と言ったんです。

親は、自分を基準に子どもを育てるわけですから、

自分はどうなりたいかを考えたほうが早いです。

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大人は子どもの鏡だということですね。