またいい本に出合いました。
この本には示唆に富むことが書かれているので、
いくつかのポイントに沿って書いてみたいと思っています。
第一章の「ファクトを知る」の最初の小見出しは
「新聞やテレビのニュースは信じられるのか?」です。
軍事費の倍増、マイナンバーカードのゴタゴタ、
そして、そんな状況にもかかわらずの政府のごり押し(保険証との一体化)、
異次元の少子化対策などなど。
正直、あまりにもお粗末なことが、平然と進められていて、
ジャーナリズムからも、本質的な議論は聞こえてこない。
そう感じています。
軍事費の倍増は、意味不明のいわゆるショック・ドクトリンなのでしょう。
東京オリンピックの汚職のごとく。
どこかに得をする人たちがいるとしか言いようがありません。
有事の際に実践で戦わない人たちが、
軍事・戦争を食い物にすることを許していいとは言えません。
しかし、ことは粛々と進められています。
私は、保険証と一体となったマイナンバーカードを持ち歩きたくありません。
これについては、国民一人ひとりにかかわることなので、
きっと、今の政府の思惑は頓挫して、やり直しになるでしょう。
これもまた、国民のための政策ではありません。
国民を効率的に管理することを第一義に置いた政治・行政のための政策です。
そして、異次元の少子化対策というのがあります。
その内容を詳しく読むつもりはないですが、調べてみると、
中身を大まかにとらえることのできる記事がありました。
「異次元の少子化対策」の中身となる 「こども未来戦略方針」が決定!具体的な内容とは? – マネーイズム (all-senmonka.jp)
子育て支援の金を振舞うことしか議論されていないと思っていましたが、
やはりその通りのようです。
この中には、こう書かれています。
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これらの政策は、少子化の根本的な原因である
「経済的な不安」「社会的な孤立」「子育ての負担」
を解消することを目的としています。
具体的には、以下のような施策が盛り込まれます。
- 保育料の無償化や減免の拡充
- 子どもの医療費の無料化
- 子どもの預かりサービスの拡充
- 共働き家庭への支援
- 子育てしやすい社会環境の整備
- 子どもの権利の尊重
- 子育てに関する意識改革
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少子化の根本的な原因である
「経済的な不安」「社会的な孤立」「子育ての負担」
の前の二つはどこへ行ったのでしょうか?
施策のほぼ全部が、「子育ての負担」軽減のためですね。
まさに異次元の少子化対策です。
異次元の意味は、的外れということです。
『「居場所がない」人たち』(荒川和久著 小学館新書)の内容に入ります。
著者はファクトを大事にしています。
私たちは、ファクトを正しく理解しているでしょうか?
政府やジャーナリズムの語るファクトは、信じていいのでしょうか?
著者は、こう言います。
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数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う。
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新聞やテレビの数字は、そのまま鵜呑みにすると、
理解や判断を誤ることがあるように思います。
都合のいい数字だけが使われているかもしれないのです。
しかし、一般の私たちにはどうしようもありません。
できることは、ひとつのデータだけでなく、
他の人がどういっているかを調べてみたり、
質の良いと思われる記事や本を読んだり、
信頼できるものを選別していくことしかなさそうです。
私には、肌感覚があります。
小学校の放課後子ども教室のお仕事をしているので感じることがあります。
放課後子ども教室に来る子どもたちの中には、
一人っ子もいますが、かなり少数派です。
兄弟姉妹のいる子どもが大半で、
兄弟姉妹で参加する子たちも少なからずいます。
中には、3人、4人兄弟姉妹というのがあって、そんなに珍しくないんです。
いちばん多いのは、6人という家庭もあります。
この本にはそれを裏付けることが書かれていました。
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一人の母親が産む子供の数の比率は、1980年代とほぼ変わっていない。
むしろ3人以上の出産の比率は、
第二次ベビーブーム期の1970年代より多いくらい。
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少子化対策というのは、一家庭の子どもを増やすのではなく、
家庭をもてない人たちに家庭を持ってもらうのが本質だと、
私はずっと思ってきました。
著者は、「少子化ではなく少母化」だと言います。
母になる人が少なくなっているというということです。
私は、母だけでなく、父もそうだし、結局は「少親化」だと思うのです。
晩婚化、非婚化、さらに離婚の増加が、
「少子化」の本質的な原因だと思うわけです。
なぜ、晩婚化するのか、非婚化するのか、そして離婚するのか?
この原因を徹底的に追究して、そうならないように対策を打つのが筋でしょう。
「少子化対策」とは根本的な「社会変革」だと思います。
でも、そんな議論を私はまだ聞いたことがありません。
政府に期待しても、子どもが増えるとは思えません。
やはりこれからは、草の根レベルの活動、コミュニティの活性化だと思います。
この本から、あと少し引用します。
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「足らない」を思うのではなく、「何を足せばいいか」を考える。
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「結婚したら幸せになれる」のではなく、「幸福な人が結婚している」のだ。
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しあわせとは、ウェルビーイングではなく、ウェルドゥーイングなのである。
仕事で何をしているのか、友人、恋人など人間関係の間で何をするのか、
今ある予算のなかで何ができるのか、
コミュニティのなかで自分はどういう役割を果たすのか、
同じ人間であっても、時と場所と相手によって何をするかは変わっていく。
常に一定の行動も状態もないのだ。
状態や名詞ではなく、動詞として、
しあわせを常に動く時間のなかでとらえるという視点があれば、
案外、しあわせはいつでもたくさん感じられるものだったりするのではないか。
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つづく