【学びの時間】子は親の生き方を引き継ぐ


日々6-10歳くらいまでの子どもたちに接していて感じるのは、

ひとりひとり、みんな違うということです。

そんな子どもたちの中には、いまは元気でも、

「心の病」になっていく子もいるのだということを、

頭の中に入れておく必要があります。

 

その意味で、とっても響く本に巡り合いました。

----------------------------------------------

「言ってほしかった言葉」は、「ごめんね」ではなく「ありがとう」。

----------------------------------------------

この言葉は、私にとって大事な言葉だと、最近感じることがありました。

 

それはさておき、この本に書かれていることの中で、

メモした内容を記述していきます。

 

----------------------------------------------

子どもが大人になっていく心の発達のプロセスは、

何もない白紙の状態から心を作り上げていくようにイメージされている。

しかし、実際はそうではなくて、

必要なものを作ることと、不要なものを切り落としていく作業とが、

同時に進行しているように思える。

生まれて間もない神経細胞は、

あらゆる方向に神経の突起を伸ばして連絡を作り、過剰な回路を持っている。

成長するにつれて、必要な結合だけが強められ、

不要な結合は除去されて、神経回路が完成する。

これを神経突起の”刈り込み”という。

脳をつくるための重要プロセスである。

----------------------------------------------

 

第一反抗期について

----------------------------------------------
「自分だけでできる」ことをやってみたい。

そのために心理的には「従わない自由」を獲得する必要がある。

だから敢えて「反抗」する。

何度も試して反抗してみる。

そうして親と一緒に歩くこともできるし、自分ひとりでも歩ける、と、

その両方が確認できると、反抗は止む。

生まれて初めての自由の獲得だ。

行動の自由を手に入れた子供は、これから思春期までの約10年間、

貪欲に親の生き方を学び、価値観を取り入れ社会を理解していく。

学童期である。

----------------------------------------------

 

不登校・ひきこもりの3つの原因

----------------------------------------------

  1. 発達障害::害の内容と程度を正しく理解し、その子に合った環境を整えてあげる。
  2. 精神障害(主に統合失調症):疾患の治療が必要。
  3. 親子関係が要因のひきこもり:子が親の辛い生き方を引き継いだために起こる「社会的ひきこもり」

酒乱の父親がいるとする。

お酒を飲んで機嫌が悪くなると、母親をなじり、ときには物を投げて暴れる。

そんなときに女の子や父親の側に座り、父親の機嫌をとろうとする。

一方、男の子は、自分の部屋に入り、一生懸命に勉強して、

母親の期待に応えようとする。

大きくなったら、僕が助けるよと。

性が違うから、男の子はお母さんと同じようには生きられない。

彼らは、母親を支えようと病気になる。

女の子は、お母さんとまったく同じ生き方をなぞることができる。

だから、彼女らは、母親のように生きようとして病気になる。

------------------------------------------------

 

摂食障害が回復する4段階

------------------------------------------------

  1. 単なる思春期のダイエットと思っている時期
  2. 親が病気と認識する段階: 親子がまったくすれ違っている時期
  3. 病気の原因が親子関係に由来すると理解する段階: この段階では、拒食症⇒過食症が起こる。多くの親は、第2段階で精神科を訪れ、第3段階に到る。親の理解が進むと、子どもの症状はいくぶん和らぎ、この段階で問題が終息することも多い。
  4. 母親が自分の生き方を振り返る段階: 子は親の生き方を引き継いでいるから、子どもの極端な自己抑制の原因は母親の生き方に源がある。母親と一緒に生きようとしている娘の辛さが取れるためには、母親自身の辛さが解決されていなくてはならない。そう気づいて母娘とともに回復する。

-------------------------------------------------

 

私が主に接しているのは、学童期の前期から中期にかけての子どもたちです。

子どもは親の生き方を学びます。

母子家庭、父子家庭、などなどいろんな家庭の事情があるので、

親というのは「両親」であるとは、簡単には言えません。

しかし、「両親」がいても、日本の場合は、母親だけの子育てというのが、

過去もあり、いまもあります。

 

最近、『縛られる日本人 人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか』

(メアリー C.ブリントン著 中公新書)を読みました。

 

いま世の中「異次元の少子化対策」という言葉が聞かれます。

おじさんたちの思想から生まれる政策は期待できそうにもないのですが、

本質を見てほしいと思っています。

その意味では、政治家自身が変わらない限り、

効果的な政策は生まれないでしょう。

この本には、日本の構造的問題がしっかり書かれています。

実は、日本の制度自体は、世界的にみてもしっかりしてるのです。

しかし、世のなかの風潮・因習や思い込みが、

たとえば「男性の育児休暇取得」を阻んでいるのです。

自分からマスクをとりたいけど、周りがしているから、

自分からはできないという人が多いことにも似ています。

 

「男性が働いて稼ぐ」というのが大前提となった社会構造が続いています。

働き方改革と言いながら、

会社優先、仕事優先の中での改革にとどまっているのではないか、

そう思えてなりません。

家事や子育てのほとんどが女性の負担となっている、この問題を解決するのは、

女性の待遇を改善することではないと著者は言っています。

男性が家事や育児をやろうとしても、長時間労働他でそれどころではない、

という、企業社会の構造があります。

「会社(仕事)ファースト」ではなく、

「家庭ファースト」のマインドとしくみを作っていくことが先決なのです。

そうでなければ、父親不在の構造は解決できないでしょう。

「両親」のいる家庭では、

子どもが「両親」の生き方を引き継いで行けるようになることが大事なのです。

 

これは、これらの本を読んで私が思い感じたことです。

これに対して、私にできることは非常に限られています。

でも、できることはあります。

 

「子は親の生き方を引き継ぐ」と書かれていますが、その通りでしょう。

だから、親はとっても大事なんです。

しかし、子どもは多くの大人に接することで、

親以外のさまざまな大人からも学んでいくはずです。

私は、その中のひとりで、放課後子ども教室に来る子たちは、

家と学校を往復する子より、親以外のおとなに接する機会が多いのです。

これはとっても大切なことだと、改めて感じています。