【学びの時間】共に成長する

この本には、私がこれまで学んできて、思っていること、

このブログにも何度も書いてきたことが、いっぱい書かれています。

たとえば、これです。

 

-----------------------------------

男性を仕事ばかりに吸収してしまった社会は、

家庭や地域に男性不在をもたらします。

社会における男女の棲み分けが改善されない現状は、

たとえば「ケアは女性の仕事」といった、

子どもにも偏ったジェンダー意識を植え付けることになります。

子どもに豊かな人的環境を提供する第一歩は、

いまだに改善されない育児不参加の男性を、育児支援に引き込むことです。

退職後の男性は、いろいろな社会参加を模索していますが、

子育てが退職後の活動として注目されることはほとんどありません。

しかし、子どもとの触れ合いは、

それまでの職業一辺倒の生活には得られなかった体験として、

新たな自己発見にもなるでしょう。

幼い子どもの活き活きとした姿に、新たな活力を得られることもあるでしょう。

母親をはじめ、女性ばかりの養育環境にあって、

多様な刺激を与えられる男性の登場を子どもたちは大歓迎するでしょう。

-----------------------------------

 

今回はこの本から学びます。

まずは、<子育て不安>です。

-----------------------------------

日本の子育てをめぐる現象として顕著なのが「育児不安」です。

育児をしている人、すなわち母親がイライラや不安を感じている。

そうした心理をさす言葉です。

-----------------------------------

 

「育児不安」について、書かれていることを整理してみるとこうなります。

 

母親に育児に関する不安は大きく2つに分けられる

  1. 子どもの行動にイライラする、子どもの育ちに心配がある、しつけがうまくいかない
  2. 母親であるとともに自分の生き方も確立したいと焦る(が、なかなかできない)、以前ほどものごとが楽しめなくなった、親としての責任に縛られている(親である以外のことができない)、友だちとつき合う機会が少なくなった、
  • 不安は、2の現在の自分についての心理的ストレスのほうが、1の育児・子どもがらみの不安・焦燥より大きい。
  • 育児不安は、無職の母親のほうが、有職の母親より大きい。

無職の母親の育児不安の3つの要素

  1. 社会からの孤立感
  2. 「自分」喪失の不安
  3. 夫との関係の不満

ある母親の言葉

  • 子どもはかわいい
  • 子育ても問題なくやっている
  • 子どもはすくすくと育っている
  • 自分自身もいいお母さんだと思っている
  • 手抜きもせず舵をやり主婦として妻としてよくやっている
  • でも「一人のおとなとして生きている」という実感がない

夫との関係の不満について

  • 日本の男性は、家族は持つが「家族はしない」、父親になるけれども「父親はしない」
  • すなわち多くの場合、育児に父親不在と言える。
  • このような父親不在は他国にはあまり例がない。

 

<子どもの観点・視点>

  • 赤ちゃんは未熟で無能である一方、有能な能力を備えている。
  • 子どもは自ら学び、自ら育つ力を持つだけではありません。その力を発揮できたとき、子どもは最高の満足と自己有能感を持ちます。そしてさらに、新しい活動を展開していきます。
  • 日ごろ、「勉強、勉強!」とやかましくいわれつづけてきた子が、「お母さんは勉強もせず、楽をしているのに!」と抗議したという話は辛辣ですが当を得ています。
  • 子育てに奔走するだけで、自分の成長、自分自身を育てることをないがしろにしている親を眼にして、子どもは、親が自分に要求していることに反するモデルであることを見抜きます。
  • 子どもは幼いときから多様な人への強い関心をもち、他と交流することを楽しむ存在であり、自ら学ぶ力をもった発達の主体です。子どもは親のしつけの受動的な受け手ではありません。「自らの発達の能動的なプロデューサー」ともいえる存在です。

 

<子育てとは>

とっても大事なことが書かれています。

これは、先日書いたこの続きでもあります。

【ライフワーク】ある児童の一言 - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

 

-------------------------------------

子どもたちにとって親が成すべき重要なことは、

子どもをしっかりみて、子どもの気持ちや特性を尊重し、

応答的な対応を取ることです。

これは特別な知識や教育方法はいらないので、

それほど難しいことではないように思われます。

しかし、現実には、そのことができない親が多いのです。

 

子どもをしっかりみて、応答的な態度で接するには、

親自身が不安を抱え込まず、心理的に安定していることが前提となります。

すなわち、親自身が生きているという実感や、

自分の将来に対して希望をもてなければ、

子どもにゆったりした気持ちで向き合い、

子どもをありのまま受け入れることは困難です。

 

親の幸福感と心理的安定の基盤である親の自己成長・発達は、

子どものモデルとしても重要です。

すでに述べたように、有能な観察学習者である子どもは、

口やかましくいわれること以上に、親がどうふるまっているか、

どう生きているかということを、自分のモデルとして学びます。

---------------------------------------

 

「多様な刺激を与えられる男性の登場を子どもたちは大歓迎するでしょう」

これは60半ばの男性である私の実感です。

子どもたちとの触れ合いの場は、人生の大きな学びの場です。

世の多くの定年退職後の男性にとって、この学びを体験できないのは、

大きな大きな「自分自身」と「子どもたち」と「社会」にとっての損失です。