『こどもホスピスの奇跡』(石井光太著 新潮文庫)より
僕ら夫婦がホスピスに共感できたのは、
祐大と後悔のない満足した日々を過ごすことができたからだと思っています。
市総合医療センターで原先生から祐大の病気は治らないと言われたときは、
魂が抜けたような気持ちになりました。
でも、あとで原先生がかけてくれた言葉は、
そんな考え方を大きく変えてくれました。
原先生はこう言ったんです。
「このまま抗がん剤治療をしても、
祐大君は病室で苦しんで亡くなっていくだけです。
自分はそんな子をいやというほど見てきたし、
あとで親が子どもに何もしてあげられなかった
と後悔する姿も見てきました。
そのことを知っている医師として、
自分はあなた方を同じようなつらい目にあわせたくない。
必要ないのは、
治る見込みのない幼い子どもに苦しい治療を強いることじゃなく、
子どもの残された命を充実させてあげることだと思います。
それができれば、祐大君もご両親のもとに生まれてきたことをよかったと思うし、
ご両親も祐大君を授かってよかったと思えるはずです。
そういう幸せの見つけ方もあるんじゃないでしょうか」
写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
散歩中に撮った写真を適当に貼っています。