『子どもの社会力』(門脇厚司著 岩波新書)の「はじめに」に
こういうことが書かれていました。
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最近のわが国の子どもや若者にみられる変化とは、社会学者の目から見ると、
「社会的人間として育っていないのではないか」
という疑念をつのらせるものだということである。
他者への関心や愛着や信頼感がなく、
自分が住む生活世界について具体的なイメージを描けないということは、
社会を作り維持していくために必要な何かをなくしていることではないか。
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著者がそう考えるようになったのは、1980年ころのことです。
1980年 金属バット両親惨殺事件
1983年 横浜山下公園 少年10人による浮浪者のなぶり殺し事件
こんな事件がありました。
この「はじめに」だけを読んだ限りでは、
これはよくない傾向として書かれているな、そんな印象を受けました。
「最近の若者は」というような風潮に触れるたびに思うのは、
「それは若者の責任ですか?」ということです。
若者の問題というより、大人の問題でしょ!と思うわけです。
これを書いているときも、ニュースで、
銀座の高級時計店の強盗事件の報道がなされていました。
実行犯は高校生だということでした。
闇バイトの虜になる若者たち、
いや、大人を含めた人たちのニュースが絶えない時代になってきました。
そんなおいしい話はありえない、強盗の検挙率は99%もある、
そんなことがわからないで、安易においしい話に飛びつくという
刹那性というか軽率性が蔓延している感じです。
これはどう考えても、おかしな状況であることは間違いなさそうです。
スマホに囚われて、現実の人の営みが見えていない人が目に着く今、
事態は、より難しい方向に向かっていると言わざるを得ないと感じています。
個人的に最も気になっている現状です。
さらに著者は続けます。
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わが国の若い人々に欠けているのは、
社会の適応力というより、自らの意志で社会を作っていく意欲と、
その社会を維持発展させていくのに必要な資質や能力であると考えている。
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正直こんなこと、私にもできないし、
どれだけの大人ができるんだろうと思えます。
1940年生まれの著者自身はそんな社会力を持っているのかもしれないけど、
同世代の人たちの多くが持っていると思っているのだろうか、
そんなことを思います。
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社会化される子どもが、社会化を促し助ける大人たちと同じように考え、
同じように行動し、同じような意味で言葉を使うようになれば、
社会化は正常になされたことになる。
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そもそも社会化ができていない大人のまねをしたから、
「社会的人間として育っていない」若者になったのではないのだろうか!
そう思うわけです。
結局、本文を読み進めると、そうなったのは、
やはり、子育てであり、教育であり、大人の問題出ることがわかります。
著者は、responseとresoponsibirityについて語ります。
- response = 応答する
- responsibility = 責任を果たす(誰かにある任務を依頼され、引き受けた任務をきっちり成し遂げる)こと
子どもの働きかけにきっりち応答すること、
それがまさしく大人の責任であるということだと言います。
そしてこう続けました。
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子どもが仕掛けてくる行為の意図を敏感に察し、
それに応じて適切な行為を返す(response)ことができる能力(ability)を
備えていること、それが子育てにかかわる大人の責任であるということ。
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要は、今の大人にそれができていないということなのでしょう。
結局どうすればいいのかというと、こういうことです。
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家庭でも、地域でも、学校でも、そして街の中でも、子どもたちが他者と、
とりわけ大人たちと相互行為をする機会や場がどんどん失われていた。
このままでいいはずはない。
子どもや若者をまっとうな人間に育てるために、
大人たちは自分の責任をきっちり果たさなければならない。
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そのポイントはこの3つだそうです。
- 父親たちの生活態度を変える
- 子どもと関わることを喜びにする
- 学校と地域とに積極的に関与する
1.が日本における最大のポイントだと、私自身の反省をこめてそう思います。
いまどきの娘夫婦は違っていて、孫娘は幸せだなと思う次第です。
やはり行き着くところは、
「子どもたち同士、そして子どもと大人との触れ合い」なのです。
大人が元気な社会、コミュニティで子育てする社会、
早くそんな社会にしていく必要があるんです。
【学びの時間】スマホより楽しいものは? - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)
現実を嘆いてもしかたがありません。
スマホより楽しい実態のあるコミュニティ、それを実現していくことが大事。
そのために、Solがいて、i-ze(いーぜ)があり、
ドリマ先生その他、スマホより楽しいことを知っている仲間がいる、
そのご縁を大切にししていくこと、そして広げていくこと、
やることはそれだけあんだよね!