【学びの時間】いまどきの若者?

 

『ゆるい職場』(古屋星斗著 中公新書ラクレ)を読むと、

最近の若者は...というより、職場が変わっていることがわかります。

最近の若者は、かなりの比率で、早い段階で会社を辞めます。

「仕事がきついから」という理由は当然あるものの、

逆に「仕事がゆるいから」辞めるというケースも多数あるようです。

新入社員として入社した会社で、

一度も「叱られたことがない」という若者も多数いるのです。

それも、大手企業ほど、そんな傾向があるようなのです。

 

最近の若者は扱いにくいと思うがゆえに、

また、すぐ辞められては困ると思うがゆえに、

企業は「ゆるく」なってきたのでしょうか?

いまの私には、企業の状況はわかりません。

わからないのですが、会社人から社会人になるために、

いろんなサードプレイスに出かけていた頃、

私が接した若者たちから感じたのは、すごく前向き、

やりたいことがハッキリしている、行動力があるということでした。

一方、大丈夫だろうかという街で見かける若者たちもいて、

二極化しているのではないかと感じていました。

 

いずれにしても、だからどうするという企業視点の本の内容は、

今の私には関係ないので、興味のあるところだけピックアップしてみます。

 

-----(引用)-------------------------

調査結果を分析すると、2016年以降とそれ以前において、

入社前の社会的経験の有無がもつ意味が

まったく異なっていることがわかっている。

かつては若者は、”白紙 ”であった。

真っ白な紙のような若者に、入社後企業が様々に書き込んでいく。

しかし、現状は、白紙の状態を学校での活動で、

すでに塗っている若者が存在している。

 

ただ、学校での活動を考えるうえで欠かせない日本の学校選択には

いくつか大きな問題が存在している。

その一つが動機なき選択という問題である。

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ということで、以下のデータが紹介されていました。

 

------(要約)---------------------

リクルートワークス研究所の「2013 Global Career Survey」

(進路選択の特徴の国際比較)では、

日本の学生の特徴は、「ギリギリに選ぶ」ということです。

大学2年次までに卒業後の進路を決めている学生は、わずかに15.8%。

これは、東アジアの中国・韓国と比べてもかなり低く、

アメリカの57.7%には遠く及びません。

 

一方、高校生の進路選択においても、

就職者の57%、進学者の約40%が、3年生までに進路決定していないのです。

文科省の21世紀出生児縦断調査

(2001年生まれの子どもたちに毎年調査)によると

進学先の選択理由の主な2つはこれです。

  • 将来就きたい仕事と関連しているから 41.9%
  • 合格できそうだから 37.0%

入学後の満足度は、このふたつで違っています。

  • 将来就きたい仕事と関連しているから: 50%が満足
  • 合格できそうだったから: 27%が満足

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選択理由が「合格できそうだから」は、男子で39.1%で最多だということです。

ということは、「将来就きたい仕事と関連しているから」の数字は、

女子によって引き上げられていると推測できます。

ドリームマップ授業の経験でも、具体的な将来のイメージがあるのは、

女子の方が高い傾向があると感じています。

 

私にとって、ちょっと不思議に感じたのは、以下のことです。

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日本の若者には、「学校を決める自由」がある.。

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やりたいことが、特にあるわけでもなく、

目の前の模試の結果によって志望校を決めるような若者なのに、

行く学校は、他の国の若者よりも、

自分で決めることができているようなのです。

 

------(要約)--------------------------

2022年日本生産性本部(世界各国の18歳)の調査結果

「自分は大人だと思う」という質問にイエスと答えたのは、

日本27.3%、アメリカ85.7%、イギリス85.9%、中国71.0%、韓国46.7%

と圧倒的に低いのが日本の若者です。

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その一方で、こういう状況があるようです。

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入学する学校を自分の意志や希望で選択できるか?

日本は、イエスが最も高く、ノーは最も低い。

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このアンバランスを著者は「動機なき選択」と称しています。

 

自分は大人だと思っていないのに、行く学校は自分で決めている。

不思議ですが、自分で決めているというより、

実際には、親の思惑が刷り込まれていて、

自分で決めていると錯覚しているのでしょうか?

 

絵本「はじめてのおつかい」が、この本の中で触れられていました。

これは日本ならではの社会的現象です。

日本では、基本的に登下校は子どもたちだけで歩きます。

一方、子どもを公共の場でひとりで歩かせた場合、

育児放棄とみなされるのが欧米です。

アメリカなどでは、スクールバスが必ずあるし、

親が必ず登下校の送り迎えしています。

最近は危うくなってきたとはいえ、日本ほど安全な国はありません。

だから、子どもを、小さな大人として育てるという面もあるのでしょう。

日本の特徴は、お手伝い、学校で子どもが自分たちだけで登下校、

学校にお掃除時間がある、などなどがあり、

そんな経験を通して、外面は大人びていきます。

 

日本では「素直な子」が「いい子」だと、

一般的には思われている節があります。

「素直な子」とは、

大人にとって「心地よい」「都合の良い」子どもだということです。

素直に育つと、親はいつまでたっても子どもだと思っているし、

子どもも、大人になり切れないまま、

高卒とか大卒で社会に出ていくということなのかもしれません。

 

私は、いまどきの若い人との交流が現時点では希薄です。

これからは、そんな場が増えていくのではないかと期待しています。

児童・生徒が大事なことは明らかですが、

若者たちとの接点も必要だと感じています。

先日書いたブログ、就活支援のベルーフのことが思い浮かびます。

 

この本のタイトルとは関係ない所で、思考を試行錯誤してみました。