『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』(金間大介著 東洋経済新聞社)
の目次はこうなっています。
- 先生、どうか皆の前でほめないで下さい
- 成功した人もしない人も平等にして下さい
- 自分の提案が採用されるのが怖いです ー 自分で決められない若者たち
- 就職活動でも発揮されるいい子症候群 ー ひたすら安定を求めて
- 浮いたらどうしようと、いつも考えています ー 保険に保険をかける人間関係
- 頼まれたら、全然やるんですけどね ー 社会貢献へのゆがんだ憧れ
- 自分にはそんな能力がないので ー どこまでも自分に自信のない若者たち
- 指示を待っていただけなんですけど ー 若者たちの間に広がる学歴社会志向とコネ志向
- 他人の足を引っ張る日本人 ー 若者たちが育った社会
- いい子症候群の若者たちへ ー 環境を変える 自分を変える
この目次を見るだけで、「いい子症候群」とはなにかがイメージできます。
実際、こんな感じなのだそうです。
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いい子症候群の行動原則
- 周りと仲よくでき、協調性がある
- 一見、さわやかで若者らしさがある
- 学校や職場などでは、横並びが基本
- 5人で順番を決めるときは、3番目か4番目を狙う
- 言われたことはやるけど、それ以上のことはやらない
- 人の意見はよく聞くけど、自分の意見は言わない
- 悪い報告は、ぎりぎりまでしない
- 質問しない
- タテのつながりを怖がり、ヨコの空気を大事にする
- 授業や会議では、後方で気配を消し、集団と化す
- オンラインでも気配を消し、集団と化す
- 自己を含むグループ全体に対する問いかけには反応しない
- ルールは守る
- 一番嫌いな役割はリーダー
- 自己肯定感が低い
- 競争が嫌い
- 特にやりたいことはない
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さらに、こういう特徴もあるようです。
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- 板書(最近はスライド)はちゃんとノートに写す。
- ここは大事だと言われれば下線を引く。
- 座席指定されたら従う。
- でも、わからないことがあっても質問しない。
- 講師が間違ったことを言っても指摘しない。
これが、一般的な講義における、今の大学生の反応だ。
一言でいえば、活気がなく、リアクションが薄い。
慣れていない人(かつ意欲のある人)が初めて教壇に立つと、
激しい空回り感にめまいを覚えるかもしれない。
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それでは、どうしたら活気のある講義ができるのだろうか?
とても簡単に白熱教室を実現できる方法が一つだけある。
最近では、質問やコメントを簡単に送ることができるアプリがたくさんある。
それを活用し、講義中に投げかけた質問にスマホで答えてもらい、
適当なハンドルネームで登録していいことにすれば、匿名性は保たれる。
アプリの画面を講義室のスクリーンに映し出せば、
自分自害の聴講者がどんな質問をしているかを見ることができる。
こうすると、質問やコメントがじゃんじゃん届く。
場合によっては、送信されるコメントが多すぎて目が追い付かない状態になる。
(中略)
質問が出るのは、匿名だからじゃなくて、スマホだから?
そうではない。
大事なのはあくまでも、匿名性であり、つまりは目立たないことが重要なのだ。
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昭和半ば生まれの人間からすると、理解できない若者たちですが、
目次は別にして、ここまでだと、何も若者に限らず、
大なり小なり日本人って、こんな感じじゃないの!と思えます。
だいたいにおいて席は後ろから埋まるし、気配を消そうとするし、
悪い報告はしないし、質問もあまりしないですよね。
そして、仕事ばかりしていると、
仕事以外に特にやりたいことがないという人も多いように思えます。
私も、大勢の中で質問はしないなと思います。
でも、「いい子症候群」って、それだけではなさそうなんです。
写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
手元にあった写真を適当に貼っています。