『人生の悲劇は「よい子」に始まる』(加藤諦三著 PHP文庫)より
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自分の力を用いて自分の可能性を少しでも実現するということが、
生きる目標にならないで、
相手に弱みを見せないということが目標になってしまう。
自我の基盤が脆い人は、このように相手と”かかわって”しか生きられない。
「相手にとっての自分の意味」が「自分の価値」になるから、
相手にかかわらざるを得ないのである。
自分の価値に自信のある人は、人にどう思われるかということで、
自分の生きる目標が影響されたりはしない。
だが、そうでない人は相手にとっての自分の意味が、自分の価値になるから、
幸せになることより、幸せに見られることが重要になってしまう。
つまり自己中心の人というのは、自分の内面に自分の拠り所がない人である。
自己中心とは自己不在なのである。
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「よい子とは」で検索すると、こういうのが出てきます。
【『よい子』は要注意】親にとって都合のよい、自己実現力に欠ける子とは (gakken.jp)
とても分かりやすいです。
ポイントは、子どもたちの未来は、
親や大人、社会によって左右されてしまうということです。
その結果としての「自己不在」、そんなことがあるのだろうかと思えますが、
上記の本や、下の写真の本によれば、
それが、一般的な今の若者たちの特徴のようなのです。
その内容の一部がこの記事の中で語られています。
テンプレ型の教育で増えた「いい子症候群」の若者 「最近の若者は…」と嘆く前に大人がやるべきこと | 東洋経済education×ICT (toyokeizai.net)
著者は、現役の大学教授で、日々多くの学生と接してきています。
その中で、大学生のあり方について感じるものがあり、研究を進めました。
大学生を含む現在の若者たちを主な対象として、
彼らが抱える複雑で微妙な心理を解読するために、この本が書かれました。
2022年3月の発行なので、まさに今の若者たちの状況が書かれています。
わかりやすく、楽しく、下手なジョークを交えながら書かれていますが、
あくまで現役のモチベーション X イノベーション研究者としての著作です。
単なる経験や思考実験の結果のみで書いているのではなくて、
多くの内容は学術的な問題意識に基づく、
エビデンス・ベースド(データと論理で構成されるアカデミックな世界)を
かみ砕いて書いていると著者な言っています。
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彼らとともにキャンパスで過ごす日々の中で、
少しでも明るい未来を築いていこうと努力する若者たちが、
少なからずいることを著者は知っている。
若者たちからは、本当に多くのことを教わる。
そして、もし変わる必要があるとしたら、
それらは彼らではなく大人が作った社会のほうでだと、強く感じさせられる。
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私が日々接している児童たちが、
10年後にどんな若者になっていくのだろうか?
そんな関心事をもって、この本に書かれている
「いい子症候群」の学びの散歩道を行ってみたいと思っています。