『頭のよい子が育つ家』(四十万靖・渡邊朗子著 文春文庫)を読みました。
本の趣旨は、頭のよい子が育つ家庭ではなく、「家」だったんです。
でも、結局は「家庭」です。
家庭内のコミュニケーションが、この本のポイントでした。
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個室があろうがなかろうが、子どもたちはみな家族の気配が感じられる空間を
「自ら選んで」勉強している。
「頭のよい子」とは、単に「勉強ができる子」ではない。
好奇心が強く、物事をよく観察し、考え、問題があれば、
果敢にチャレンジする感性と創造力に優れている子。
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「頭のよい子」は、往々にして五感に優れている。
その五感は、どこではぐくまれるのか?
そのひとつが、子どもたちが原体験を得る「家」である。
「家」で楽しく生活することで、子どもたちの五感は引き出され磨かれる。
受験で成功するのは、その「結果」の一つに過ぎない。
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家庭の先にあるのは、コミュニティのようです。
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これからは、頭のよい子が育つ街(コミュニティ)から考えていく必要がある。
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コミュニティという意味では、別の本にこんなことが書かれていました。
『町の未来をこの手でつくる』(猪谷千春著 幻冬舎)より
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「家族がいたから、ここで働けているなと思っています。
家族を幸せにできないのだったら、町を幸せにできるわけないですよね」
逆にいえば、幸せな町には幸せな人生があるのかもしれない。
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「これから何をやらなきゃいけないかというと、
形に残らないまちづくりなんです。
教育、健康、福祉、食。
僕はこの4つのコンテンツを充実させていこうと思っています。
紫波町の付加価値を高めるのは教育。
その発信拠点にしましょうと教育委員会は言っています。
教育がまちづくりの基本なんです」
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いいコミュニティだと思います。
この本の著者は異色です。
四十万(しじま)という人は、エコス・コーポレーションの代表です。
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エコス・コーポレーションは、
人と環境にやさしい家づくりをさまざまなかたちで支援する
「住まいの総合コンサルティングの会社」なのです。
日本のおうちの理想像を追いかけることをしていて、
理想は、家族が和気あいあいとコミュニケーションをとっている家でした。
お友だちや近所のひとや親戚が気楽に上がり、
いっしょにお茶したり世間話をしたり、ときにはご飯を食べたりするような、
肩の力の抜けたおもてなしができるような家。
そんな家族や友人や地域のひとびとのコミュニケーションがあった空間が、
家族のあいだで記憶されるような懐かしさをまとった家を求めていました。
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そんな理想の「家」を追求するために調査を行いました。
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「有名中学にお子さんが合格した家」は、エリート家かもしれないけど、
受験受験と連呼して殺伐としているに違いない。
だから、「有名中学合格家庭」の現状を徹底して調査すれば、
日本のいまの家をとりまく問題、古きよき日本の住文化が失われ行くさまが、
浮き彫りになるのではないか... ーこんな仮説を立てた。
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しかし、調査結果は、思惑とは正反対だったのです。
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有名中学にお子さんが合格した家は、普通の家以上に、
子どもが、お父さんお母さん兄弟と仲良くコミュニケーションをとっていた。
子どもたちが子ども部屋で勉強していない、
お母さんがいるリビングやダイニングのテーブルやちゃぶ台で勉強している。
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著者は、子ども部屋の必要性を否定してはいないけど、
自ら勉強しようとする子は、自分の部屋に閉じこもって勉強しないようです。
それから考えると、有名中学に合格する子のいる家庭では、
中学受験が目標になっていないということかもしれません。
両親の仲がよく、家族のコミュニケーションが豊富で、
家庭に居場所があるということのようです。
先日、ドリームマップ授業をしてきた小学校は、
5人に4人は、中学受験する学校で、
試験の前には、学校に投稿せず、試験勉強をするような地域でした。
子どもたちが、希望の中学に行けるのかどうかはわかりません。
私は、中学受験を否定はしません。
実際に、ある事情で、息子は中学受験をして合格しました。
そこには、さまざまな理由があるでしょう。
気になるのは、子どもたちはそれを望んでいるのかということです。
ちょっと長くなりそうなので、ここで区切ります。
3回の予定が、多分4回になりそうです。