【学びの時間】本番はいつ来るのか?

私はたくさん本を読みますが、ほとんど読み飛ばしている感じです。

最近読んだ『孤独の哲学』(岸見一郎著 中公新書ラクレ)も、

そうだよねって思って読んだのですが、大半はするっと過ぎていきます。

この本の中でいちばん響いたのは、この部分でした。

 

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若い人であれば、今の人生を。

きたるべき本番の日のためのリハーサルだと考える人はいるでしょう。

そのような人は、子どものころから、

「将来成功するためには、今はしたいことがあっても我慢して勉強しなさい。

今、頑張っておけば後で楽ができるから」

というようなことを大人から言われ、

未来に本当の人生があると思い込まされてきたのです。

自分でもそう信じて疑わず、成功者として生きられると信じて、

今の喜びを犠牲にしてまで一心不乱に勉強しても、

その努力が報われるとは限りません。

 

行きたいと思っていた大学にはいれなかったり、大学に入ったのに、

コロナ禍で講義を満足に受けれれなかったりというような

思いがけない出来事に遭遇し、

輝かしい本番の人生などどこにもなかったと気づくことがあります。

 

たとえ首尾よく希望する大学に入れたとしても、

受験勉強の苦労は、その後の人生で経験する苦労と比べれば、

大したものではありません。

この先何があろうと、今が本番です。

先の人生のために、今を楽しまない生き方を、私は好ましいとは思いません。

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共感するのはこの言葉です。

「この先何があろうと、今が本番です」

 

ここに引用した内容はなるほどなと思います。

しかし、私自身は、

「将来成功するためには、今はしたいことがあっても我慢して勉強しなさい。

今、頑張っておけば後で楽ができるから」

と言われたことはないし、子どもにも言ったことはありません。

だから、世間ではこんなことが起こっていそうだという気はしますが、

実体験としては、よくわからないのです。

 

ただ、これを読んだときに、思い出した子がいます。

2年前に、こんなことを書いています。

無理して強くなるの? - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

この後、その女の子は、何度か放課後子ども教室にやってきました。

結構やんちゃというより独りよがりで、男の子たちとトラブルを起こします。

お母さんとは会っていませんが、参加カードには、

男の子からこんなことをされたので、

よく見てください的なことが書かれていたりします。

きちんと対応しますとは返事はしましたが、

私が見る限り、どちらかというとその子の言動の方に問題があったりします。

 

結局、しばらくして、その子は来なくなり、

2年生になってからは参加登録すらしていないので、

いま3年生になってどうしているかはわかりません。

 

私が感じるのは、その子はかわいそうだということです。

この子の将来はどうなるのでしょう?

 

私は、大人が決してやってはいけないことは、

子どもの将来を奪うことだと、何度も書いてきました。

【学びの時間】主体的に生きるために大事なこと - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

 

私のライフワークや夢は、子どもたちの自主的・主体的な将来のためにある、

そういうことだと思っています。

しかし、このような子を、直接救うことはできません。

また、親が問題だけと、親がダメだだとも言えません。

言ったとしても、私にはどうしようもないことです。

実際には、その親にもその親がいて、

今の親があるのは、過去育ってきた経緯があるからなのです。

 

多くの親や子どもが、

閉じられた世界で閉じられた価値観で生きてきているからだとすれば、

子どもの成長は、コミュニティで支えるほかないと思うわけです。

 

幸福はいつどこにあるのか?

将来にあると思いがちです。

しかし、幸福は、今感じられるかどうかにかかっています。

いま幸福だと感じられない人がいるとすれば、どうしたらいいのでしょう?

 

それは、正直分かりません。

ただ、私は、キーワードはコミュニティだと思っています。

多くの人が、いま自分は幸福だと感じられる、

それが、

「ここいまタウン」というコミュニティの仕組みであり、あり方なのです。

 

おまけです。

いま読んでいる本にも、幸福について書かれていました。

 

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『絶対悲観主義』(楠木建著 講談社α新書)より

 

ダンデミスという人が言っています。

「他人の幸福をうらやんではいけない。

なぜなら、あなたは、彼の秘かな悲しみを知らないのだから」

 

「幸福になるのは、自分の好きなものを持っているからであり、

他人がよいと思うものを持っているからではない」

(ラ・ロシェフコー『箴言集』)

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