【学びの時間】いい子じゃなきゃダメ?

『<いい子>じゃなきゃいけないの?』(香山リカ著 ちくまプリマー新書)

に書かれている数々、私には実感がないんです。

 

私が接してきた子どもたちは、わが娘、わが息子、

孫はまだ2歳で、愛情に包まれて幸いにもかわいく育っています。

学童クラブ、そして今の放課後子ども教室で関わっている子たち。

だいたいが年齢10歳くらいまで。

わが子やその子たちを見ている限り<いい子病>ではなさそうです。

 

そして、ドリームマップ授業をしてきた小学4年、6年、

中学1年、3年、わずかながら高校1年。

そんな子どもたちの自己肯定感の低さが気になったりしますが、

いい子に見える子たちもたくさんいます。

それはわずか1日のお付き合いだから、実情はよくわかりません。

 

でも、世のなかで起こってきた事件の記事や、

この本に書かれていることは、現実にあることのようなのです。

今回は、特にコメントなく、引用に徹します。

 

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「もうテレビゲームは止めなさい」と言われると、

すぐに忘れてゲームに夢中になる子が多い中、

<いい子病>の子は、「そうかゲームをしちゃダメなんだ」と思い込み、

自分の生活のルールにする。

親は気づかず、「うちの子はゲームになんかほとんど興味がない。

それより本を読むのが好きみたい」と信じてしまう。

多くの<いい子病>の子たちは、

「がんばっていい子をやっていると、親にばれないようにすること」

というルールも作り従っている。

 

がんばって<いい子>になると、

親や先生からは「あなたは本当にいい子だね」とほめられる。

だから、「よしこれからがんばって、もっといい子になるぞ!」となる。

しかし、さらに努力が必要で、はっと気がついたときには、

心やからだのエネルギーがすり減っている。

これが<いい子病>。

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親たちは「そんなに無理していい子でいてくれなくてもよかったのに。

ダメなところも自然に見せてくれればよかったのに....」という。

親は子どもが<いい子>でいれば喜ぶが、

無理してまで<いい子>でいてほしいとは、まったく思っていない。

<いい子>でなくなったらきらいになる、見捨てるとも思っていない。

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「きらわれたらどうしよう」「ダメな子になったら見捨てられるんだ」

とおびえながら、<いい子>を演じる子どもたち。

心の中には、自立心や自分らしさも芽生えてきているのに、

親や先生が「こうしなさい」と言ったら、

「したくないな」と思っても「はい」と従ってしまう子どもたち。

彼らに共通しているのは、

「自分に自信のない」「自分があまり好きじゃない」ということです。

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ある中学校の保護者調査

  • ほとんどの親が「うちは何の問題もない」「本当にいい子で助かっています」と答えた。
  • 学校では教師に反抗的だったり、友だちをいじめたり、授業中に寝てしまったり、クラブ活動をさぼろうとしたりと、家庭とは別の顔を見せるとのこと。

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診察室で多くの親子を見てきてはっきり分かったこと。

  • 親のために完全な<いい子>になったとしても、その子はそれだけで100%満足な人生は遅れない。
  • 親は、子どもが<いい子>なところを見たいわけじゃない。自分らしくいきいきと生きている姿を見たいのだ。

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ただひとつ言えることがあります。

いまの世の中、子どもたちに、

やたらルールを守らせようとするきらいがあるということです。

私も実はそうしています。

放課後子ども教室で、大勢の子と接していると、どうしてもそうなります。

教室では走らない、机に乗らない、などなどのルールがあります。

今は、室内ではマスクをすること、

外から帰ったら手を洗うことなどもそうです。

 

小学校低学年の子どもは、どこでも走ります。

先生も、子どもたちが廊下を走ると、

「走らない!」と大きな声で叱っています。

 

しかし、大人になって、あくまでも無意味に無邪気にですが、

オフィスの中を走っている人はどれくらいるでしょう。

食卓の上に座っている人はどれくらいいるでしょう。

 

まだわけのわからない小さいときから、

やたらと大人の価値難を押しつけると、

子どもたちにとってよいことはなにもない、

私はそう思っています。

 

躾より、ほめること、いっしょに楽しむこと、これだなと思います。