【学びの時間】過去からの延長ではない未来の自分の姿

今月はすでに、小学6年生と中学1年生のドリームマップ授業に参加しました。

両方とも、すごくいい感じで、達成感のあるドリマ授業になりました。

全員が一日、自分の夢に向き合い、自分を知り、夢を描き、発表しました。

ただ、一クラス30人前後の子どもたちがいるので、

途方にくれたり、しっかり向き合えなかったり、苦しんだりする子がいます。

また、授業を聞いていなかったり問題行動をとる子もいたりします。

そういう子たちに、どう接していけばいいのか、いまだにわかりません。

また、私は、放課後子ども教室で多くの子どもたちと接する仕事をしているので、

やんちゃな子たちにどう対応していけがいいのか、日々難しいと感じています。

だから、子どもや教育に関する本をこれまでたくさん読んできました。

 

そして今回、この本に巡り合いました。

ドリームマップ授業と重ね合わせて読みました。

 

実はこの本、図書館にはありませんし、図書館では買ってももらえません。

教師のための学習参考書的なものとみなされているようです。

だけど、本屋で見たときに、この本を読んだ方がいいよ、

この本が語っていたように感じたので。珍しく買って読むことにしました。

 

『できる教師の「対応力」』(大前暁政著 東洋館出版)に書かれていることを、

かみしめ、自分のあり方を考えながら、ここに書いていきます。

そのままの引用や常体で表現したもの、まとめたりしたものです。

 

「教師」とはどんな人のことでしょうか?

「教師とは、子どもの自己評価を高める人のことである」と著者は言います。

 

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「授業中、手悪さをする子、おしゃべりをする子、反抗する子がいます。

どう対応すればよいのでしょうか? うまい対応の仕方を教えてください。」

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若い教師からのこのような質問に、著者はこう答えます。

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「よい授業をすれば、すべて解決します」

 

「子ども対応」は目的を達成するための「手段」にすぎない。

授業中の態度が悪いのであれば、

原因は教師の側にあるのではないかと考えた方がいい。

私たち教師は、いつも次のように考えないといけない。

「その子が悪いのではなく、その子以外に原因があるのではないか」

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「よい授業」とはなにかは、著者は教えてくれません。

定義できるはずもないでしょう。

「よい授業」という手段のまえに、やるべき本質的なことがあるのです。

 

著者はこう表現しています。

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教師なら誰でも、ダメな行動が目に付くものです。

やんちゃな子や、失敗の多い子、反抗的な子ばかりに目が向くのです。

そして、個別に対応し、指導する時間が増えるのです。

個別指導ばかりでは、子どもは疲弊してきます。

教師も疲弊してきます。

両者にとって良いことがないわけです。

そうではなく、まず全体の雰囲気をよりよいものにすべきなのです。

よい行動を先に示し、よい行動をとっている子を認めていくのです。

そうすれば、全体の雰囲気がよくなります。

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具体的にはどうしたらよいのでしょうか?

この本で一貫しているのは、こういうことです。

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  • 未来のゴールが決まれば、「現在あるべき自分の姿」も決まります。
  • 「現在あるべき自分の姿」を新しい自己イメージとして、強く意識させます。
  • 新しい自己イメージに慣れ親しめると、自然と考え方・行動も変わります。

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ドリームマップは、現在の自分を知り、夢を描くと、

夢と現在の自分とのギャップがわかり、

夢に向かう行動が見えてくるというものです。

この本の内容とは、考える順番はちょっと違う感じがしますが、

両方とも、バックキャスティングの思考法だと思います。

 

著者は続けてこう書いています。

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しかし、この対応を行っても、子どもの行動が変わらないとしたら、

その子のほかに原因があることが多いのです。

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その場合には、授業のやり方を変えるなど、「手段」を変える必要があるのです。

ドリームマップ授業は、そういう意味では、「いい授業」と言えそうです。

どうしてかは、あとで書きます。

 

長くなるけど、大事なことなので、腹落ちさせるために続けます。

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子ども対応で意識したいのは、「行動の目的」を考えること。

「親子関係が原因だ」と考えても、解決には時間がかかるので、

「原因」に目を向けつつも、「目的」に目を向けてほしい。

 

「友だちに悪態をつく」という行為には、さまざまな目的がある。

  • 「友だちに勝って自分の地位を高めたいから」
  • 「馬鹿にされたくないから」
  • 「先生にかまってもらいたいから」

 

しかし、子どもが目的を意識していないことがあるので、

教師が目的を「推論」(過去を調べて現在の状態を考える)して、

行動を修正して指導するということをする。

それでうまくいったとしても、大きな労力を使っても、

いじわるが減ったという結果しか生まない。

 

だからこそ、「目的の自覚化」が必要。

  • 「より望ましい自分の未来の姿」を目的(ゴール)として決める。
  • そこから逆算して、「現在あるべき自分の姿」を考える。

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この考え方は、そのとおりだと思うのですが、問題行動を起こす子たちに、

未来の自分の姿を考えさせるってできるのだろうかと思いました。

そこで最初の、この言葉があるのです。

「教師とは、子どもの自己評価を高める人のことである」

 

自己評価を高め、「自己イメージ」をよりよいものに変化させるためには、

いいところを見つけてほめることが大事なんです。

 

自信がない子には、

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成功体験を思い出させ、頑張りや長所を本人に繰り返し伝える。

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ことが大事なんです。

 

教師側から見た上記の3つのステップを、子どもの側からとらえるとこうなります。

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  1. 成功体験の蓄積によって、自己評価が高まる。
  2. 高いゴールを描くことができるようになり、新しい自己イメージがつくられる。
  3. 新しい自己イメージに合致した考え方・行動に自動的に変化する。

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これは、ドリームマップの、コップの水の量が増えると、夢が膨らみ、

夢に向かう行動力が生まれてくると相通じるものです。

これこそ、「ワン・ツー・スリーの法則」なんです。

  1. 思い込みや決めつけではない自分をよく知る
  2. 夢を描く
  3. 夢に向かっていく行動が見えてくる

 

この写真は、2日前に都内の中学校でドリマ授業を行ったときの写真です。

終わった後、経験豊富なドリマ先生たちのお疲れ様会で、

かつて苦労したドリマ授業の話に花が咲きました。

私も、少ないながらも数回の難しい授業を経験しています。

荒れていたり、勝手なふるまいをしていたり、聞いてくれなかったり、

しらけたり、授業にならないこともありました。

しかし、その時は大変だったけど、今となっては楽しかったねというのが、

ベテランのドリマ先生たちのすなおな感覚です。

 

ここで思うのは、私たちのように一日だけではなく、

毎日、そんな状況に直面している先生は、

たいへんを超えた状況だということです。

ドリマ先生は、「先生の応援団でもある」と言っていますが、

それもまたそう簡単なものではないでしょう。

この本を読んで思うのは、そんな先生方には、

この本を読んでみてほしいということです。

 

そうはいっても、ドリマ先生は学校の先生の応援団と言える事実もあります。

上記の「授業中、手悪さをする子、おしゃべりをする子、反抗する子がいます」に

輪をかけたような状況があっても、ほとんどの子がドリームマップを作り、

発表して終わる、そういう経験をしています。

それは、ドリマ授業が「いい授業」だからだと思います。

しかし、いくらいい授業をやっても、1日で変わるとは思えません。

しかし、全くやる気のない子、斜に構えている子、

授業を妨害するような行動をとる子、

自分に向き合うのが怖いのか机に突っ伏して何もやらない子、

おどおどした感じのある子、

そんな子たちが、ほんの少しでもドリームマップを作ったり、発表する姿に、

また、友だちや先生に助けられながら、

チャレンジしようとしているいう姿を、数多く見てきています。

 

これはいい授業だけでは、説明できません。

このクレドがあるからできることだと思います。

~ドリームマップファシリテーターのクレド~

  1. 私たちは、参加者が夢を自由に!大胆に!描くお手伝いをします。
  2. 私たちは、参加者と接する時「待つ・聴く・受け止める」の3つの姿勢を守ります。
  3. 私たちは、参加者の想いを肯定し、のびのび発言できる場をつくります。
  4. 私たちは、参加者の周りに夢を応援してくれる仲間を引き寄せます。
  5. 私たちは、参加者に夢を持って行動している姿を示します。

この精神は、こどものみらいプロジェクト「ゆめドリ」にも生きています。

こどものみらいプロジェクト ゆめドリの誕生 | 特定非営利活動法人 こどものみらいプロジェクト ゆめドリ (yumedori.or.jp)

 

本の著者が言う「未来の自分の姿」を目的(ゴール)とすることで、

今の自分が変わるというのは、まさに「ゆめのチカラ」何だと思います。

一般社団法人ゆめのチカラ | 私らしい夢がつなげる今と未来のPeace&Happiness ~ 自利・利他の視点で夢を描き、イキイキと歩みながら人生を深く味わう人を創出する ~ (dream-map.co.jp)

 

「ゆめドリ」の認定ドリマ先生たちが、

その子のあるがままを認め、大事にし、少しの努力にも称賛を惜しまず、

ひとりひとりのコップの水が増えるようにとの思いで

子どもたちに接しているからです。

過去の続きで今を見るのではなく、

好きや将来の夢(こんなことしたいな、こんな大人になりたいな)

フォーカスするからです。

だからこそ、6時間の間に、クラスの雰囲気、子どもたちの様子は、

確実に変わっていきます。

全体の雰囲気がすごくよくなっていくのが、肌で感じられるのです。

 

この本に書かれていることを実践しているのがドリマ先生だと思います。

本当にやりがいを感じます。

 

すごく長くなりました。

でも、この本には、他にもいくつもの大事なことが書かれていたので、

それも書いておきます。

 

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「叱る」とは、「立腹+批難」ではなく、次のようなことです。

  • その行動を選択すると、よくない未来が待っていることに気づかせる。
  • その行動は本来の自分にとってふさわしくないことに気づかせる。
  • 挽回するために何をしたらいいのか、方法を一緒に考え、励ます。

「叱る」という行為を、

その子の自己評価を高めながら「現在あるべき自分の姿」を

強く意識させるための行為ととらえたほうが、生産的です。

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  • 自分の価値を認めているからこそ、他人や共同体の評価も認められる。
  • 自分の事が愛しいから、他人や共同体も愛しい存在として感じられる。

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協力とは、「自分の短所は、他の人に助けてもらい、

チームとして良い結果を残すこと」を意味します。

平たく言えば、「それぞれの弱さを補い合う」ということです。

相手に頼りながらも、自分の強みを生かすのです。

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「互いに」が成立するにはまず、「自分が先に行う」ことが必要になる。

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