3冊の本をもとに、時代の流れについての思考の散歩道を歩いてみます。
『日本が滅びる前に』(泉房穂著 集英社新書)を読みました。
”明石モデル 子育て”で検索するとたくさん出てきます。
その一つが、これです。
第8話まである大作で、本に書かれていることが、網羅されています。
第1話は「暴言の謝罪」です。
「明石から5つの子育て支援モデルを全国へ」【明石市 泉房穂市長・第1回】 | ママスタセレクト (mamastar.jp)
この泉房穂という方は、男性性の典型のような人ですが、
明石市でやってきたことは、素晴らしいです。
本には、こんな言葉がありました。
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私は市長になったときから、
- すべての子どもたちを
- まちのみんなで
- 本気で応援すれば
- まちのみんなが幸せになる
と言い続けてきました。
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「ここいまタウン」の想いと同じで共感します。
この方は織田信長的存在のように思えます。
信長が本能寺で倒れたように、
パワハラで辞職せざるを得なくなってしまいましたが、
明石モデルは、全国に広がりつつあるようです。
『男子系企業の失敗』(ルーディ和子著 日経プレミアムシリーズ)
からメモした内容は、こんなことでした。
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人間関係や他者との助け合い、
生活の質といった目標に重きを置く「女らしさ」と比較して、
富とか業績や成功といった自分のプライドを満たす目標に重きを置く
「男らしさ」のほうが、競争心や攻撃性が高く、不安からストレスも蓄え、
結果として、損失に敏感になり、損失への適応や許容ができなくなる。
だから、損失回避性が高くなる。
同僚と比較して、自分だけ遅れられない環境において、失敗は致命的だ。
日本は、良い成績を残しても、さほど評価されないが、
失敗には厳しい社会であるからだろう。
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これを読むと、泉房穂さんは、
損失回避、失敗を恐れて何もしないとは180度違うので、
男性性の典型とは言えないのかもしれませんね。
以下を読むと、女性性の比較的高いのが日本の社会と言えるのかもしれません。
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ドイツは、国民をどちらかと言えば労働者だと捉えて、
労働者の権利に重きを置いてきた。
日本は、消費者だと捉えて、消費者の権利を重視していると思える。
日本人は、値上げについても品質についても、
消費者の立場から意見を主張することが多い。
日本人は、物価が高くなることには敏感で、反対の声を上げるが、
賃金が上がらないことには、それほど抗議の声を上げない。
「男は仕事で、妻は家庭」という性別分業をしてきた結果だといえる。
そのうえ、家庭の「財布の紐」は、女性が握っているために、
消費における購買意思決定権も女性にある。
女性を代表とする日本の消費者は、
賃金の上下よりも物価の上下に敏感となった。
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『AIの壁』(養老孟子著 PHP文庫)にある
新井紀子(数学者)氏との対談の新井さんの言葉です。
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- 落としどころを探るといいのが、女性の共通の傾向かもしれませんね。結婚して子どもを育てていると、原理主義では生活が成り立ちませんから。まあまあ、この辺で、みたいな感じになります。そうじゃないと、何回離婚すれば済むんですかという話になってしまいます。ある意味、理不尽にさらされた生活者である女性の知恵ですかね。
- 社会を作ってきたのも、枠を作って競争したいのも男性ですよね。どうして競争して一等賞を決めたいのか、全然理解できません。
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大事にしていかなければならないのは、
競争に勝つことではなくて、日々の生活の質なんです。
余談ですが、新井さんは、AIの研究者でもあるので、
こういうこともまかれていました。
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AIの一番の問題は、
すべてがデータに基づいて予想したり判断したりしているところです。
しかも、それを積み重ねていることです。
データというのはすべて過去のことです。
今も昔も人間は変わらない、
時間の経過があっても人間は変わらないという前提がないと無理なんです。
でも、そんなことありえませんよね。
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2日前に書いたブログ 【学びの散歩道】ヒルの時代に向けて@とあるカフェ
で登場したkoji-kinさんの「ヨルの時代」から「ヒルの時代」への転換は、
「男性性の時代」から「女性性の時代」への変化でもありました。
それは、必然ともいえるように、
男性性の社会が行き詰ってしまったからにほかなりません。
今まさに、男性性の時代の終わりが始まっていて、
女性性の時代が力強く芽吹きつつある、そんな感じがしています。
写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
散歩中に撮った写真を適当に貼っています。