16日(土)国立市の矢川プラスの1周年記念の特別イベントに参加しました。
司会役の、細野直哉さん(矢川プラス館長)と3人のゲスト
汐見稔幸さん(東京大学名誉教授)
星山麻木さん(明星大学教授)
井本陽久さん(いもいも教室主宰)
すごいメンバーでした。
この写真は、始まる前の様子です。
初めに、3人のゲストそれぞれのお話がありました。
トップバッターの井本さんは、こんな方でした。
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アエラ、朝日新聞他、新聞雑誌などで多数紹介。
その生き方と活動は、
おおたとしまさ著『いま、ここで輝く。』(エッセンシャル出版社)や
NHK総合『プロフェッショナル仕事の流儀』で詳しく紹介されている。
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おおたとしまささんの本は図書館で予約することにしました。
井本さんのお話の冒頭は、授業形式でした。
- もし、100万円もらえたとします。
- さらに、くじ引きのチャンスがあります。
- 2枚のくじがあり、一つは外れ、もう一つは300万円もらえるというものです。
- くじ引きしますか?という問いです。
隣の女性は、くじは引かないという答えでした。
私は、もともとなかった100万円なので、くじを引くといいました。
期待値の話がありました。
くじが当たる確率は50%なので、くじ引きの期待値は150万円です。
100万円<150万円、すなわち期待値からすれば、
くじを引く方がいい、でも、話はそう簡単ではないですよね。
会場には100人近い人がいたので、それだけの人数が対象の場合、
全員が儲かる解があります。
それは全員がくじを引くということ。
確率的には50人前後が300万円もらえるわけだから、それを山分けすれば、
間違いなく全員が100万円より多くもらえるのです。
期待値や全員が儲かる方法は、貴重な学びです。
しかし、この学んだ答えは、学んだ人にとって正解になります。
正解が得られると、それがよりどころとなり、
その学びを頼りにすると、自分で考えていないということになるわけです。
教えることで得られた学びは、考えることを奪ってしまいます。
だから、教えない、大事なのは、結果よりプロセスです。
「自分」というものには、2種類あります。
「社会的存在としての自分」と「ありのままの自分」。
これまでの学校は、前者に重きが置かれていました。
社会的な自分があるがままの自分よりも、はるかに大きくなることがあります。
場合によっては、ほとんどが社会的な自分になってしまったりもするのです。
それでは困ります。
これからの学校に求められるのは、あるがままの自分でいられる場。
次は、星山麻木さんです。
一般社団法人 星と虹色なこどもたち | 星山麻木オフィシャルサイト 星山研究スタジオ・音楽ムーブメント・サポーター育星プロジェクト (hoshiyama-lab.com)
大学教授でもあり、保育のための研究をされていて、そのひとつ、
ごく普通の保育園で調査した結果が紹介されました。
N数143のデータ、横軸が知的発達、縦軸が感覚の敏感性のグラフから、
知的発育も敏感性もこれだけのばらつきがあるのがわかります。
これを見ながら、この子たちが小学生になって、みんなまとめて、
学年別の同一教育を受けたとしたら、どういう結果になるのか?
同じ歳のデータではないとは思いつつも、そんなことを考えていました。
この中の上の方に8人(5.6%)の点がプロットされています。
一つの保育園で、これだけの感覚過敏の子たちがいるのです。
親も保育士も知らないケースがほとんど。
この子たちは、毎日騒音に囲まれているのだから、
できることもできなくなりますね。
「私たちは、黒でも白でもなく。みんなステキな虹色」
だと星山さんは言います。
個々の色を大切にする教育が求められています。
最後の汐見さんは、資料なし、その場で出てきたことを語るやり方です。
【汐見稔幸さんが語る】子どもの伸ばし方・非認知スキルのはぐくみ方。オンラインセミナーも! | HugKum(はぐくむ) (sho.jp)
- 子どもにとって長い時間を過ごす学校は、楽しいところであってしかるべき。しかし、現実は、我慢するところ、自分を出せないところになっています。
- 大学の教育学部では、いかに教えるかを教える。本当は、子どもはいかに学ぶかを教えるところであるべきなのです。
- 荒れた学校では、職員室で子どもの悪口ばかりだった。先生を総とっかえして、その学校は見違えるようになった。先生自身が、自分でいることができることによって変わった。自分一人でやらなくていい、ひとりの人間としてあればいい、わからなければ聞いたらいい、頼ればいい、ということです。
ここから先は誰の発言かわからないけど、メモを見ながら書いてみます。
- 園や学校の長は、職員を信じて任せることが仕事。保護者からの意見やクレームは、自分が受け止めて対応するという姿勢が必要。
- 海外には職員室がない。職員室はカフェ的なもの。
- 親同士が仲良くし、先生を応援することが望ましい。
- 親は、子どもの縦(見えていない将来)を大事にするだけでなく、横(今のつながり)をもっと大切にすること。
- 親は、子どもを信頼し、余計なことを言わない。
- 学校は、午前中、自らが学んでいくカリキュラムをやり、午後は、自分の好きを生かす学びをすればいい。
- 先生は、成果を見るのではなく、プロセスを見て感動する存在であってほしい。そうすれば、子どもはあっという間に変わる。
- 最近流行っているこの歌は素晴らしい。RADWIMPS 正解(18FES ver.) 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)
- なんとかしてやろうというのではなく、一緒に考えるという姿勢が必要。
- 学習指導要領は、その通りやれとは言っていないというのが文科省の姿勢。それゆえ、堀真一郎さんの「きのくに子ども村学園」が存在する。
- 子どもが将来必要になる知識や技術を教え、身につけることを教師に要求するするのは無理である。それを無理やり求めるから、教師は、宿題を出す、提出物を求める、親に状況を伝える、などのポーズをとるのである。
- 教材つくりにはセンスが必要。それを教師に押し付けるのにも無理がある。
- 教師の精神疾患が増えている。(今日もモーニングショーでやっていた。精神疾患で休職の公立学校教員 過去最多 初の6000人超 20代が高い増加率 要因は? 教員不足 サポートが課題 | NHK | 教育
この中で、一番衝撃的だったのは、文科省の姿勢です。
学習指導要領はMUSTではなく、あくまでもガイドライン。
それに従わなくてもいいということ。
文科省の柔軟な姿勢には驚きました。
しかし、普通の公立の小中学校が、大きく変わるとも思えません。
まったく柔軟ではない、各自治体の教育委員会、各学校の校長、
そして何よりも、頭の固いの保護者がいるからです。
そうであっても、「きのくに子ども村学園」「イエナプラン」などなど、
いろんな学校が生まれてくる、いろんな選択肢が増える、
その可能性があるということです。
そこに光明があると思えるようになりました。
「こども家庭庁の基本的なビジョン」というのがあるのを知りました。
幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン (はじめの100か月の育ちビジョン)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
詳しくは読んでいませんが、このサイトの動画と「やさしい版」を見ました。
とってもいいこと言っていますね。
少なくとも方向性は、その通りだと思います。
あとは、どうしていくのか、子ども家庭庁がどこまで本気で取り組み、
特にお金の面で、政治がそれを支えるのかです。
いま何よりも大事なのは、何をさておいても、
子どもがのびのび育つためにお金をかけることだと思うわけですから。
【学びの散歩道】ヒルの時代に向けて@とあるカフェ - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)
私の周りにいる多くの人たちの想いや、昨日のこのブログに書いたこと、
そこから確実に言えるのは、実施していくための受け皿は、
ふんだんにあるということです。
【学びの時間】カレイドスコーピックな世界へ① 土から風へ - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)
たしかに、今は「風の時代」の幕開けであり、
昨日学んだ「ヒルの時代」がやってきている、そう実感できます。
そんな変化に立ち会えるって、ワクワクしますね。
なんだか、ちょっといい気分!