『オッサンの壁』(佐藤千矢子著 講談社現代新書)
題名に惹かれて読んでみました。
納得の「オッサン」の定義がありました。
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私が思うに「オッサン」とは、男性優位機設計された社会で、
その居心地の良さに安住し、その陰で、
生きづらさや不自由や矛盾や悔しさを感じている
少数派の人たちの気持ちや環境に、思いが至らない人たちのことだ。
いや、わかっていて、あえて気づかないふり、
見て見ぬふりをしているかもしれない。
男性の下駄をはかせてもらえる今の社会を変えたくない、
既得権を手放したくないからではないだろうか。
男性優位がデフォルト(あらかじめ設定された標準の状態)の社会で、
そうした社会に対する現状維持を意識的にも無意識のうちにも望むあまりに、
想像力欠乏症に陥っている。
そんな状態の人たちを私は「オッサン」と呼びたい。
だから当然、男性でもオッサンではない人たちは大勢いるし、
女性の中にもオッサンになっている人たちはいる。
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そんなオッサンが一世を風靡した時代もありました。
でも、時代は変わったのです。
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リーダーは、世界にアンテナを張り、面倒くさいことを避けず、
それを解決するためにコミュニケーションを積極的に取る必要がある。
かつてのように、課題と解答が明確な時代ならば、
トップダウンで「俺についてこい」というリーダーでよかったかもしれない。
しかし、いまは課題と解答が見えない時代だからこそ、
多様な人々を活かせるリーダー、コミュニケーション能力の高いリーダー、
チームをつくるのがうまいリーダーが求められる。
それはもしかしたら、男性以上に女性に適性があることなのかもしれない。
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著者は言います。
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オッサンの壁は、越えるものではない。壊すものだ。
これからも若い世代の女性たちは、必ず時代は変わる、
社会はよくなると信じて、この先の道を力強く歩いてほしい。
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私も、男性という下駄をはいてきましたが、
オッサンではありたくないと思っています。
ここに書かれたオッサンとは違うという自負があるので、
オッサンではなく、おっさんということにしておきます。
いずれにしても、私は、オッサンの壁は、壊されるというより、
自ずと壊れる、瓦解していくと思っています。
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例えば、著者がオッサンの壁が崩れる一丁目一番地と言っているのが、
選択的夫婦別姓で、描かれていることをまとめるとこうなります。
- 世論調査で、選択的夫婦別姓について尋ねると、容認がだんだんと増えている。
- 2017年の内閣府の調査では、選択的夫婦別姓を導入してもよいと考える人の割合は、42,5%と過去最高になり、導入する必要はないと答えた人の29.3%を大幅に上回った。
- 他に「夫婦は同性を名乗るべきだが、結婚前の姓を通称として使用できるよう法改正をしてもよい」と答えた人が24.4%いた。
- 調査によっては導入容認が6~7割近いものもある。
- 導入反対の理由は、「家族の絆」「日本の伝統」。
- では、:夫婦別姓を認めている諸外国で、家族の絆は壊れているのか?
- 日本の伝統は、たかだか明治以降(明治3年施行の民法)に過ぎない。
- 法務省は、「結婚後にいずれかの氏を選択しなければならない制度を採用しているのは日本だけ」と認めている。
私も、なぜこんな簡単なことが、変えられないのか不思議で仕方がありません。
別姓でなければいけないというのではなく、
別姓も当事者の選択で決められるようにするというのですから。
それはそれとして、おっさんがオッサンでなくなる一番の方法は、
子どもとともにあるということだと思います。
そんなことには思いも及ばないのがオッサンだと言ってしまえば、
いかんともしようがありません。
むかしから好好爺という言葉があるわけですから、
おじいさんになれば、孫はかわいいはずです。
要は、権力・権威があるオッサンの問題なのでしょう。
だからこそ、その壁は、まもなく壊れます。
私は、感覚的にそう確信しています。
なぜなら、そんな人たちが安住できる世の中ではなくなっているからです。
オッサンとは、いわゆる自己中、自分はエライと思っている人、
思い込みの過ぎる人、非を認めない人、権力にしがみつく人、
そんな感じです。
そんな人をどうこうするより、自分はオッサンにならないこと、
オッサンではない人たちと、つながっていくことが大事です。
おかげさまで、私は、還暦後、おおくのおばさんたちに囲まれ、
子どもたちからパワーをもらっています。
今日もまた、職場で3人のおばさんと1人のおじさんとお仕事して、
たくさんの子どもたちからパワーをもらってきます。