「しわ寄せる社会とその時代を経て」を深く考える前に、
昨日読んだ本から学んだものを書いてみます。
「その時代を経て」という部分で、「希望」は一つのポイントとになります。
『希望のつくり方』(玄田有史著 岩波新書)に、こう書かれています。
----------------------------------------------------
大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。
壁の前でちゃんとウロウロしていること。
ちゃんとウロウロしていれば、だいたい大丈夫。
-----------------------------------------------------
たぶん「ちゃんと」というのが味噌でしょう。
壁の前で、ちゃんとウロウロすれば、
----------------------------------------------------
- 偶然、壁の下に小さな穴がみつかるかも。
- 突然、グラッと地面が揺れて、その拍子に壁に亀裂が入り、ガラガラと崩れていくかも、
- ヘリコプターが来て、ロープが降りてくるかも。
---------------------------------------------------
ということのようです。
それは、壁に絶望するでもなく、壁から逃げるのではなく、
壁に向き合うということだと思われます。
----------------------------------------------------
- 希望は、無駄とか損とかいう計算の向こうに見つかったりする。
- 挫折を経験しながらも、ときに誰かの力を借りて、試練をくぐりぬけていこうとする行為そのものに、希望は宿る、
----------------------------------------------------
ということなのです。
あとがきに、この本で何を言いたかったのかについて、
著者のまとめがありました。
----------------------------------------------------
希望は与えられるものではなく、自分(たち)でつくりだすもの。
----------------------------------------------------
では、どうすれば、希望を自分でつくれるのか?
----------------------------------------------------
- 希望は、「気持ち」「何か」「実現」「行動」の四本柱から成り立っている。希望がみつからないとき、四本の柱のうち、どれが欠けているかを探す。
- いつも会うわけではないけれど、緩やかな信頼でつながったな仲間(ウィーク・タイズ)が、自分の知らなかったヒントをもたらす。
- 失望したあとに、つらかった経験を踏まえて、次の新しい希望へと柔軟に修正させていく。
- 過去の挫折の意味を自分の言葉で語れる人ほど、未来の希望を語ることができる。
- 無駄に対して否定的になりすぎると、希望との思いがけない出会いもなくなっていく。
- わからないもの、どっちつかずのものを、理解不能として安易に切り捨てたりしない。
- 大きな壁にぶつかったら、壁の前でちゃんとウロウロする。
--------------------------------------------------
この本には、「希望の社会化」という言葉がありました。
--------------------------------------------------
Social Hope is a Wish for Something to ComeTrue by Ation Each Other.
納得がいくまで対話をくりかえし、お互いが尊重されていることを確かめあう。
そして、実現に向けてともに試行錯誤を繰り返しながら、進んでいくこと。
--------------------------------------------------
「その時代を経て」いくための、大きなキーワードは「対話」だと思います。
国内外の情勢を見て、いま一番欠けているものと言ってもよいでしょう。
対話(ダイアローグ)に関する本を、予約して読んでみることにしました。