【学びの時間】夢をかなえるぞう! 人が生きる上で一番大事なこと

『夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク』

(水野敬也著 文藝社)

 

 ガネーシャって、インドの神様としてちゃんといるんですね。

ぐーぐると、それもゾウの顔をした神さまでした。

ダジャレ満載の本だけに、私は、

「しゃーねーが」をひっくり返したふざけた名前だと思っていました。

 

【感じる時間】読書をこなす日々 - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

このブログの中に、こんなことを書きました。

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正直、本の分量は、3分の1か、4分の1くらいでいいと感じています。

1冊丸ごと読むとなると、すごく冗長で、途中で厭きたりもするのです。

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この「夢をかなえるゾウ」シリーズは、多分内容の1割が意味のあることで、

残りの9割は蛇足というか、おふざけのコメディです。

でも、それは作者が意図したもので、読んでいて飽きることはありません。

この本の中から、大事な部分を書き出してみます。

 

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おじさんは静かな口調で続けた。

「ワシと違って、自分みたいな会社勤めのエリートは、

幼い頃に親から『勉強しろ』と言われて、

成績が悪いと『なんでもっと頑張らないんだ』て怒られたやろ。

そんで社会人になって、上司から『仕事しろ』と言われて、

成績が悪いと『なんでもっと働かないんだ』て怒られる。

自分はそうやって怒られて、怒られて、今日まで生きてきたんやな」

 

僕がうなずくとおじさんは続けた。

「でもな、人が生きる上で一番大事にせんとあかんのは、

勉強することでも、仕事することでもないねん」

そしておじさんは、僕の目をまっすぐ見て言った。

「人が生きる上で一番大事なことはな、本当につらいときに

『助けて』と口に出して言えることやねんで」

 

太陽がちょうどおじさんの背後に隠れ、

おじさんの背中から後光が差しているように見えた。

 

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そしてこのとき、僕はあることに気づいた。

ガネーシャと出会った日に教えられた

「人が生きる上で一番大事なことはな、

本当につらいときに『助けて』と口に出して言えることやねんで」

という言葉。

あの言葉は、「自分ひとりで悩みを抱え込まず、人に頼ることが大事だ」

という意味だと思っていた。

もちろんそういう意味合いもあるだろう。

 

でも、それ以上にこの言葉は、

「苦しいときに『助けて』と言えるような『人間関係』があることの大事さ」

を表しているのではないだろうか。

「助けて」と気兼ねなく言える関係では、

自分が一方的に助けられるだけでなく、助ける側に回ることもある。

またそうした関係を続けていく中では、面倒だと感じたり、

悩ましい出来事も起きるだろう。

でも、その関係には、常に他者からの評価に怯えたり、

自分の市場価値を高めるために追いつめられたりしない、

安らぎと温かさがあるはずだ。

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以下はガネーシャのレッスンのまとめです。

  • 日の出を見る。
  • 好きな匂い、物、人、場所を見つける。
  • やりたくない依頼を断る。
  • 自分の欠点や弱さを告白する。
  • 生活に「初めて」を取り入れる。
  • 自分の感情・感覚を丁寧に観察する。
  • 実物を見る。
  • 過去の出来事を「伏線」ととらえ、希望を持ち続ける。
  • 興味を持ったことを一歩進める。
  • インターネットを一日断つ。
  • 自然の中でゆっくり過ごす時間を持つ。
  • 虫の役割を知り、大事にする。
  • 名作を鑑賞する。
  • やりたくないことを全部書き出し、やりたいことに転換する。
  • 怒りの気持ちを伝える。
  • 苦手な人の信念を読み取る。
  • 自分と違う分野・文化の人と話す。
  • 仮体験をする。
  • 自分と同じ痛みを持つ人を助ける。
  • 誰かのありのままを愛する。

 

以下は、バクが諳んじた詩

サム・レヴェンソン『時を超えた美しさの秘密』です。

 

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美しい唇を持つためには、優しい言葉を話すこと。

美しい目を持つためには、他者の美点を見出すこと。

美しい体を保つためには、飢えた人と食べ物を分かち合うこと。

美しい髪を保つためには、一日に一度、子どもの指でといてもらうこと。

美しい身のこなしのためには、

決して自分一人で歩いているのではないと知ること。

物は一度潰れてしまうと、復元するのが難しいが、人は転べば立ち上がり、

失敗すればやり直し、挫折すれば再起し、間違えば正し、

何度でも再出発することができる。

決して人を見捨ててはならない。

一方で、忘れてはならない。

あなたが人生に迷い、助けが必要なとき、

いつもあなたの手の少し先に救いの手が差し伸べられていることを。

年を重ねると、人は、自分に二つの手があることに気づく。

一つは、自分を助けるため。

そして、もう一つは、他者を助けるため。

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結構いいことが書かれています。

作者のセンス(ナンセンス)はすごいなと感心します。