Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』

「ここいまタウン」への歩み

【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(82) 結果を生まない同じことの繰り返し②

叱っても上手くいかない、いや、叱るからうまくいかない、

そんなことを体感できる試みが現在進行形です。

 

放課後子ども教室では、外から教室に入ったときは手洗いを励行しています。

手洗いは、声掛けしなくても、自主的にできるようになっています。

これはある意味、すごいな、えらいなと思います。

コロナ禍で習慣化されたのでしょうか。

 

しかし、数えたわけではないので感覚でしかありませんが、

ハンカチを持っていない子が、約半数いるのです。

その子たちは、手を洗った後、どうするか?

手を振って水滴を巻き散らかすか、服やズボンでこすります。

ここでジェンダーを言ってはいけませんが、

男子だけでなく。女子も同じです。

 

学校側に確認はしていませんが、

ハンカチ所持は、あまり指導されていないのではないかと思えます。

給食のときにどうしているのでしょう。

洗面所にはすべて複数の泡の出る手洗い洗剤が置かれています。

本人たちに給食のときどうしているのと聞いても、はっきりしません。

たぶん同じようにしているのでしょう。

 

コロナが2類の間は、

各クラスの入り口に消毒のアルコールが置かれていました。

その方が便利なので、ハンカチを持ってこなくなったのでしょうか?

 

これまで何度も、毎月のおしらせに、

ハンカチを持たせるようにと書いて、保護者にお願いしています。

しかし、読んでいない保護者も少なからずいるのも知っています。

放課後子ども教室には、参加カードと言うのがあって、

保護者が、帰宅時間やお迎えの時間を書いて子どもに持たせます。

そのカードにも、ハンカチを持っていない子は、

「ハンカチを持たせてください」と書いてきました。

しかし、ごくごく一部は改善されても、ほとんど効果はありません。

スタッフは、ほぼ私と同じ代の人たちなので、

「親はなぜハンカチを持たせないのだろう?」と不思議に思っていました。

 

ハンカチを持っていない子のお迎えのお母さんに数人、

ハンカチを持たせるように聞いてみると、

ハンカチは持たせていますという反応でした。

教室に置いていたり、体操着と一緒にしていたり、どこかに忘れたりして、

ずっと持っていないこともわかりました。

それにしても、洗濯するときにおかしいなとはならないのかな...?

 

ただ、ハンカチを持つのは日本独特の習慣で、

海外、特に欧米では、そんなものは持っていません。

必ず、ペーパータオルが用意されています。

私は、個人的には、その方が衛生的だと思っていますし、

ハンカチ自体が汚れると逆効果だとも思います。

そもそも、ハンカチはどこに入れているのかというと、

多くは、ズボンのポケットです。

ズボンに入っているハンカチで拭くのと、ズボンで拭くのはどっちが衛生的か、

なんだか五十歩百歩の世界です。

最近は、ポシェットに入れたりしていますが、

その場合、どこかに置いて、拭くときにハンカチがないということもあります。

 

ハンカチがない子がいる前提で、手洗いのあと教室に、

水をまき散らかしたり、ズボンで拭いたりするのは困るので、

ペーパータオルを置いていましたが、その減り方は半端ではありません。

私は、それでも月に数百円をそこに使うのは惜しくないと思っていたのですが、

スタッフの方々の、

子どもがハンカチを持ってこないということに対する抵抗感も

半端ではありませんでした。

そういう私自身は、「ハンカチ」を持つという習慣はあり、毎日持っています。

 

一方で、「ハンカチを持って来なさい」と言っても、

効果がないのは経験上わかっています。

では、罰ゲームのようなことをするのも好ましくないという気持ちもあります。

「ハンカチを持って来なさい」というのは、叱っているわけではないのですが、

それに近いものがあります。

罰ゲームだと、なおさらです。

 

先月のスタッフ会議で、グッド・アイデアが出ました。

ハンカチを持ってきたら、シールをあげるようなことをしてみたらどうか、

ということです。

 

そこで、『ハンカチ de きょうもハッピー スタンプカード』を作りました。

シールだとお金もかかるので、自宅に手ごろなスタンプがあったので、

それを使うことにしました。

 

手を洗ってハンカチで拭いたら、スタンプをあげます。

それを10個たまると銅メダル、20個たまると銀メダル、

30個だと金メダル、40個になると何かステキなものがもらえます。

一方、ハンカチを持ってこない子は、水で洗うのはやめて、

消毒のアルコールを使うことにしました。

 

10月23日に「ハロウィーンお楽しみ会」をやる前に、

そういうことを始めると、その場に行く子たちに伝えました。

その時点で、それまで何度言ってもハンカチを持ってこない

4年生女子が、えらくそのことを気にしていました。

 

手洗いの上に、これを貼りました。

 

スタンプカードは、こんなものを作りました。

 

子どもに渡すと、なくしてしまうので、

こちらで管理していますが、それなりに見えるようにしています。

 

これは効果があったのでしょうか?

 

アナウンス翌日の10月24日のハンカチ所持率は、52%でした。

少なくとも1名は、前日のアナウンスの影響で持ってきた4年生女子だったので、

本来ならば48%。

それまでの約半数の感覚は、その通りなようです。

 

ところがその翌日は、所持率は75%に上がりました。

その次は、83%。

毎日参加する子だけではなく、知らずにたまに来る子もいるので、

この所持率は、スゴイとお思います。

ハンカチを持っていない子の参加カードには、

「ハンカチ de きょうもハッピー スタンプカードをはじめました」

と書いています。

すると、きっと持ってこないだろうと思っていた子まで含めて、

次には、ほとんどが持ってくるのです。

毎日のように、「えっ、この子も持っている」そんな感じなのです。

 

「ハンカチを持たせてください」では何も変わらなかったのが、

「ハンカチ de きょうもハッピー スタンプカードをはじめました」

で大きく変わってきました。

それは、親がそのメモで動いたのではないのではない、と思います。

子どもたちが、自ら、「ハンカチを持っていくとスタンプをもらえる」

「ハンカチを持っていきたい」、そう言ったからだろうと思います。

 

結果として、スタンプカードがあることを伝えた後は、

ほとんどの子は持ってくるようになりました。

わざわざ「ハンカチもってるよ」とうれしそうに見せる子が何人もいます。

 

10日目の今日、毎日参加している子が、スタンプ10個に達しました。

銅メダル獲得です。

授与式を行いました。

 

来週月曜日には、2人が銅メダルに達する予定です。

 

アナウンスの翌日が、52%。

そのあとの9日間の平均が、78%です。

最高は、87%でした。

つい忘れてくる子もいますが、マインドはハンカチ所持になっています。

 

たかがスタンプカード、されどスタンプカード。

「叱る」あるいは「叱るもどき」で、

思いどおりにさせようとしても、どうにもなりません。

なぜなら、その子たちにとって、

ハンカチを持っていなくても、何も困らないからです。

洗った手を振りまわす、ズボンで拭く、ペーパーで拭く、

そこに、口うるさい大人がいるだけ、その程度なのです。

しかし、ハンカチを持っていることで、なにかいいことがあると思えると、

マインドは大きく変わります。

 

今日も感じましたが、この子たちは、メダルをもらいたいから、

ハンカチを持ってくるのではないんだな。

スタンプをもらえるという、ある意味、自分の行為が認められるということが、

嬉しいんだな、ということです。

 

餌で釣るというのもどうかという見方もありますが、

往々にして、習慣というものは、

そうやってついていくものなのではないでしょうか。

それは、否定されない、肯定的に取り組むことができる、

そんなことなのでしょう。

 

今回の試みは、

“Insanity: doing the same thing over and over again and expecting different results.”

からの卒業です。

 

なんだかとってもいい気分!