この著者の本は、2冊目か3冊目です。
共感、納得できる考え方が、一貫して書かれていました。
この本の内容は、学校教育の現場を知らないとついていけないものです。
『学び合い』についてのキーワードは、これらです。
- 分かれば分かるほど、分からない子を教えられなくなる。
- その子ではなく集団。
- 解決策を与えない。寄り添わない。
- 嘘はつかない
などもっとあります。
それぞれに内容は納得感があります。
この著者の他の本も読んで、もう少し学ぶ必要があると思います。
著者は「一人が世の中を変えることができる」とゼミ生に伝えています。
それは自分にできることを本気でやっていくことだと言えます。
今回は、最後の付録「西川ゼミで話していること」を取り上げます。
敬体を常体にして、引用の多い形で抜き出しています。
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<著者の指導教官である小林学先生のお話>
小林先生は、どんな学校に行っても、その学校の理科室に行って、
生き物(特に水生生物)を買っているかどうかを見る。
文部省の教科調査官がくるということで、慌てて整理整頓する人もいる。
それで、ほどんどがなんとかできても、生き物は別。
水槽の水草、コケの様子を見れば、やっつけ仕事か否かはすぐにわかる。
その話を、著者のゼミの学生にした後こういう質問が出た。
「どうやったら金魚を死なさずに飼えるか?」
学生の答え:「水槽をきれいにしたり、餌をこまめにやったり」
先生曰く
「そんなこと続けられるの?
それにそんなことを頻繁にやったらどうなる?
例えば、毎日毎日、Y君の頭を撫でたり抱擁したりして、
「頑張ろうね!」と言ったら?
毎日毎日、Y君がそれだけ研究をやっているかをテストして、
それに対応した指導を事細かにやったら、それでいいと思う?」
先生の答え:「毎日水槽をのぞくこと」
先生曰く
「毎日毎日、餌をやったらば、水槽の水は濁る。
本当は餌をやらなくても成り立つようなシステムを成立させることが大事。
それが成り立てば、餌をやる必要はほどんどない。
金魚が出す糞は分解され、それを栄養として水草やコケが生える。
そのコケを金魚が食べるため、水槽が汚れることはない。
結果として、水槽を掃除することはとんどない。
水槽の環境が悪化するのは、過剰に餌をやったり、
過剰に日に当てたりするため。
毎日水槽をのぞけば、水槽の変化に気づく。
その変化を見れば、別に特別の学習をしなくても、
どうやればいいかは常識の範囲内で解決できることばかり。
つまり、金魚の飼い方は、とてつもなく簡単。
ところが、多くの学校ではそれができない。
なぜかといえば、「毎日」水槽をのぞいていないから。
そのため毎日のぞけば気がつく変化を見逃し、
問題が大きくなり、結果として、水槽全体の生き物がぬ。
なぜ水槽を毎日のぞけないのか?
その理由は、水槽の中の生き物に心を止めていないから。
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これは、水生生物だけの話じゃないですね。
マザー・テレサは、「愛の反対語は無関心」と言われました。
(余談)
こんな高校もありますね。
ホーム - 愛媛県立長浜高等学校 (esnet.ed.jp)
あまり洗練されたホームページではない感じです。
そこにはきっと理由があります。
この高校の本はすでに借りているので、読んでみます。