【学びの時間】求めている学校は昔には(も?)あった

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先週の土曜日12日に、メインファシリテーターとして、

ネット開催となった「第1回イエナプラン教育を語ろう」をやり切りました。

その翌日の日曜日に発熱、月曜日にはコロナ陽性と判定された今となっては、

その内容をまとめて振り返る気力はありません。

その後いろんな情報が入って生きているので、

落ち着いたら状況を教えてもらったり、

アンケートを読んだりしようと思っています。

 

ひとつ私が落ち着かなかった問題は解決しました。

イエナプラン教育、大日向小学校はすばらしいと思いますが、

私は別にイエナプラン教育にこだわるつもりはなかったのです。

でも、会の名前は最初から「イエナプラン教育を語ろう」になっていました。

講師の桑原先生は、「個を大切にする教育」ということを強調されていたし、

最後に、「別にイエナプランじゃなくてはいけないということはないんです」

と言っていただけたおかげで、

「イエナプラン教育を語ろう」の名称を変えることに、

12日中に同意が得られたということです。

 

12日語られた「個を大切にする」ステキな学校が戦前にありました。

トットちゃんが通ったトモエ学園です。

https://tg-uchi.jp/topics/5323

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大人が計画した教育内容を子どもに一方的に詰め込むのではなく、

子ども自身がもともと持っている個性や、

興味・関心などを大切にしよう、

そして、子どもが主体的に学べるような教育をしよう、

それが、「大正自由主義教育運動」が目指したことでした。

「どんな子も、生まれたときにはいい性質を持っている。

それが大きくなる間に、いろいろな周りの環境とか、

大人たちの影響でスポイルされてしまう。

だから、早くこの『いい性質』を見つけて、

それを伸ばして個性のある人間にしていこう」

「子どもを先生の計画にはめるな。自然の中に放り出しておけ。

先生の計画より子どもの夢のほうがずっと大きい」

創設者の小林宗作氏の言葉からも、

子どもの個性や夢を大切にする教育方針が覗えます。

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トモエ学園について

 

『窓ぎわのトットちゃん』は、これまで読んだことなくて、

最近手に取ったこの本がそんな本だったなんて、すごく驚きでした。

この本から、いくつか引用します。

 

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今日、トモエの生徒は、

温泉旅行に出かけるしたくをして学校にあつまったのだった。

校庭にみんながくると、校長先生はいった。

「いいかい? 汽車にも船にも乗るよ。

迷子にだけはなるなよな。じゃ出発だ!」

校長先生の注意は、これだけだった。

でも、自由が丘の駅から東横線に乗り込んだみんなは、

びっくりするほど静かで、走りまわる子もいなかったし、

話すときは、隣にいる子だけとおとなしく話した。

トモエの生徒は一回も、

「一列におぎょうぎよく並んで歩くこと!」とか

「電車の中では静かに!」とか

「食べもののかすを捨ててはいけません!」とか、

学校で教わったことはなかった。

 

ただ、自分より小さい人や弱い人を押しのけることや、

乱暴するのは恥ずかしいことだということや、

散らかっているところをみたら、自分で勝手に掃除をするとか、

人の迷惑になることはなるべくしないようにというようなことが、

毎日の生活の中でいつのまにか体の中に入っていた。

 

それにしてもたった数カ月前、授業中に窓からチンドン屋さんと話して、

みんなに迷惑をかけていたトットちゃんが、

トモエにきたその日から、

ちゃんと自分の机にすわって勉強するようになったことも、

考えてみれば不思議なことだった。

 

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とにかく、校長先生は、子どもたちの生まれつき持っている素質を、

どう、まわりの大人たちがそこなわないで、大きくしてやれるか、

ということをいつも考えていた。

 

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トットちゃんにとって、この一年は、ほんとうに充実していて、

毎日が待ちきれない年だった。

チンドン屋さんを好きなことにはかわりはなかったけど、

もっともっといろんな好きなことが、自分のまわりにあることを知った。

前の学校で「もてあましもの」として退学になったトットちゃんが、

いまはもっともトモエの生徒らしいようになっていた。

 

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つくづく、言い方は適切ではないが、

子どもを生かすも殺すも、大人のあり方次第だよねって思うのです。