<Tip & Episode> 「直線の時間」と「選抜社会」と の続きです。
【循環する時間】
一方、「循環する時間」とは、調べてみるとこういうことのようです。
<里山の時間>
春が訪れたとき、村人は春が戻ってきたと感じながら、それを迎え入れる。
去年の春から一年が経過したと感じるのは縦軸の時間のこと、
もうひとつの時間世界では、春は円を描くように一度村人の前から姿を消して、
いま私たちのもとにもどってきたのである。
一年の時間が過ぎ去ったのではなく、去年と同じ春が帰ってきた。
時間は円環の回転運動をしている。
それは自然と強く結びついた暮らしと労働を営む者たちの時間世界である。
春が帰ってきたから、村人も春の農作業の世界に帰る。
回帰してきた時間とともに村人は一年前と同じ世界に回帰する。
朝が来て日が昇り、活動して、陽が沈むと、眠って、また朝がくる
という一日の循環もそうですね。
お日さまがひとまわりする時間、それが一年を通して巡る時間で、
人類の、そしてあらゆる生物の生命が営まれています。
【自然の営み】
「直線の時間」に支配されると、
見せかけの幸せを求めて、人びとは「選抜社会」を生き、
その結果、本当の幸せとはほど遠いところをさまよい、
日々イライラすることになります。
そして、いがみ合い、最終的には殺し合っているのが、
いま、ではないでしょうか。
コロナウィルスは、
そんな人類に「循環する時間」を思い出させるために
同じ人間同士が対峙するのではなく、同じ方向に向くために、
神様が与えた試練ではないかと思えてなりません。
コロナウィルスに対しても、戦いで勝利を収めるために、と言われています。
そうではなくて、この未曾有の危機から人々を救うために、というのが、
本来の人間のあるべき姿ではないかと思います。
その感覚を取り戻せるのか、そこにかかっていると思います。
実際に、現場で必死に活動している人たちは、
戦っているとは思っていないはずです。
この試練を乗り切ったとき、人々の意識は変わり、
新しい時代は始まると信じます。
もともと、「循環する時間」とは、自然の営みそのものです。
この写真のアオキは、マンションの中庭にあるものですが、
毎春こうして芽を出し花を咲かせます。
生き物はみんな、生まれて、子孫を残し、死んでいきます。
これもまた、循環する時間です。
人間も、そんな自然の一員でありながら、
「直線の時間」に邁進して、自然破壊を平気で行ってきました。
それによって、地球温暖化を巻き起こし、
「循環する時間」を自ら破壊しようとしています。
いま、そのことに、本心で気づき、行動を切り替える時です。
自然の摂理に基づいた営みをともにしながら、
人間の英知を活かした発展をしていく、
そんな未来を創造していく時代が始まるでしょう。
そんなとき、私に何ができるでしょうか?
私にできることは、現実をしっかり受け止めること、
そのうえで、本来の自然の営みを忘れることなく、
自分の信じる道を、いまできることを丁寧にやりながら生きること、
そういうことだと思います。