Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』

「ここいまタウン」への歩み

【学びの時間】不読社会ならぬ非読社会 ー 能動的に没入 vs 受動的に消費 ー

 

『本を読めなくなった人たち』(稲田豊史著 中公新書ラクレ)

の冒頭には、こんなことが書かれています。

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文章というものの経済価値が劇的に下がりつつある。

もはや多くの現代人には、ネットでニュースや記事を読む際に、

お金を払うという発想がない。

地球上における空気、あるいは日本における平和や水と同じように

文章もタダだと思っている。

 

2022年に登場し、あっという間に普及したChatGPTなどの生成AIは、

「文章は無料」の価値観を、読む側の間だけでなく、

送り出す側の間でもより強固なものにした。

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確かにその通りです。

だからこそ、なんでしょうか、本が読まれなくなっています。

 

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16歳以上の日本人の6割以上は、1か月に1冊も活字の本を読まない。

その傾向はもはや60年は続いており、

時代ごとに読まない理由は様々に語られてきたが、

昨今では、そもそも読み手側の長文読解力が劇的に落ちている、

という説が説得力を持つ。

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高校でスマホを持つまでは、よく本を読んでいた20歳の女性の例があります。

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「高校でスマホを持ち始めたら一切本を読まなくなりました。

さすがにやばいと思い、高校卒業後の春休みに、

久しぶりに読んでみようと村上春樹の新刊を買ったんです。

でも、10ページも読めませんでした」

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「長めの文章はスマホで写真を撮って、ChatGPTに画像を投げれば、

要約を返してくれるので、別に長い本とか読む必要ないんです」

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シンクタンクの研究員の言葉

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「今の大学生はXやLINEの文字量が中心の生活をおくっているので、

数百字程度の文章を読むのも億劫がります。

テキストの黙読が苦手な大学生も多く、ネット上の短いまとめ記事を読むよりも、

10分のYouTube動画を2倍速で見る方が,情報取得が高いと感じている。

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ある幼稚園の園長の言葉

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「30代の保護者の多くがプリント1枚すらちゃんと読んでくれず、

必要な事務連絡ができない。

途方に暮れています」

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同じ理由かどうかはわかりませんが、私も同じような経験をしています。

毎月、翌月の「おしらせ」を保護者に配付していますが、

そこに、2-3か月続けて記載している大事なこと、

例えば、年度ごとの登録更新、三季休暇のお弁当持参についての記載などを、

読んでない保護者の方が、少なからずおられます。

書かれているようにしてもらえない場合、

その都度、イレギュラー対応に追われてしまいます。

 

著者の言葉があります。

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令和に入り、日本は文章を読まない「不読社会」ならぬ、

文章を読むことが合理的でないとされる「非読社会」とでも呼ぶべき

様相を呈してきた。

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上述の本を読まないという表現の裏付けが、以下にあります。

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2024年1~3月文化庁「令和5年度国語に関する世論調査」

16歳以上の日本人の62.6%は、1か月に1冊も活字の本を読まない。

その傾向は、もはや60年は続いている。

 

2025年㋅「第10回学校読書調査」

2025年5月1か月に読んだ本が0冊だった子どもの割合

  • 小学生(4~6年生) 9.6%
  • 中学生 24.2%
  • 高校生 55.7%

10代の子どもたちは進級するごとにどんどん本を読まなくなる。

 

2024年10~11月「第60回学生生活実施調査」(全国大学生活協同組合連合会)

  • 1日の読書時間が0分の大学生 45.6%

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スマホ、SNS、動画配信というものが、読書量低下に及ぼす影響は、

ものすごく大きいと言わざるを得ません。

 

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子ども時代を昭和に過ごした世代からすれば、

「漫画ばかり読んでいると馬鹿になる」は、

耳にタコができるほど浴びた大人のお説教としてお馴染みだろう。

しかし、今や、ある種の子どもたちにとって、

漫画(スマホで読むウェブトゥーンではなく、昔ながらのコマ割り漫画)を

読むことは、非常に頭を使う能動性の高い知的活動の部類に入る。

 

「できる子は、物語性のある漫画を読み、戦略を非膣用とするゲームに没頭する。

できない子はずっとショート動画を見ている」は、

小中学生を教える教員や塾講師の間で一定程度流布した言説だ。

前者は能動的に没入する娯楽、

後者は受動的に消費する娯楽と呼ぶこともできよう。

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その結果として、生み出される社会のあり方に危惧を感じます。

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文章の場合、それを読んで語義や論理を解釈するという

相応の情報処理プロセスをワンクッション挟んだうえで、感情が動かされるが、

映像の場合は、

映像は音によって直接的に感情が刺激される側面が強いということだ。

つまり、極端に言えば、論理が破綻していても、

空気や熱気や雰囲気で見るものが抱く印象を制御できるのが映像の力である。

これは、映像作品というものの芸術性に深く関係する特質ではあるが、

逆に言えば、論理が破綻していたり、

エビデンスが欠如していたりする主張も、映像による見せかけの工夫によって。

顧客を説得させられることも意味する。

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懸念とは、人々が、特に若者の多くが、

実際に起こっている事実・現実を知らないまま、

雰囲気だけで生きているということです。

このことは、本当に生きづらい社会を生み出してしまった原因ではないかと、

私は感じています。

そのことについて、改めて考えてみたいと思います。