【学びの時間】@ホテル療養中 不登校を考える① 居場所ではなくなった学校

今コロナ陽性でホテル滞在中ですが、

その第1目的は、いわずもがなの、療養して回復することです。

2番目の目的は、このような本をしっかり読んで学ぶということです。

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『学びを選ぶ時代』はコロナ前にすでに読んでいました。

コロナ陽性ですぐに返さなくてよくなったので、

必要なところをもう一度読んでみようと思い、ホテルに持ってきました。

『フルースクールのつくりかた』は、何日かかけて今日読み切りました。

この本とくに、普通の本の3倍くらいのお値段がしますが、

この2冊とも蔵書にしようと思い注文しました。

 

そこに触れる前に、キーワードの多く書かれていた別の本

『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50』

(プレイワーク研究会編 学文社)から引用します。

これもホテルで読みました。

 

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子どもが豊かに成長するうえで欠かせないこと、

それは、自分の世界をたくさんの喜びの経験で築き上げていくことです。

子どもはこの世に生を受けたとき、まだ何の経験ももっていません。

ゼロから始まる経験が、楽しいこと、うれしいことで、

彩られれば彩られるほど、その子の命は輝きます。

それが、子どもが「遊ぶ」理由です。

けれども、子どもの環境に目を向ければ、

それがいかに難しくなっているかがわかります。

 

昔から遊べば子どもは「あぶない、きたない、うるさい」

(頭文字をとるとAKU)ものですが、

それがすべて躾の対象として制止されてしまいます。

多くの大人はこれを「悪」だと思っているのです。

 

子どもの時間の使い方は、大人が決めることが多くなりました。

塾、稽古事、習い事、スポーツ少年団などにかなり小さいときから所属して、

自分が自由に時間の使い方を決めることができなくなっています。

大人の決めた時間なので、その結果も大人が評価します。

自分ひとりで、また友だちとともに、

自在に遊びを堪能することがどんどん難しくなっています。

 

誰かの評価に従い、評価される自分ばかりを生きることは、

自分の世界を築くことができないことを意味します。

こうした状況の中、子どもは、

「自分が生きている」という実感を持ちにくくなっているのです。

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キーワード:

たくさんの喜びの経験、命が輝く、遊び、

子どものこのうえない特徴が躾で制止される、

大人の意志優先、大人の評価

 

こうして自分の意志を聞いてもらえない、自分に選択肢が与えられない、

自己主張してやり合うことができない、自分で決めることができないなど、

本来の遊びの中で培われるものを持ち合わせない子どもは、

「自分が生きている実感」もてなくなるといっています。

 

そこまでかどうかは分からないけど、

ドリームマップ授業で、あちこちの小学校(4-6年)や中学校に行って、

児童生徒と接している私が見てきたのは、

少なくとも楽しく生きているという実感がもてない子が、

少なからずいるということということでした。

 

生きている実感がもてないとは大げさに聞こえますが、もし自分が、

「誰かの評価に従い、評価される自分ばかりを生きている」

としたら、とてもじゃないけど耐えられないよな、って思います。

 

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これは、『学びを選ぶ時代』の始めの方の1ページです。

不登校の実態値が書かれているこのページのあとに続くのは、

日本財団の調査結果の要点です。

この数字に表れない不登校傾向にある中学生は、

この数字の3倍もいるということなのです。

 

小学生は、そこまでいかないとしても、

不登校者が対前年比で28%も増えているのは、驚くべき数字です。

コロナ前でこれなので、いまはさらに状況が悪化しているでしょう。

 

私が最近直接見て聞いた情報としては、

都内のある中学校のクラスには2人の不登校生がいました。

クラスの6%弱に相当します。

別の学年では、毎日登校はしているものの、教室に入ることができずに、

家庭科室で一人オンライン授業を受けている子がいるということでした。

 

ネットに日本財団の調査の詳細が載っていました。

不登校傾向にある子どもの実態調査報告書 (nippon-foundation.or.jp)

  • 中学校に行きたくない理由は、「疲れる」「朝、起きられない」などの身体的症状以外の要因では、全ての群で学業に関する理由がみられた。 
  • 「自分の好きなことを突き詰めることができる」環境が、学びたいと思える場所としてトップ。
  • 「離婚歴あり」と「親自身も不登校経験あり」は不登校または不登校傾向にある子どもの親に多くみられる。 

 

<行けない理由>

不登校には、怠けているように見えて、実際には体が動かない、

行きたいけど行けないことに悩んでいる子が多いという実態があります。

私の身内でもそういう状況がありました。

また、全員が同じ学業を全うしないといけないのでしょうか?

そこは、子どもがよく知っています。

自分の好きなことを突き詰めたいんです。

この子どもの声は、

オルタナティブ教育やフルースクールの考え方と一致しています。

 

<学びたいと思える場所>

「自分の好きを突き詰める」には、こんな注釈もあります。

  • 「自分の好きなこと、追求したいこと、知りたいことを突き詰めることができる」「クラスや時間割に縛られず、自分でカリキュラムを組みことができる」においては、現中学生より卒業生(中学卒業後~22歳)のほうがスコアが高い。 

これは、小中学生では、親や先生に反発できるほど成熟していない

ということを意味していると思います。

小さい頃から、自分の言いたいことを聞いてもらったり、

自分で選択して自分で決めることのできる環境に

置かれてこなかった子たちにとって、

親や大人が決めることに疑問符をつけることすら難しいということです。

与えられたものが悪いのではなく、できない自分が悪いとなってしまいます。

これは自分のしたいことではないとわかっても、

何も言えないのが実情でしょう。

 

「好きなこと」といわれても、それまでに、

自分のやりたいことを聞いてもらえなかったり、

与えられたものしかやってこなかったので、

好きなものがわからない、いや考えたくないという子が、

中学生くらいになると、悲しいことに何人もいるんです。

じっくり時間をかけると出てくるんだと思います。

かなりの部分は、ドリームマップ授業がカバーできていると思いますが、

6時間という限られた時間なので、すべてというわけにはいきません。

 

<家庭の事情>

『フリースクールのつくりかた』に、

多くのフリースクールの実例が載っていました。

多くでそういう取り組みがなされているだろうと思っていますが、

「親が元気になる」ことを大事にする、

とわざわざ書かれていたフリースクールが複数ありました。

 

家庭の事情をどうこうするのは難しいけれど、親が元気になるように支援し、

交流の場をつくっていくことは、とても大事なことだと思います。

 

つづく