<Tip & Episode> 「しつけ」を考える④ 「ほめる」より「聴く」

『魔法のしつけ』長谷川博一著より

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「ほめて育てよ」と言われますが、私はこれもあまり賛成できません。

ほめるというのは、子どものよい面に着目し、

そこにプラスの評価をすることを意味します。

「ほめること」に走りすぎると、

子どもはほめられることに過敏になって、

そうしてもらうためによいことをしたり、

がんばったりするようになってしまうからです。

 

子どもが何かをするのは、

そうしたいと感じる理由、動機があるからです。

この動機は、

「内発的動機」と「外発的動機」に大別することができます。

「内発的」とは、そうする理由が子どもの内面(気持ち)から出ているもので、

「やってみたい」と感じる場合はそれに当たります。

(中略)

 

内発的動機に従って動くことができると、子どもは自信を深め、

新たな事態においても自分で判断して対応できるように

主体性を伸ばしていくことができます。

 

しかし、外発的動機で動いてきている子どもは、

外からプラスの評価が与えられないと、

その行動の支えを失ってしまいやすいのです。

もちろん、自分に対する信頼感も低下しているでしょう。

こういう子どもは、これから先もがんばり続け、

認められ続けるかぎり、破綻は生じないかもしれません。

しかし、思春期以降、学業の行き詰まりや対人関係のストレスを経験すると、

もろくも崩れてしまうような危険がつきまとっています。

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これは、その通りでもあるし、そうでもないと言えます。

 

学窓保育での子どもたちの行動を見ていると、

宿題は、あくまでも外発的動機だということがわかります。

来たらすぐ宿題をやることにしています。

やらせるということはしないのですが、

8割がたの子は、すぐにやろうとします。

子どもの性格や性癖もあって、

分かってはいるけど始められない子がいたり、

始めてもすぐ気が散って、遊びに走る子がほとんど。

 

学校では、決められたやるべきことをやっていかざるをえません。

友だちと羽目を外す時間は限られています。

だからでしょう、学童で一堂に会すると、もう手が付けられなくなります。

宿題中もそうです。

 

学校というのは、ほとんど例外なく、

人生で最初に「ねばならない」を知る場なのだと思います。

小学校1年生から、外発的動機がどんどん増えていきます。

 

純粋にその子のことを認めてあげて「ほめる」ことは、

どんどんやっていけばいいことだと思います。

その子のプラスを伸ばすことができるように。

しかし、「ほめる」には、厄介な部分があります。

  • 「絶対的」から「相対的」へ
  • 「承認」から「評価」へ

このような「ほめられ方」を多く経験していると、

上記の

「外からプラスの評価が与えられないと、

 その行動の支えを失ってしまいやすい」

ことになりかねません。

 

ドリームマップでは、主に小6や中1の子たちと接していますが、

素直に「自分の好き」を人前で話せなくなっている子が

かなりいることにいつも驚かされます。

人の目を気にするようになっているのでしょうか。

 

学童保育の小1-2年生には、そんなことはありません。

どんなものでも、自分の作ったものは自慢します。

 

帰りの会のときに、自分の作ったものを、

前に出て紹介してみてというと、みんなが手を挙げます。

 

そのときに、何を作ったのかだけではなく、

どんなことに苦労したかなど、プロセスも聞きます。

大人は、「ほめる」だけでなく「聴く」ということを大事にしています。

 

ドリマでもそうですが、テストの成績とは違って、

出来上がったものがどんなに立派かではなくて、

そこに至るプロセスでやってきたこと、やろうとしたことが大事なのです。

そこを「認めてあげること」、「聴いてあげること」が大事なのです。

 

でもね、学童の子どもたちは、みんな超自己中です。

人の話はまったく聞いていません。

別の子が自分の作ったものを紹介していても、

まったく聞いていなくて、自分の好きなことをやったり、

男の子は特に、他の子とふざけたりしています。

そんな年ごろなんですね。

 

遊びや虫取りや工作などなどは、純粋な「内発的動機」です。

いま、彼らは、それに夢中です。

それを、そのまま持って成長していってほしいと思って、

日々子どもたちに接しています。

 

「しつけ」って、

大人の意に従わせることでは決してなくて、

子どもの成長のためだということですね。

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