〈1〉
昭和記念公園のいつものベンチに座る。
ソメイヨシノはまだ固いつぼみ。
その上には青い空が澄ん澄みわたる。
風もなく、ポカポカに心地よい。
もう春なんだね。
こもれびのミレイちゃんが降り注ぐ。
モグラの妖精のもっくんは、どうしているのだろう。
朝早くからこの公園に集う人たち、
家族連れを眺めながら、本を開く。
鈴木有紀著『教えない授業』だ。
この本の中に、何かとても大切なものが入っていると感じる。
本を開いてすぐに、コバエが飛んできた。
本の白いページにとまって、すぐに飛び立った。
それを見て、本を一旦閉じ、
ノートを広げて、感じたことを書いていく。
すると、コバエが飛んできて、
白いノートの上にとまって、すぐに飛んで行った。
そして、また戻ってきて、すぐにいなくなった。
さっきのコバエとは違うちょっと太めのコバエだった。
ノートを閉じて、また本を開く。
えっ!
また、コバエがやってきた。
ノートのコバエとは違う、細身の本のコバエだ。
白い花と勘違いしたのだろうか?
コバエにも個性があるのかな?
それとも、今が大事だよと教えてくれているのだろうか?
もっくんからのメッセージを届けてくれているのだろうか?
のどかな今に、ありがとう。
ミレイちゃん、もっくん、ありがとう。