
『21世紀を動かす思想』(樋口恭介著 集英社新書)
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インターネットやSNSは、本来、世界中の多様な人々を結びつけ、
知識や意見の自由な交換を促進し、
相互理解を深めるための画期的なツールとなるはずでした。
しかし現実は、これらのプラットフォームが人々をむしろ孤立させ、
社会を分断し、対立を煽る道具として機能してしまっている側面が、
顕著になっています。
これはデジタル時代の大きな皮肉と言えるでしょう。
その原因となっているメカニズムの一つが、
SNSなどのアルゴリズムによるパーソナライゼーションです。
これらのアルゴリズムは、ユーザーの過去の履歴や
「いいね!」といった反応に基づいて、
ユーザーが好みそうな情報や既存の意見と合致するような情報を
優先的に表示する傾向があります。
その結果、ユーザーは、
自分と似たような意見や価値観を持つ人々の情報ばかりに囲まれ、
あたかもそれが社会全体の総意であるかのように錯覚してしまう
「フィルター・バブル」現象や、
自分の意見が閉じたコミュニティ内で反響し合い、
ますます強化、過激化していくチェンバー現象が生じやすくなります。
(中略)
さらにSNSは、誤情報や偽情報(フェイクニュース)、
悪意のあるプロパガンダが瞬時に拡散しやすいメディアでもあります。
(中略)
やがて、「何が真実か」よりも「誰を信頼するか」が
情報判断の主要な基準となり、
自分が所属するコミュニティや信頼する権威の情報のみを受け入れる
「信頼の部族化」が進行していく恐れがあります。
この傾向は、
民主主義の根幹である「共通」の事実認識に基づく議論を脱白させ、
すべての民主的な対話を不可能にしてしまう事態すら招きかねません。
異なるコミュニティがまったく異なる事実を前提として
政治的判断を下すようになれば、
合理的な政策議論や合意形成は極めて困難になるからです。
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皮肉なことに、ネットは多様化、多元化ではなく、
孤立化、同質化を促進するツールになってしまっています。
同様の内容が、
『それってあなたの感想ですよね』(物江潤著 新潮新書)にもありました。
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学校、学年の枠を超え、SNS(ネット)を通じ、
容易に友人集団を形成してしまうZ世代が象徴するように、
今やリアル/ネットの境界は曖昧です。
SNSで形成した関係性は、その曖昧なラインを簡単に飛び越えてしまい、
あっという間に同質性の高い共同体がリアルの社会に姿を現すわけです。
アルゴリズムの働きにより、似た者同士が接触しやすいSNSだけあって、
意気投合できる同士を探すのはずいぶんと簡単です。
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そこで出てきたのが、台湾政府の元デジタル大臣のオードリー・タンの
「プルラリティ」です。
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執った政策は、vTaiwanとPolisで、その成功要因は以下の通り。
- アノニミティ(匿名性)の心理的安全性
- 非同期的なコミュニケーション
- 「共通の土壌」の可視化
- 政府のコミットメント
この4つのなかで最も重要なのは、政府のコミットメントだと思います。
- 台湾政府(特にオードリー・タン)がvTaiwanで形成されたコンセンサスを真摯に受け止め、実際に制作に反映させるという強い意志を示したことが、参加者の信頼とモチベーションを高めた。
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これ、日本ではかなり難しそうです。
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- デジタルデバイド
- 参加者の代表性(特定の意見を持つ人が過剰に代表とされる可能性)
- 複雑な問題を単純化しすぎる
そこには、こういったプルラリティの限界もあるが、
プルラリティが目指しているのは、単に便利な技術を導入したり、
効率的な制度を設計したりすることだけではなく、
より公正でより創造的で、そして変化に対してよりしなやかで強い、
新しい社会のあり方そのものを構想している。
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上記のネットの弊害がある中で、台湾政府が取ったのは、
最新のテクノロジーを活用したデジタル民主主義です。
一方、日本の政治は、この世の中が大きく変わってきているのに、
昭和に逆行しようとしているように見えます。
その中で、先の参議院選で、多くの得票を獲得した新しい党があります。
実は、私も比例はそこに投票しました。
広告の多さに腹を立てながらこれを観ましたが、
間違っていなかったと、意を強くしています。