Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』

「ここいまタウン」への歩み

【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(76) 大人ファーストの世の中①

『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』(石井光太著 新潮社)

は、衝撃的な本でした。

正直、そんなことがあるのか? 

にわかには信じがたいことが書かれています。

膨大な取材に基づいているようなので、

フェイクではなさそうなのですが....。

 

まずは、子どもの専売特許である「遊び」とは何でしょう。

この本には、こんなことが書かれていました。

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発達障害を専門とする慶應義塾大学の今井むつみ教諭

『学びとは何か』(新潮新書)にあるアメリカの研究者の遊びの五原則

  • 遊びは楽しくなければならない
  • 遊びは、それ自体が目的であるべきで、なにかの目的(例えば、文字を読むため、英語をを話せるようになるため)であってはならない。
  • 遊びは、遊ぶ人の自発的な選択によるものでなければならない。
  • 遊びは、遊ぶ人が能動的にかかわらなければならない。遊ばせてもらっていたら遊びではない。
  • 遊びは現実から離れたもので、演技のようなものである。子どもが何かの「ふり」をしていたら、それは遊びである。

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その通りだと思います。

いまどきの子どもは、そんな「遊び」が十分できていないようです。

 

東京都の保育園の園長さんや保育士さんのお話です。

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「今の子どもは、あなたが知っている時代の子どもとは、

まったく違うと考えてください。

彼らは外で自由に遊んだ経験がないので、遊び方がわからないのです。

大人がルールを教えて、これをこのようにしなさい、

と言えばやれるのですが、自分で遊びを考えて、

みんなとルールを共有してやっるといったことができない。

だから公園に連れていくだけでは、

どうしていいかわからないので戸惑ってしまうのです」

 

「人と遊ぶことが苦手な子が増えたね。

昔の子には、どんなことでもみんなでやるのが楽しいという共通感覚があった。

だから、子どもたちは、自然と友だちの輪を作り、自分たちで遊び方を決めて、

ヘトヘトになるまでやったけど、今は一人遊びをすることが増えた。

友だちの輪をつくらないで、

けん玉や積み木のように単独でもできることを黙々とやる。

こういう子たちは、人と遊んだ経験が少ないので、

周りの子たちと一緒に何かをすることに興味を持てないんだと思う。

そもそも人とどう付き合っていいかわかっていない。

だから、先生が既存の友だちの輪に入れても仲よくできないんだ」

 

「知らない遊びをするのを怖がる子が多くなりました。

家でやったことのある遊びなら普通にする。

でも友だちが新しい玩具を持ってきたり、

新しい遊びをやろうと持ちかけてきたりしても、黙ってじっとしている。

なんでやらないのかと尋ねると、

そういう子は「(遊び方を)知らないから」と答えます。

新しいことに興味を持って、やり方を教えてもらおうという意欲がないのです。

私の憶測ですが、そういう子たちは自分で楽しいことを見つけ出して、

ドキドキしながらやった経験が乏しいんじゃないでしょうか。

新しいものを発見する喜びとか。

それをするときのワクワク感を知っている子は、

どんどん新しいことをやろうとしますが、

その経験がない子は見向きもしないのです」

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一人遊びが好きな子はいますが、そんなレベルではなさそうです。

なぜ、そんなことになるのでしょうか?

 

それは、大人ファーストの社会であることが原因のひとつのようなのです。

(75)でも書いたように、その大人が充足していたら問題ないのでしょうが、

疲弊した大人社会によって、子どもたちは本来の「のびのびすくすく」が

難しくなってしまっている可能性があります。

 

つづく