Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』

「ここいまタウン」への歩み

【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(75) 日本の教育は悪くないかも?

 

これまで、なんども日本の学校教育のあり方について書いてきました。

問題点は、学校教育より、

学力重視に偏りがちな親のマインドにあるように思います。

そのことについては、後日また触れていくことになります。

私が通う小学校の先生方が、どんな授業をされているかわかりません。

しかし、どの先生も、子ども想いのいい先生だと感じています。

ドリームマップで言った学校の先生も、いい先生ばかりで、

日本の学校がよくないはずはないと思っています。

ただ、不登校の児童生徒が増えているのも事実です。

それは、画一的な日本の教育行政の問題です。

もっといろんな学校があっていいし、

子どもや親が学校を選ぶ選択肢を持つということが大事だと、

繰り返し書いてきました。

 

『日本の教育はダメじゃない』

(小松光、ジェルミー・ラブリー著 ちくま新書)

は、かつて借りて読んだ本で、そのあと蔵書にした本です。

今回、改めて読んでみました。

 

このブログに書いていると思っていましたが、検索しても出てきません。

多くの視点でデータをもとに書かれているので、

捉えどころがなかったのかもしれません。

あるいは、内容が信じられなかったからかもしれません。

今回メモしたところを書き出してみます。

 

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アメリカの教育学者 ジェームス・スティグラー

日本の小中学校とアメリカの小中学校を丹念に比較する研究をし、

1990年代に「学びの差異」「教えの差異」にまとめた。

中学校の数学の授業をビデオに撮って記録・観察して、

日本の先生たちの教えが、アメリカやドイツと異なっていることを発見した。

日本の先生たちはより多くの時間を子どもたちに与え、

数学の別解(別の解答法)について発表させている。

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その別解については、こういうデータがあります。

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別解についての授業の割合

 日本 40%  アメリカ 8%  ドイツ 14%

 

単純な練習・応用問題よりも、

発見・志向型の問題を与える傾向にある授業の割合

 日本 44%  アメリカ 1%  ドイツ 4%

 

日本の学校教育は、しばしば創造性を育まないからダメだと言われるが、

スティグラーが実際にきちんと調査をしてみると、

発見・志向型の課題が使われていて、創造性を育む教育が行われていた。

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【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(63) ええっ!こんなことが? - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』

この本によると、今はやりのアクティブラーニングですが、

これは、もともと日本で行われていた授業の形態であり、

それが逆輸入されてもてはやされているということのようです。

 

日本の子どもは学校が楽しい?

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2012年 PISAの15歳を対象とした調査「学校が楽しいか」について

 日本 34か国中12位、アメリカ 29位、フィンランド 35位

2015年 PISA 「自らを学校の一員と感じるか」について
 日本 5位

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あのフィンランドが35位というのは信じがたい結果です。

 

日本の子どもたちの状況は、

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  1. 国際的にみると勉強時間が少なめである
  2. 受験やテストに対して感じるプレッシャーの程度は国際的にみると普通である
  3. 高い学力を塾通いから説明するのは難しい
  4. 高い学力は、むしろ子どもたちの学習に対する考え方や先生方の授業のやり方によるかもしれない
  5. 勉強に興味をあまり持っていないが、これは「学び」のために必要なことかもしれない
  6. 自分の能力にほとんど自信を持っていないが、そのことが高い学力を支えているのかもしれない
  7. 国際的にみると、学校が楽しいと感じている子が多い
  8. いじめは国際的にみると少なく、不登校も学業の終了という観点からは、欧米のドロップアウトの問題よりは相対的に軽微である
  9. 10代の自殺率は国際的に見て中程度である
  10. 肥満の割合という観点からは、非常に健康である

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まだ、腑に落ちていませんが、このブログに残しておきたいと思い、

メモったものを書き出しました。

 

この週末は衆議院選挙です。

私のポイントは、教育にどれだけより多くの予算を使うつもりか、です。

選挙公報で4人の衆議院選の候補者の政策を読んでみました。

教育に関することはほとんど書かれていません。

  • 「れいわ」の候補が、「インクルーシブ教育を推進し、インクルーシブな社会を」
  • 「日本維新の会」の候補が、「教育の無償化」「学校給食の無償化」
  • 「日本共産党」の候補が、「高校、大学、専門学校の学費ゼロへ」
  • 「自由民主党」の候補は、教育関係のことは何もなし

こんな感じです。

「無償化」というのは、「少子化対策」であって、

教育の多様化や質的向上のことではありません。

世の中には山ほど問題があって、本質的な教育改革は、

選挙の争点にはならないのでしょう。

子どもの未来を考える前に、いまの大人の生活を充実させないことには、

何も始まらないのでしょう。

 

【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(39) 多くの人が知らない大事なこと - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』

ここに書いたように、

「よくも悪しくも、最近は誰もが教育について語っています。

政治家は、演説のたびに教育問題を持ち出します」

という欧米で起こっていることが、

日本ではまだ、ごくごく一部に限られているのは困ったことです。

 

「経済は一流、政治は三流」と言われた時代がありました。

そんなことは長くは続かないのですね。

水は低きに流れるのです。

ネットで見ると、

政治とは「主権者が領土や人民を治めること」

「社会の対立を調整し、社会全体をまとめること」

のようです。

私は、単純にお金の使い道を決めるのが政治だと思っています。

それをするためには、志を持って、人の声を聞き、

多くのデータを集め分析し、仮説を立てて、

判断していかなければならないのです。

すごい仕事だと思います。

人々の生活を豊かにし、未来に希望が持てるように、

どこにどれだけどうお金を使うかを決める。

そこには、打算や利権、私利私欲はないはずなのです。

ここまででやめておきます。