『心を育てる』(鈴木惠子 宇野弘恵著 みくに出版)は、
たまたま本屋で手に取って、ほんのちょっとだけ気になったので、
図書館にリクエストしました。
地元の図書館にはなく、都内にもほとんどないのです。
それでも、東京都立図書館から届き、読んでみると、
思いのほかステキな本でした。
鈴木惠子さんという、本当にステキな先生が存在していました。
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私は教室が、どの子にとっても楽しい場所であってほしかった。
どの子にも、笑っていてほしかった。
明るく、自分らしく、のびのびと、
それぞれの存在感を輝かせていてほしかったのです。
子どもたちがそうあるためには、2つの条件が満たされなければなりません。
1つは、学校に安心安全の土壌があること。
もう1つは、あらゆる場面において、
「自分の人生の主人公」となれる子どもを育てることです。
(中略)
ですから私は、日々の指導のどんなささいな場面においても、
常に、「一人ひとりが主体的に動くこと」「仲間を思うこと」の2点に、
一番の価値を置いていました。
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そんな先生だったのです。
子どもにとって、主体的に生きる力は、この上ないくらい大事です。
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大事なことは、
子どもが傷つかないように先回りして問題を排除してあげることではなく、
問題があれば、子どもたち自身にとことん考えさせることです。
「こうしなさい」と教えるのではなく、
「どうする?」「どうしたい?」と問いかけることです。
しっかり悩ませ、一人ひとりが自分事として、自ら見つめる場にすること、
自分の感情や他者と折り合いをつけながら生きていくことを学ぶ場にすることを、
日常の中でいつも大事にしていました。
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でも、なかなかこうはいきません。
どうしても、いらぬおせっかいをしてしまいます。
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「クラスにこんな子どもがいて困っています。
どうしたら変えることができるでしょうか?
そもそも本当に、子どもはどの子も変わるのでしょうか?」
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この質問に、鈴木先生は、こう答えています。
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私がいつもみなさんに
「答えは、目の前の子どもたちの中にありますよ」
とお伝えしているのは、
「愛情や願いをもって毎日その子を見、その子に接し、
その子と信頼関係をぐ組んでいるあなたにしか、答えはわからないのですよ」
と思っているからです。
私は、「人の性格や考え方は、他人によって、
理屈や力づくで変えることなどできない」と思っています。
(中略)
子どもが変わるとしたら、それは、その子の心が動いたとき。
「先生が変える」のではなく、
「子ども自身が変わりたい」と思って変わっていくしかないのです。
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私も思います。
子どもに向き合うしかないと。
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「批判的な保護者へは、どう対応したらいいでしょう」
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これは悩ましい問題ですね。
私は、放課後子ども教室の先生でしかありませんが、
これまでのところ、保護者対応で深く悩むようなことはなかったので、
この質問に、どう答えていいのかわかりません。
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批判的な保護者には、正論や善悪を並べて説得するのではなく、
先生がどれだけその子を可愛く、
大切に思っているかを感じ取っていただくしかないのです。
そして、どちらも、たった1回何かを言ったから、何かをしたから、
ある日突然「変わる」「理解される」というものではなく、
日々、子どもたちとの授業やドラマを丁寧に紡いでいく中で、
様々なことが有機的につながりあって
「信頼・変容・成長」へと結実していくものだと思っています。
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鈴木先生の言われていることはわかります。
しかし、そんな親の子どもは、たぶん一筋縄ではいかないので、
そんな子を可愛く思えるというのは、先生自身が、
相当できていないとなしえることではないな、と思います。
つづく