【学びの時間】これから先の社会に向けて

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かつて「不安」と「心配」について、こんなことを書いています。

【学びの時間】「心配する」とは? - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

【学びの時間】心配するとは?(補足) - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

 

そして今回、『不安の哲学』(岸見一郎著 祥伝社)を読みました。

そこからいくつか引用します。

 

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対人関係で困難な経験をしたから不安になってのではなく、

対人関係を避けるために不安を作り出す。

これが不安になることの目的です。

対人関係での困難を避けたい人がそうするための理由として、

不安を作り出すのです。

対人関係の困難は、対人関係を避けるきっかけでしかありません。

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いかにも、アルフレッド・アドラー的な表現ですね。

目の前のことを正視せず、向き合って悩むことなく、

逃げようとする気持ちに沿って、体は反応します。

これは、私の身近ところで起こっていることでもあります。

いままでは、それでも生きていける時代でした。

しかし、これからは、どうなっていくでしょうか。

 

不安を作り出さないようになるためにはどうすればいいのでしょう。

対人関係で困難を避けようと思う人が出ないような社会を

作っていくことが、根本的に必要ななことだと思います。

 

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コロナウイルスについては、

不安を感じないために真実から目を背けることは得策ではありません。

怖いからといって目を瞑っても、怖いものがなくなるわけではないからです。

不安から逃れようと思い、真実から目を背けること、

根拠のない楽観主義を生きることは、

かえって不安を増幅させることになります。

そうならないためには何ができるか。

 

まず真実を知ることが大事です。

(中略)

次に、過剰に悲観的にならないことです。

 

(コロナ感染を)風邪のようなものだという人は、

自分や家族が感染することなど、まったく気にしないように見えます。

あまりに楽天的な人は、今できることをしません。

他方、何をしてもどうにもならないと考える悲観的な人は、

何もしようとはしません。

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真実を知ることができる社会、

「ここいま」が大事だと感じられ行動できる社会が必要です。

 

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前近代的な共同体においては、

ほとんどの人が生まれ育った地域で暮らし続けていて、

住んでいる村や町の外に出ないかぎり、

互いに顔見知りであるという親密な人間関係の中で生活していました。

このような社会や行動、移動や通信、社交は限定されていましたが、

物にしても人にしても名前と形がはっきりしていました。

つまり、そこには個性があったということです。

 

三木清は、このような社会では、人間自身にはっきりした形があり、

「人間には生活があった」といいます。

しかし、現代人はそうした限定のない世界に住んでいます。

しかるに今日の人間の条件は異なっている。

現代人は無限定な世界に住んでいる。

私は、私の使っている道具が何処の何某の作ったものであるかを知らないし、

私が拠り所にしている報道や知識も何処の何某から出たものかを知らない。

すべてがアノニム(無名)のものであるというのみではない。

すべてがアモルフ(無定形)のものである。

かような生活条件のうちに生きるものとして、

現代人自身も無名な無定形なものとなり、無性格なものとなっている」

(人生論ノート)

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個々の違いが個性として生きること、足りないところを補い合って生きること、

そんな個の尊重とつながりのある社会が必要です。

 

不安を消そうとするのではなく、

どんなときに不安を感じないのかを考えてみる必要があると思います。

孤独・孤立したときになるのが不安な状態ではないかと思います。

それはどんな時かというと、まわりの人が、

自分を認めてくれていない、支えてくれないだろうと思えるときでしょう。

では、不安をなくする解決策は、

自分の存在が認められていると感じられ、支えてもらえることに感謝が湧き、

自分も人の役に立つとこができると思える社会を作ること以外になさそうです。

 

引用した3つのフレーズは、それぞれ違った趣きを持っていますが、

どうしたらそうならないかを考えていくと、同じ到達点た見えてきました。