最近、小説をいくつか借りていて、
これまで少なかった小説の読書の時間が増えている。
この本は、いい本だった。
「おぞましさ」がまったくない本だった。
一言でいえば、「温かみのある本」なのである。
この中で拾ったいくつもの「いいな」と感じた言葉たちはこれ。
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「叶えなかったらダメなのかな。
夢を持ってるっていうこと、そのものが、人を輝かせるんじゃないかな」
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「好きとか嫌いとか、そういうことじゃないんじゃないかな。
ただ誰かの力になりたいって、ひとりひとりのそういう気持ちが、
世の中を動かしているんだと思う。
俺が、芝居やっているという理由もそうだよ」
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「切り絵しているときの母さんは、きれいだった。
こわいくらいに。
すごい集中力で、なんだか違う人みたいで、
話しかけることもできなかった」
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どんな状況も、私たちには、
良い悪いとすぐにジャッジする事なんかできないかもしれない。
物事は、いつもただ起きる。
そして、私たちは、起きていることが、自分にとって、
みんなにとって「いいこと」になっていくようにと、
願い、信じ、行動することだけだ。
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月は毎日姿を変える。
必ず変える。
途切れなくつづく毎日の中で、輝きながら、消えながら。
それは月が示してくれる私たち自身なのかもしれない。
時の流れに乗ってすべてが移ろい、
このサイクルが車輪となって前へ前へと自分で運んでくれることを、
理屈ではないところで教えられている気がする。
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この本の中では、おぞましい人もいないし、おぞましいことも起こらない。
みんな真面目に生きている。
だからこそともいえるが、自分の事にアップアップで、
周りや周りの人が見えていない、いや、見損なってしまっている。
そして、悲観的な孤独に陥ってしまっている。
そんな数々の人たちが、日常のある些細な接点を持ちつながり合い、
お互いに影響し合って、周りや周りの人のすばらしさに気づいていく。
そこにあるのは、感謝と幸せ感だ。
そして感じたのは、気づくことで救われるということ。
好きがある、夢がある、それはすなわち誰かのためになるという想いなのだ。
そこに向かう姿は、とってもステキだということ。
今日、1年生から、「おぞましいってどういう意味?」って聞かれた。
「ひどいこと、悪いこと、見るもの嫌なくらい良くないこと」
と答えたが、とっさには言葉が出てこない。
辞書によると、こうなっている。
- いかにも嫌な感じがする。ぞっとするほど、いとわしい。
- 我 (が) が強い。強情だ。
- たけだけしく、恐ろしい。こわい。
実は、子どもの世界にも「おぞましさ」がある。
いや、大人に押しつけられ、誘導されていると感じることがある。
それを最近感じる中で、この本にはそういうことがなくて、すがすがしい。