コミュニケーションが苦手とはなに?
発達障害のある人はコミュニケーションが苦手と言われますが、
そもそもコミュニケーションの何が苦手なのでしょうか?
この本には、コミュニケーションが苦手というのは、
「相手が自分に求めている期待にこえることが苦手」と書かれています。
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- 学校での休み時間、テレビ番組の話で盛り上がっている子どもたちは、輪の中に入ってこようとしたクラスメイトに「その番組の話をしてほしい」と思っている。
- 会社で会議の時間、上司は若手の社員に対して「自発的に意見と言ってほしい」と思っている。一方で、「あまり長くしゃべりすぎないでほしい」とも思っている。
一方、
- 今は、このテレビの番組の話をしているからね。その話かとても楽しいから話題を変えようとするのはやめてほしい。それをされると、僕たちは嫌な気分になってしまうよ。
- さまざまな意見を積極的に出してほしいんだ。ただ長くしゃべりすぎないでね。会議の時間はみんなで共有している時間だから、そこで一人だけ長い発言時間を取ると、周りの社員は自分の時間を取られたように感じてイライラするよ。
なんて、わざわざ言ってくれない。
だから、
- コミュニケーションを上手く行う(相手の期待を正確に読み取る)ためには、一度に多くの情報について意識しなければいけない。
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これを読んだとき、「相手の期待を正確に読み取ることなんて、
障害があるなしに関わらずできないよね」と思いました。
自分優先の私にできるはずもありません。
そもそも、相手の期待を読み取る必要があのでしょうか?
それを意識しすぎると、何もできなくなります。
そのこと(相手の期待を読み取ろうとし過ぎる)そのものが、
「コミュニケーションが苦手」ということではないでしょうか?
相手の期待を読み取ろうなんて意識しなくていい、
その場の雰囲気を感じ取ることで、
自分が入っていけると思えば入っていけばいいし、
違うな、居心地悪いなと思えば、その場にいなくていいし、
いたとしても合わせる必要はない、と思います。
いわゆるKYとは、「その場の空気を読んで、無理に合わせる」
という意味合いがあると思えますが、無理に合わせる必要はないですよね。
たぶん、発達障害のある人は「その場の雰囲気を感じ取ること」が苦手、
したがって、コミュニケーションをとるのが苦手ということになるのでしょう。
発達障害のある人の傾向が、この本には書かれています。
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- 自分の考えを人に伝えるのが苦手
- 頭の中に言葉が浮かびにくく、映像的なイメージが浮かびやすい
- さまざまな考えが一気に浮かんでしまい、話すべき内容をしぼれず、しゃべりすぎて要点が伝わらない
- 「他人の感情」だけでなく、「自分の感情」に気づけない
- 自分の体調不良に気づかず、頑張りすぎる
- 全体を意識することが苦手で、部分的なことに注意が向きすぎる
- 自分の感情の度合い(強い・弱い・中くらい)に気づけない
- やるべきことが指定されていない自由な環境が苦手
- さまざまな価値基準を同時に意識せず、ひとつの基準だけにこだわりがち
- 立派な社会人になるためにひたすら頑張ることにこだわる
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あくまでも、そのような傾向のある人たちがいるということで、
こうだから、障害があるということではないのです。
感情に対して鈍感という傾向がある人がいる一方で、
感情に過敏な人、いわゆるHSP(Higly Sensitive Person)もいるようです。
そうなると、発達障害というのはなんなの?ってことになります。
個性がちょっと大きく両極す振れてしまっている感じです。
監修者のあとがきには、このように書かれていました。
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いままでの本は、行動の特徴とそれにどう対応するかを述べることに終始し、
単なる対処療法になっていました。
本書は、行動を生み出す基盤にある「ものの見方と考え方」
つまり認知の枠組みの特徴を理解することで、
将来起こるかもしれない問題への予防的対応を可能にしています。
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さまざまな苦手なことやミスや行動の傾向は、
それが起きるのは、本人の中でどんなことが起こっているからなのか?
を整理し、では、どう対応していけばいいのか、
将来起こるかもしれないトラブルをどう少なくしていけばいいのかを、
丁寧に説明している本です。
当事者、その関係者のヒントになる本だと思いました。
ここからが発達障害という線引きはないと思います。
家庭の事情柄、発達障害に関する本はよく読みます。
そこに書かれている内容は、発達障害のあるなしに関わらず、
自分に向き合うには必要なことだなと思います。