--------------------------------------
いま、生きているすべての生き物は、気の遠くなるような長い時間、
過酷な環境を生き抜いてきました。
人間も、数百年前に立って歩き始めた頃から、ずっと進化を続け、
競争に勝ち残り、子孫を増やして生き延びてきたのです。
私たちも、私たちの子どもも、その子孫です。
赤ん坊は弱い存在だけど、
「自分が生き延びるためにどうすればいいか」
「自分が幸せになるにはどうしたらいいか」
という本能を備えて生まれてくる。
心理学や脳の研究、医師としての仕事を通じて確信したのは、この点です。
時代や環境は変化しますが、どんな環境でも、
自分が生き残っていくためにどうしたらいいかを
見つけていく力が子どもには備わっています。
この本で私が書きたいことは2つあります。
まず、子どもに「元気」でいてもらうには、
親としてどう接するのがいいか、ということです。
そして、もう一つ。育児はそれ自体が目的であり、手段ではないということ。
子どもとすごすこと自体が、とても贅沢で幸せなことであるということです。
--------------------------------
これは、『子どもが幸せになることば』田中茂樹著の ” はじめに "
に書かれている内容です。
” 生きているすべての生き物は、気の遠くなるような長い時間、
過酷な環境を生き抜いてきた "
このまぎれもない事実を、私たちは忘れていると思います。
人間も然りで、生まれてきたときに備わっているもの、
そして人生の営みの中で生きていこうとする力、
これが信じられなくなっているのが現代かなとも思うのです。
以前にToday's Tipにも引用した矢作直樹さんのこの言葉
" 私が思うに、現代人がさまざまな不調を訴え
病を生じる人が多いのは、当然のことです。
なぜかというと、からだへの「感謝」が足りないからです。"
これもまた重い言葉です。
結局、人間は、「偉大だという思考を持つ、考え過ぎる葦」
になってしまったようです。
テレビをつけても、社会・経済・世界の情勢について、
いろんな人が出てきて、専門的(?)なうんちくを語っています。
それが、とっても心地よくない自分がいます。
頭で考えた見方や状況ではなく、
生きている人間、生身な人間に魅力を感じます。
どう生きるかに関心があります。
真理って、
「宇宙(自然)の摂理」のなかで、
奇跡的に生まれて今ここにいるのが自分であるということ。
だから、気の遠くなるような年月を経た結果として存在する
ひとりひとりがかけがえのないもの。
そういうことなんだと。
こんなことが、本を読みながら感じたこと、
そして、書きながら形になってきました。