この本は、ほぼ1か月前に読んで、1か所だけメモを取っていました。
それが、今日読み終えた本とつながってきた感じがあるので、
ここに書きだすことにしました。
お風呂に入っている時、出てきたイメージで書き始めています。
タイトルは、お風呂で出てきた「しわ寄せる社会」を使います。
それは、「しわ寄せる政治」と言った方がぴったりします。
高度成長期以来、社会、ひいては政治は、
私腹を肥やすためのものになっていると言っても過言ではないと思います。
一部の人たちの私服(至福)のために、
多くの人がそのしわ寄せを受けて苦しんでいます。
それは、「自助・共助・公助」の言葉に現れています。
自助ができる人たちが、自助ができない人たちのことを理解していない、
理解しようとも思っていないで、見下しているスローガンに聞こえました。
お金がない所には、苦しさや諦めによって自暴自棄的な犯罪が起こります。
お金があり余るところでは、傲慢やモラル破綻で知能的な犯罪が起こります。
政治は、お金が動かないところに、お金はかけません。
政治素人の私がこう断言できるほど、あからさまなのが今の日本の政治ですね。
これまで、そんな時代でしたが、それが今変わろうとしているのではないか、
そう感じています。
「盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず」だからです。
その意味で、「その時代を経て」と付け加えました。
前置きが長くなりましたが、
『恋愛結婚の終焉』(牛窪恵著 光文社新書)から引用します。
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ヨーロッパは大学を無料にする国が多いほか、
アメリカもスカラーシップ(奨学金制度)の基本は「返済不要」で、
有利子の教育ローンと明確に区別しています。
ところが日本の奨学金は、世帯所得などによって受給資格が線引きされるうえ、
6割以上が有利子です。
本当にこれで良いのでしょうか。
政治の大きな役目は、若者に未来の希望を抱かせることであるはずです。
彼らの未来への出資は、「施し」ではなく「投資」でしょう。
イノベーションに官民120兆円もの投資を掲げるのであれば、
その一部をなぜ奨学金関連に回さないのか、理解できません。
現代は生活上のリスクが「10~20代の人生の前半に始まる」とし、
「人生前半の社会保障」の重要性を説いたのは、
京都大学人間・環境学研究所の広井良典教授です。
彼は、教育世界一ともいわれるフィンランドの元議員
イルッカ・タイパレ氏の著書を引用し、
「福祉社会と国際競争は互いにパートナー関係にあり、
無料の学校教育によってもたらされる市民のしあわせと社会の安定は、
「特許のないイノベーション」であると述べました。
(2010年「イミダス」集英社 4月9日掲載)
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これもまた、しわ寄せが、苦しむ人を生んでいるという例だと思います。
今日読み終わった本は、
『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(山田昌弘著 光文社新書)
で、そのなかに、
母親が、奨学金を借りている男性とは結婚してはいけないとまで言い切る
エピソードがありました。
少子化は、「しわ寄せる社会」構造の結果であって、
補助金や高校・大学の無償化だけで解決できる問題ではないでしょう。
若者の自助では、どうしようもない社会の仕組みなのです。
関連する本を、年末年始に読む予定なので、
このテーマについては、これからじっくり考えてみたいと思っています。