味わいことばノート 108 人間にだけ白目がある

引き続き、『不自由な社会で自由に生きる』

(ウスビ・サコ著 光文社新書)から引用します。

 

味わいことばノート 108

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ゴリラからテナガザルまで、いろいろな類人猿がいるけど、

どれも目は黒目で白目がないんです。

瞳の外側は皮膚と同じような色で、白目があるのは人間だけです。

白目があると、微細な目の動きをモニターできます。

目を見て、相手の気持ちを読むことができるわけで、これは人間だけが持つ、

親から教わる必要のない、生まれつき持っている能力なんですね。

世界中の人が白目を持っています。

 

これは、現代でもとても重要です。

例えば、就職活動で、どの会社も面接しますよね。

重要なことは、すでに書類に書いてあって分かっているのに、

相手の品格や性格を読むために面接するんです。

我々は、相手の気持ち以上のことを目から得ているんですね。

気持ちを読む、共感能力を高める必要があったから、白目ができたわけです。

 

なぜ、お互いの気持ちを読む必要が生じたかというと、

人間は共食を始めたからです。

熱帯雨林を出て草原へと進出した人類は、直立二足歩行を初めて、

自由になった手で食べ物を分配して、一緒に食べるように庵ったのです。

チンパンジーやゴリラは食物のある場所でしか分配しません。

ゴリラやチンパンジーは、時折食物を分配しますが、

食物を運ぶことはありません。

じゃあ人間はどうするかというと、食物を採集したとき、その場で食べずに、

自分の必要以上の量を集めて、仲間のもとへ持ち帰り、

仲間と分配して仲間と一緒に食べるんです。

そして、食物が仲間との関係をつくります。

食事がコミュニケーションの進展になっているんです。

食事は共感能力を育む場です。

食べ物を分けるのは、ケンカが起きやすい状態で、

ケンカしませんという前提で食べるわけです。

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写真に意味はありませんが、

リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、

散歩中に撮った写真を適当に貼っています。