【学びの時間】人とのつながりを作ることが、ソロで生きる力

『超ソロ社会』(荒川和久著 PHP新書)

この本の要点は、タイトルの「ソロ=人とつながって生きること」です。

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精神分析医で小児科医のD.W.ヴィニコット氏が提唱した

「ひとりで生きられる能力(Capacity to be alone)」というものがある。

「ひとりでいられる能力」獲得には、

幼児期に母親と一緒にいてひとりであったという体験が必要。

「母親がすぐ近くにいて、いざとなれば助けてくれると確信しているからこそ、

幼児は安心してひとりで遊ぶことができる」という状態。

「ひ`とりでいられる」ということは、

「誰かがいる」ことを感じられるということ。

ひとりでいても不安にならない状態が、物理的にひとりでいても、

心理的に孤立を感じなくなる「ソロで生きる力」へと発展する。

「ソロで生きる力」は、ひとりでいる状態に耐えられる我慢能力ではない。

誰かとのつながりが前提となる。

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なるほどなって思います。

 

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もうひとつの「ソロで生きる力」とは「自分自身を愛する力」。

エーリッヒ・フロム(ドイツの社会心理学者)が、

著書『愛するということ』で言っている。

「ひとりでいられるようになることは、

愛することができるようになるための必須条件である」

誰かにもたれかかるのも、誰かを支え続けるのも、親子愛や夫婦愛、

男女愛よりもまして、真っ先に愛すべきは自分自身という点である。

「自分で自分を愛せるようになれた人間こそが、他者を愛せるようになる」

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何よりも先に大事なのは自分なんです。

 

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平野啓一郎(作家)のことば

「一人の人間には色々な顔がある。つまり、複数の分人を抱えている。

そのすべてが本当の自分であり、人間の個性とは、

その複数の分人の構成比率のことである」

「個人)を表す英語 individualから、

否定の接頭辞 inを取った dividual = 文人としている。

 

大量消費時代「十人一色」みんなが同じものを買い、

同じテレビを観て、同じような家庭を築いた時代

自己実現や個性重視の時代には「十人十色」に変化し、

それが今や「一人十色」となった。

以前から人間はそうだったのだが、それがやっと認識されるに至った。

 

多様性の時代とは、違う価値観を持つ人がいる社会ではなく、

ひとりの中の多様性が認められる時代。

自己啓発本を読んだり、瞑想体験教室に行ったり、

滝に打たれること自体を否定はしない。

自分と対話して、自分を見つめ直し、

それによって自分を認められるようになるなら、それに越したことはないが、

言うほど簡単ではない。

それらはすべて自己の内側に向かっている。

 

ソロで生きるためには、内にこもるより、まず外に出たほうがいい。

そして、人と出会い、会話をし、そうした人との関わりのなかで、

自分の中にいるたくさんの自分自身を活性化してほしい。

もちろん、出会った人全員が結果としてプラスに作用するとは限らない。

しかし、マイナスに作用すると判断した他社とはつながりを断てばいい。

それこそ、つながりを選択する行動である。

そうした行動の積み重ねが、

自分への「承認」や「達成」を実感できる体験を生む。

その体験はやがて自己の社会的役割の確認につながり、

そうして人は自分自身を愛せるようになるのだ。

 

気をつけたほうがいいのは、他者との出会いで、

他者から何かを得ようとしないことだ。

何か見返りを期待して他者と出会うことは、

それはほんとうの意味で他者と向き合ってはいない。

自分自身が描いた他者像に相手を重ね合わせているにすぎない。

 

自分を愛せない人ほど、自分に厳しく、

自分に厳しいがゆえに、他者にも厳しい。

自分がこれだけやったのに....と、

自分が果たした義務と同等の義務を相手に要求しがちだ。

自分を愛するとは、自己受容できることであり、

同時に他者にも寛容になれるということだ。

義務を果たしたかどうかで、他者を判断することは違う。

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以上は引用しながらも、少し丸めてみました。

その通りだよねって思います。

 

親というより大人は、子どものことを心配するより、

まず自分のことを思い、大事にした方がよい、

私は、ある時点からそう思って生きてきました。