【学びの時間】予見される未来② 「前史の時代」から「本史の時代」へ

『田坂広志 人類の未来を語る』(光文社)から、引き続き学びます。

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我々一人一人の「意識の改革」を抜きにして、

いかなる「制度の改革」も危機を超える力とはならないだろう。

振り返れば、人類は数千年の長きにわたって、

この「人類意識の変容」を願いながら、

それを実現することができないで、歩んできた。

しかし、人類滅亡の深刻な危機に直面しているいま、

我々はまったく新たな挑戦によって、

この「意識改革と変容」に取り組んでいかねばならない。

その「まったく新たな挑戦」とは、過去、数百年、

対立し決して交わることのなかった「科学」と「宗教」が、

その対立を超え、結びつくことである。

 

そのとき、これまで、

「宗教」が語り続けてきた「利他主義」と

「科学」が語り続けてきた「合理主義」

その二つを弁証法的に止揚した「合理的利他主義」が、

この地球に広がっていくだろう。

 

その道だけが、21世紀における人類文明の生存への道であり、

さらなる発展の道である。

そして「科学」と「宗教」が手を携え、人類の文明が、

さまざまな危機を乗り越え、さらなる発展への道を歩むとき、

いよいよ幕が開ける。

 

人類の「前史の時代」が終わり、「本史の時代」の幕が開ける。

本書は、その幕開けの願いを込めて書かれた。

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この科学と宗教の融合は、私には思いも及ばないことですが、

前史から本史へという、この本の最後の締めくくりが、

この予見で綴られています。

 

「前史の時代」とは何でしょう?

『運動脳』(アンデシュ・ハンセン著 サンマーク出版)に

このような図がありました。

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私たちが、農耕生活に転じて以来、1万年が経過した。

私たちが農民なった時代は、

時間軸で考える人類の歴史全体のわずか1%に過ぎない。

工業化時代は約200年続いたが、今の私たちにとって、

1800年代は、まぎれもなく遠い昔であり、

これも非常に長い年月と言えるだろう。

とはいえ、進化の観点では、ほんの一瞬に過ぎない。

人類の歴史を1日に短縮すると、

私たちは午後11時40分まで狩猟採集生活を送っていた。

 

工業化社会が始まったのは、午後11時59分40秒。

デジタル社会、つまりインターネットにつながったのは、午後11時59分59秒。

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『運動脳』は何を私たちに伝えているかというと、こういうことです。

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脳にとって最高のエクササイズとは何か?

15年間にそう聞かれたら、

多分私はクロスワードパズルなどを思い浮かべたことだろう。

とこらが、多くの人が驚いたその答えは、身体を動かすことだという。

身体を動かすと、気分が晴れやかになるだけでなく、

あらゆる認知機能が向上する。

記憶力が改善し、注意力が研ぎ澄まされ、創造性が高まる。

それどころか知力に名で影響が及ぶという、

これぞまさに正解。

脳にとって最高のエクササイズに違いない。

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最近の技術進化、特にスマホの出現は、

人類の未来に大きく影響しているように思えてなりません。

人類の歴史の中では、瞬きする時間ほどでもないこの数年、

とてつもない変化が起こっているように思えるのです。

著者もこういっています。

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ここ数年の科学技術の進歩により、

私たちはパソコンやスマホを眺めて過ごす時間が増え、

そのいっぽうで、身体を動かす機会は大幅に減った。

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今の巷では、スマホに囚われた人たちの姿が目に付きます。

近い将来、大半の人が認知症になるのではないか、

そんなことも思ってしまいます。

 

しかし、そんな今を生きながら、

 『人類の「前史の時代」が終わり、「本史の時代」の幕が開ける』

と語っているのが、田坂広志さんなのです。

 

昨日、ある会に参加しました。

人と人とのつながりを大切にする人たちの交流会です。

比較的年齢層は高いですが、「前史」の締めくくりをして、

「本史」につないでいくのは、私を含めて、

古き良き時代を知っている年齢層の人たちではないか、

そんな気がしたひとときでした。