『伝わるちから』(松浦弥太郎著 小学館文庫)より
味わいことばノート 83
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「おもてなし」とは、いわばサービスという名の、
他人に対しての行為や心持であると思われているけど
僕は違うと思っている。
「おもてなし」とは、日々の生き方ではなかろうか。
それは外に向いた意識ではなく、自分自身の内側に向けた意識であり、
その結果として、自然に他人に施されたものが、「おもてなし」だ。
「おもてなし」の目的が、他人をしあわせにすることであるならば、
まず自分自身が、しあわせであることが大切と考えたい。
しあわせとは、誰かが決めるものではなく、
自分自身の感じ方、考え方である。
そこには基準や比較がるわけではない。
そして、しあわせは、結果でもなく、目に見えるものでもない。
「おもてなし」とは、自分自身による、
しあわせに対する積極的な生き方の表れそのものである。
しあわせを、独り占めもせず、喜んで分かち合う。
そこに、日本人の「おもてなし」の本質があると、僕は考えている。
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味わいことばノート 84
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「幸運」とは、いつも誰かが運んできてくれるものだ。
一人で手にできるものではないということだ。
「幸運」とは拾うものではなく、必ず誰かが自分に手渡してくれるもの。
そしてまた、自分も幸運を人に手渡す立場であることを忘れてはいけない。
「幸運」とは、そんなふうに、互いに分かち合うものである。
だから、もし求めているものがあるのではなく、
まずは先に自分から人に与えること。
それはたった一杯のお茶からであってもよいのだから。
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