【学びの時間】いまどきの若者たち

 

この『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史著 光文社新書)

ファスト映画・ネタバレ -コンテンツ消耗の現在形

この本を読んだとき、最近、関わっているのは中学生以下の精度・児童で、

いわゆる若者と話をしていないなと思いました。

 

もう何年も前、会社のお勤めをしながら、就活支援のお手伝いをしていました。

そのことについては、ブログには書いていませんが、

何人もの学生さんと、いろいろお話をしました。

人生の扉 - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

 

このブログに書いた、最初に出会った学生さんも、

志望の就職ができ、家庭も持っています。

一時期青学に行っていましたが、その何人もが結婚出産を経験しています。

今日、4月20日は、孫娘の菫の3歳の誕生日でした。

何と奇遇にも、青学の学生のその子の赤ちゃんが生まれたのは、

菫とまったく同じ日だったのです。

 

今月初め、青学の学生ではないけど、ベルーフで就活支援した人から、

思わぬメッセージが届きました。

就職した先で頑張っていて、

今回上海に海外出向が決まったというお知らせでした。

就職後もFacebookでつながっているので、

まったく何もないということはなかったけど、

ほぼ何もやりとりがなかっただけに、うれしい限りでした。

 

ベルーフの活動がなくなってから、

学生や20代の若者たちとはほぼ没交渉だったので、

最近の若者のことはよくわかりません。

ただ、私が就活支援で関わった学生さんたちに、

特に「いまどきの若者は云々」というようなイメージはなく、

違和感を感じたことはありませんでした。

だから、この本を読んで、ここに書きだすことについて、

果たしてそうなんだろうかということは、

私には実感できないのです。

 

最初にこんなことが書かれていました。

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TVアニメシリーズ「鬼滅の刃」(第一期)の第1話。

主人公の竈門炭次郎は、雪の中を走りながら「息が苦しい。

凍てついた空気で肺が痛い」と言い、

雪深い中でがけから落下すると「助かった、雪で」と言う。

しかし、そのセリフは必要だろうか?

丁寧に作画されたアニメーション表現と声優による息遣いの芝居によって、

そんな状況は説明されなくてもわかる。

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これは逆にいうと、説明がなければわからないという状況があるのでしょう。

 

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「2021年一般向けモバイル動向調査」によれば、10代の94.6%、

20代の92.9%がスマホや携帯電話(ガラケー)でLINEを利用している。

これは同じSNSであるTwitter(10代の80.1%、20代の75.4%が利用)や

インスタグラム(10代の68.0%、20代の63.4%が利用)を圧倒する利用率だ。

LINEの友達グループは四六時中つながっている。

文字通り、朝起きてから夜寝るまで、いつでも連絡できるし、

常に何かしらの反応が求められる。

とはいえ、世間話のネタがそれほど転がっているわけではない。

そんなとき、手っ取り早く盛り上がるのが、

「あれ観た(聴いた)? おもしろかったよ。おすすめ」だ。

映画やドラマやアニメ、あるいは楽曲など、

つまりコンテンツについての話題である。

このような話題を無視することは難しい。

自分が話題に乗れないばかりか、反応を返さなければ波風が立つからだ。

いわゆる「既読スルー」は、「その話題には興味がない」

という積極的な態度表明と受け取られてしまうので、できれば避けたい。

話題に出た作品はなるべく観て、感想を言う必要がある。

そうしてグループの和を保つ。

大学生を中心とした若者世代にとっては、仲間の和を維持するのが至上命題。

とにかく共感しあわなければいけない。

博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所 森永真弓氏は、

これを「共感強制力」と呼ぶ。

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こういう状況は、実際にあるのだろうか?

私にはよくわかりませんが、確かに、

周囲を全く気にせず、電車のドア近くに立ってスマホにふけったり、

スマホ歩きで自分の中、あるいは、

生身の現実ではなくバーチャルに閉じこもっているように見える若者の状況は、

すごく、私のとっては、心穏やかではないことです。

スマホ歩きは、なにも若者にかぎったことではないのですが。

 

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「飛ばした10秒の中に、

後の伏線になるような重要なシーンが含まれていたら困るのではないか」

という倍速視聴批判派の声に、

ゆめめ氏は、

「どうせ自分には気づけないので、

そういうのはプロに任せればいいやと思っちゃう」と答える。

単純な自己評価の低さとも、また違う。奇妙な謙虚さ。

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この本を読んで、私の中では、こんな言葉がさまよっています。

  • 鑑賞から消費へ
  • 「観たい」ではなく「知りたい」⇒ 倍速で・飛ばしながら「見る」
  • もはやこの本のタイトルは、『映画を早送りで見る人たち』である
  • 興味なくても、共感強制力で、観る・聴くではなく、こなしている
  • 沈黙に耐えられない状況があるようだ
  • 行間が読めない
  • 説明過多で、言葉で表現されない部分がわからない
  • わからないから、わからないことは、つまらない
  • だから、つまらない部分は、早送りや飛ばして見る
  • 人間としての感性が失われつつあるのではないか
  • 先に結果を知って安心したい
  • ネタバレ消費とは、単に消化すること
  • 嫌なものは見たくない。結果をまず知らないと、安心しできない
  • 失敗したくないから、まず結果を知りたがる
  • 失敗することが怖い
  • 失敗は、つまらない作品に当たって時間を無駄にするも含む
  • 何ごとも「コスパ」「タイパ」

どうしてこうなったのかと言うと、

  • キャリア教育が「回り道」を閉ざした、ということらしい
  • ある若者がこう言っている「自分たちの世代は社会への還元とか、生産性の向上を教えるべきだという思考を強いるような ”圧力” をすごく感じる」
  • もう一つ言えるのは、SNSによって同世代と自分を容易に比較できてしまう時代であるがゆえに、常に「横を見ている」若者たちだから

 

若者(学生)をとりまく環境も変わっているようです。

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月平均の仕送り額から家賃を挽いた生活費が激減している。

過去最高の1990年に73,800円だったものが、2020年には18,990円になっている。

いまどきの学生は、遊ぶためのバイトではなく、

生活するためのバイト素子ないといけなくなっている。

だから、趣味も安上がりになる。

それは、映画を観ること、YouTube、ABEMA、TVerは無料。

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私には実感がないので、この本に書かれていること、

そこから読み取ったことを書いてみました。