夢は時計回り

夢とは、辞書的には「将来実現させたいと思っている事柄」となっています。

意味としてはその通りだけれど、これではまさに、夢がないですね。

 

ドリームマップは「夢への地図」。

  • こうなったらいいな!
  • こんなことしたいな!
  • こんなおとなになりたいな!

とワクワク思うことを写真や文字で台紙にえがきます。

 

私がライフワークとして参加しているドリームマップ授業では、

ワークブックの1ページ目を開いて、こう説明しています。

毎回、1時間目の授業の冒頭で、こんな導入をしていました。

そう言われても、将来どうしたらいいのかわからない子はたくさんいます。

 

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写真にあるように夢を描く4つの視点でいえば、

真ん中に「なりたい自分」という夢を書き、

自分がほしいもの、やってみたいことなど、

左下から反時計回りで考えていきます。

少なくとも私は、その順番でやっていました。

 

過去ずっとそうしてきましたが、

小中学生の子どもたちにとっては、右上、左上に行くにしたがって、

どうしてよいのかわからなくなる状況が多々見られました。

特に左上の社会のところに貼る写真や切り抜きがない、

何を書いたらいいかわからない、

というケースにも、何度も遭遇してきました。

普段あまり考えたことがないから、ということもあります。

 

ある意味、ドリームマップのワークブックはとてもよくできているので、

容易な言葉でわかりやすく書かれてはいても、

子どもたちには、かなりハードルが高いともいえます。

 

自分の子どものころを考えてみると、将来何になりたい、

こんなことをしたいということは、ほとんどなかったなと思います。

唯一覚えているのは、アフリカのサバンナのレンジャーがいいな、でした。

それは、たまたま観たテレビ番組の影響でした。

ただ、今思えば、そのころから、

海外に出てみたいという気持ちはあったのかもしれません。

田舎に育ちながら、未知なものに触れてみたいと思っていたのでしょう。

会社を選ぶときにも、海外に行ってみたいという思いが強くありました。

そして、海外に行って仕事をしました。

 

夢というと、私の時代には、

「大きくなったら何になりたいの?」

  •  「パイロットになりたい」
  •  「スチュワーデスになりたい」
  •  「プロ野球選手になりたい」

だいたい、こういうのが相場だったと思います。

 

これもまた、夢というより、

将来の自分の可能性を狭めてしまっているという感じがします。

夢って、もっと広がりのあるものではないかと思います。

また、あこがれだけで思っても、だいたいにおいて狭き門なので、

そうなれなかったとき、方向を見失ってがっかりし、

その先の夢を考えられなくなる、そんな危険性もあるように思えます。

 

その当時は、高度成長期で、

将来も、がんばればなんとかなると思われた時代だったので、

それはそれでよかったのかもしれません。

しかし、いまの時代は、世の中自体の先が見えなくなってきています。

いままであった多くの職業が将来なくなるかもしれない、

また足元が、コロナ禍など、かつてなく不安定になっているのが、いまです。

いまを生きるのが大変な状況の中で、

どんなことをしたいのか? どんな大人になりたいのか?

と言われてもね、.... というのが本音でしょう。

 

そう考えたとき、自分の夢を考えると言っても、容易ではありません。

夢やキャッチコピーは、そう簡単には出てこないでしょう。

そこに思いをめぐらせたとき、自分から反時計回りに考えるより、

まず、「こうなってほしい社会」から、

反時計回りに考える方がよいのではないかと、最近思いつつありました。

 

将来をイメージしてみましょう。

  • 社会がどうなっていたらいいですか? どうなったら幸せですか?
  • そのとき、まわりには、どんな人がいますか?
  • そこには、どんな自分がいて、何をしているでしょう?
  • 自分は、どんな生活を送っていますか?

すでに、どうなりたいかが見つかっている子は、

それはそれでよいと思います。

しかし、そうでない子は少なからずいるので、

次回から、キャッチコピーを考える前に、

この時計まわりで、考えてもらおうと思っていました。

 

実はこれまで「ゆめドリ」のホームページを見たことがなかったのですが、

今回見てみると、こんなことが書かれていました。

https://yumedori.or.jp/yumedori/our-dreams/

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ゆめドリの事業の一つである「キャリア教育ドリームマップ授業」で描く「夢」

「大きくなったら何になりたいか」ではなく、

「こうだったらいいな、こうだったら幸せ」と自分自身が思う未来です。

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これを見て、この時計まわりのやり方でいいんだと感じました。

 

自分事で見てみると、

Solの夢は、「こうなってほしい社会」「えがおにしたい人」が中心です。

その想いは、先日書いたとおりです。

https://solcafe.hatenablog.com/entry/2020/10/01/094926

 

夢とは、「未来に起こっているステキなこと」だと思います。

  • 自分の居場所だと思える未来のステキな状態
  • そこでは、日々ステキなことが起こっている
  • 自分も、みんなも幸せを感じている

それを、イメージしてみると、

意外と自分の夢は、自然に出てくるのではないかと思います。

 

また、真ん中に書くキャッチコピーは、すごく大事だと最近思っています。

何になりたいかよりも、その根底にあるものが大事だと思うからです。

 

だから、○○という夢より、

その人の想いやあり方が出てくるキャッチコピーがととても大事なのです。

○○は、時間の経過で変わります。

しかし、○○というなりたい自分を彩るキャッチコピーは、

○○が変わっても、変わらないのではないかと思います。

  • ワールドカップでゴールを決めてガッツポーズするサッカー選手
  • 鋭いドリブルで突破力抜群のサッカー選手
  • まわりに声掛けしてチームワークで勝利を引き寄せるサッカー選手
  • 見てくれる人に感動と元気を与えるサッカー選手
  • 苦しくてもへこたれずやり抜くサッカー選手
  • 自分が楽しくプレーすることで、チームが勢いづくサッカー選手
  • 相手の強み弱みを分析して戦略を練る頭脳派サッカー選手
  • 粋で華麗なサッカー選手
  • 控え目でも心は熱いサッカー選手

私が勝手に考えたキャッチコピーですが、

同じサッカー選手でも、どんなサッカー選手になるのかは、

人それぞれで、そこに個性が現れます。

たとえ時間の経過で、サッカー選手が、ビジネスマンに代わったとしても、

キャッチコピーの根底にある軸は、変わらないのではないかと思います。

確かに、それも変わることもありますが、それはそれですごいことです。

価値観が変わるような体験によって、

その気づきから、新たな進化した軸ができたのかもしれません。

 

どんな社会に住めたら幸せか?から時計回りにイメージしてくことで、

これまで気づかなかったキャッチコピーが生まれてくるかもしれませんね。

 

ここからは、おまけです。

 

”反時計回りは「発散」の方向、時計回りは「収束」の方向”

ファシリテーション塾のときに、主宰の「とうりょう」は、

ものすごくここにこだわっていました。

収束の方向が望ましいときには、円座の順番を必ず時計回りにしていました。

 

そういう視点に立つと、ドリマのこの4つの視点も、

時計回りが、すんなりなじめる感じです。

実は、「育自のための小さな魔法」の「育自と社会貢献の関係性モデル」は、

順番が逆で、自分から右回りに発想していきます。

持続可能な地球をつくるために社会はこうあるべきというように、

上位からブレークダウンしていく「ねばならない」で回っているので、

個のレベルに落ちたときには、必ず行き詰まってしまいます。

無力感が生まれます。

だから、まず自分が大事なんだよという、自分からの時計回りなんです。

自分のコップの水が増えると、

まわり人たちのコップの水も増えるということでもあります。

 

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