大人ファースト社会とは、どういうことなのでしょう。
『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』(石井光太著 新潮社)
に書かれていることを、引用ではなく、私なりに抜き出してみます。
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今社会全体が、子どもたちが自由に振舞うことを厳しく禁じている時代。
- 子どもの声は騒音になってしまった。
- 子どもが自由にしていると親が責められる。「なんでおとなしくさせない」「なんでちゃんと管理しない」と言われる。
- ベランダのこいのぼりは禁止というマンションもあるという。なんと、はためく音が迷惑だというのだ。
だから、今の保護者はとても周りにとても気を遣っている。
(中略)
外で子どもを自由にさせると、子どもだけでなく、
それを許している親まで批判される。
子どもの自分勝手を放置しているとみなされてしまう。
それでそそくさと、子どもを家に連れて帰るのですが、家は狭いし、
一人っ子や二人きょうだいが多いので、結局はゲームをやらせるだけとか、
スマホで動画を見せるだけとなりがちとなる。
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スマホ育児の裏には、そういう事情があったわけです。
スマホって、やらされ感満載です。
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ゲームは大企業が膨大な投資をして、仕様を決めたエンタテーメントであり、
一見能動的なように見えて、
実は大人の目論見通りのことをやっているにすぎない。
しかも、それをしている間は、脳内に大量ドーパミンが放出されて、
リアルでは味わえないような興奮状態になる。
そうした体験を毎日何時間もしていれば、感覚麻痺に陥って、
小さな刺激では物足りなくなるものも無理はない。
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家でスマホやゲームばかりしていると、困ったことになります。
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最近の子どもたちは、物を嚙んで飲み込む力がとても弱い。
4歳児が皮をむいたぶどうを飲み込んで死亡するとか、
同じく4歳児が節分の豆を喉に詰まれせて死亡するといった
誤嚥死亡事故が相次いでいる。
それだけ、保育園や幼稚園では、
咀嚼力や嚥下力の低下が深刻な問題になっている。
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ちゃんと歩けない子がいて、転んで頭を打ってしまうから、
保育園等でヘッドガードをしているという。
それは、ハイハイをしていないから、体幹が弱いから。
ハイハイをするには、子どもが自由に動き回れるだけの空間が必要。
親がつきっきりで安全確保することが必要。
それが難しいと、親は子どもの安全を考えて、
家でも外でもベルト付きのベビーチェアに座らせる。
これなら怪我をすることもないし、スマホを見せていれば静かになるので、
時間の余裕も生まれて楽だと考える。
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正直、そんなことがあるのだろうかと、私個人的にはにわかに信じられません。
私が、毎日接している小学校の放課後子ども教室にやってくる子たち、
矢川プラスにやってくる子たち、そして、私の孫娘からは想像できません。
一方、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の栗山進一教授らの論文
で、「1歳児のスクリーンタイム」の調査データがあり、
これまた、信じがたい数字が載っています。
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1時間未満 48.5%
1~2時間 29.5%
2~4時間 17.9%
4時間以上 4.1%
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これが1歳児のスクリーンタイムというわけです。
昭和の人間からすると、いかに世の中が育児に冷たいと言っても、
こんな状況でよいのか!
そう思えて仕方がありません。
最近、父親の育児休暇がもてはやされていますが、
そこには、ちょっとした落とし穴があるようです。
それは、子どもにスマホを長時間見せるのは、
母親よりも父親が多いということのようなのです。
どうしてよいのかわからないので、
とりあえずスマホを見せていれば、大人しくしてくれるから、なのでしょう。
いろんなことが絡み合っていますね。
ただ、ここに書かれていることは、実際にそんなことがあるのか?
私には、信じられません。
なぜなら、子どもの声が騒音だという大人にまだ会ったことがないからです。
つづく。
写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
手元にあった写真を適当に貼っています。