【学びの散歩道】スマホの時代を生きる

 

『スマホ時代の哲学』(谷川嘉浩著 ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この本は、ちゃんと読んだわけではありません。

著名な哲学者が何を言っているのかなどは、面白くないし、

小難しすぎるので、すっ飛ばし、興味のありそうなところだけ読みました。

読んだ中に、興味深いところがありました。

 

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インターネットでは、

広告や利用者の囲い込みなどをベースに成り立っているビジネスが多い。

そういう環境で成り立つ経済をアテンションエコノミーという。

あらゆる人間やイベント、商品などが、

アテンションを奪うことに最適化していて、

それらが私たちの注意を奪い合うだけでなく、

私たち自身もSNSの発信を通して、

そういった注意を奪い合う競争に参加している。

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スマホを見ているときはそういう状態なのかもしれません。

しかし、スマホを見ているときだけ、

アテンションを失っているのではなさそうです。

 

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スマホを通じて注意を分散することになれた私たちは、

スマホを使っていないときでさえ、

気もそぞろで対面のやりとりをしているらしい。

 

いくつかの研究が示唆するところでは、スマホを触っていなくても、

そこにはスマホがあるという事実が、

対面の会話に影響を与えている可能性がある。

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というのです。

昨日のブログ【学びの散歩道】スマホの存在と子どもの将来への危惧

で触れたことと同じことが書かれていると思いました。

 

なぜ人は、スマホを使いすぎるのでしょうか?

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退屈に耐え切れず、何か刺激やコミュニケーションを求めてしまう。

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それによって、どんなことが起こるのでしょう?

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  • 孤独が失われ(かけてい)る。
  • 自分自身と過ごすことができない。

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ハンナ・アーレント(哲学者)が「一人であること」を3つに分類しています。

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  1. 孤立(isolation): 他の人とのつながりが立たれた状態
  2. 孤独(solitude): 沈黙のうちに自らとともにあるという存在のあり方
  3. 寂しさ(loneliness): 他の人と一緒にいるときに最もはっきりとあらわれてくる。

-スマホという新しいメディアは「寂しさ」からくる「つながりたい」

「退屈を埋めたい」などと言うニーズにうまく対応する。

しかし、寂しさからくるマルチタスキングは、

いろいろな刺激の断片を矢継ぎ早に与えるものではないので、

一つ一つのタスクへの没頭がない。

そうすると、ふとした瞬間に立ち止まったとき、

「あれは何だったんだ」とむなしくなったり、

つながりの希薄さ(つながっていても一人ぼっち)を

実感したりすることになる。

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幸いにもというべきか、私にはそういう感覚がないので、

よくわからないのですが、そんなことなのかもしれません。

これは、「中毒」と言い換えてもよいものだと思います。

では、どうしたらよいのでしょうか?

 

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孤独を楽しむことが大事。

そのための「孤独のつくり方」は趣味をもつこと。

「趣味」とは、「何かをつくったり、育てたりする活動」。

社会生活などとは切り離された自治の領域において、

人に見られたり見せたりするためではなく、

自分なりに試行錯誤しながら何かを作り上げること。

趣味で作ったものをメルカリで売るとか、SNSに投稿するとか、

流行に乗って3か月くらいやるとか、そういったものではない。

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自分の趣味を、SNSで発信してもいいのではと、

それ自体が目的でなければ、それをやっている私には思えます。

たぶん、ここで言っている趣味をつくることは、

スマホから離れましょうということだと思われます。

作ったり、育てたりする活動は、まず自分を豊かにします。

自分が豊かになれば、特に何をしなくても、

リアルにつながる人たちを豊かにするのだと思います。

結果的に、自分の趣味をもつことが、

人との関係性をよくしていくのだろうと思います。

「きりがみアート」をやっていて、私自身が感じることです。

 

趣味をもたなければとなると、かえってストレスになるので、

要は、手を動かす、体を動かすことをするというのが大事だといえます。

ゆっくりと家事をすると、

デフォルトモードネットワークが活性化するような感じがします。

 

そんなことを思いながら朝の時間を過ごし、

このあと本をもってお仕事に行ってきます。