【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(24) 子どもの底力

前のブログに、

「子どもたちは勝手に伸びるんだよ」というイモニイの言葉を書きました。

そのあと、子どもの底力を示す本を読みました。

 

『あなたが世界を変える日』(セヴァン・カリス=スズキ 学陽書房)

この本は2021年6月に読んで、このブログにも書いていました。

【学び考える時間】子どもたちから教えられること - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)


最近読んだ本に、関連する記述があったので、改めて読んでみました。

上のブログに書いていない部分を引用します。

 

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私の世代には夢があります。

いつか野生の動物たちの群れや、

たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。

でも、私の子どもたちの世代は、

もうそんな夢をもつこともできなくなるのではないか?

あなたたちは、私くらいの歳のときに、

そんなことを心配したことがありますか。

こんな大変なことが、ものすごいいきおいで起こっているのに、

私たち人間ときたら、まるで、

まだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。

まだ、子どもの私たちは、この危機を救うのになにをしたらいいのか、

はっきりわかりません。

でも、あなたたち大人にも知ってほしいんです。

あなたたちも、よい解決法をもっていないということを。

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もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、

貧しさと環境問題を解決するために使えば、

この地球はすばらしい星になるでしょう。

私はまだ子どもだけど、そのことを知っています。

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そして、セヴァン・カリス=スズキは大人に問いかけます、

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おききしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。

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彼女のスピーチは、こんな言葉で始まっています。

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今日の私の話には、ウラもオモテもありません。

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そして、こう終わっています。

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あなたたちはいつも、私たちを愛していると言います。

しかし、言わせてください。

もしそのことばがほんとうなら、どうか、

ほんとうだということを行動でしめしてください。

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最後に、訳者のあとがきがありました。

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切りすぎて森がなくなり、とりすぎて魚が少なくなり、

空気や土や水がいっそう汚れ、地球温暖化が進み、

南極や北極の氷がとてけて海面が高くなり、動植物が死にたえ、

洪水や日でりや水不足が深刻になって争いがふえ、

貧しい人々はもっと貧しくなり、食べ物が不足して飢える人がふえる。

それもこれも、みんな経済のためには、豊かさのためには、便利さのためには、

お父さんの仕事のためには、家族の生活のためには、

だから、子どものためには、しかたないことだったし、これからもしかたない。

おとなであるということは、そんなあきらめをもつようになること、

そしてもうそれ以上考えないようにすること。

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『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』で書いた若者の姿は、

大人からしたら情けないと映ります。

しかし、それは、何も考えずに、

社会の流れに乗っかってきた大人たちが生み出したものといえます。

 

ゼヴァン・カリス=スズキのスピーチは、

もう30年以上も前、

1992年11月のリオ・デ・ジャネイロの地球環境サミットのことです。

そして、30年以上経たいま、地球環境はよくなるどころか悪化しています。

異常気象が日常化しつつあり、世界で対立・紛争・戦争が続き、

いつ果てるかもしれない状況にあるように感じます。

誰も、解決法を知らないのですから。

そして、本気で取り組んでいるようには見えないからです。

 

私自身、何もできないという無力感があります。

そんな私は、子どもたちに委ねるほかない、

だから、子どもたちが、のびのび、すくすく育って、

主体的に行動できるように環境を整えるしかないと思うのです。

安易かもしれないけど、私ができることはそれしかないように思えます。

いや、そうしたいと思っています。


『田坂塾大学 風の対話「自己投資の戦略」

第3回「考える力」から「感じる力」へ』

で、田坂広志さんかこんなことを言われています。

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能力を引き出すのではなく、能力は湧き上がってくるもの。

そのためには、能力が湧き上がってくるのを妨げている重しを、

取り除いてあげることが必要。

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世間一般の教育についての誤解が、往々にして、子どもの能力に、

どんどん重い石を載せていくことになっていないだろうか。

これまで学んできたことから、私には、そう思えてしかたがありません。

 

余談ですが、こんな本を読みました。

生活保護の女子と、親から偏差値アップを強要されている男子の物語です。

お金のない人、お金のある人、その両方の子どもが、

それぞれ全く違ったことで苦しんでいるのがいまの時代でしょう。

最近ドラマ化されたようですが、とてもいい物語でした。

むこう岸 - NHK

ここでも、子どもたちの底力を感じます。

子どもの底力が発揮されるためには、重しをとってくれる大人、

子どもたちの力を信じる大人がいてこそなのです。

 

セヴァン・カリス=スズキのスピーチの本を読んで、

このブログを書き始めたのですが、

書いていくと、先日届いた田坂塾の便りや、

一昨日読んだ「むこう岸」にもつながりを感じる長いお散歩となりました。