【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(42) なんちゃって子どもの権利保障①

『子ども若者抑圧社会 日本』(室橋裕貴著 光文社新書)

から、たくさん引用します。

 

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文部省は「児童の権利に関する条約」について通知を発出(1994.5.20)

「本条約第12条1の意見を表明する権利については、

表明された児童の意見がその年齢や成熟の度合いによって、

相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、

必ず反映させるということまでを求めているのではないこと」を記載し、

暗に子どもの権利条約を批准しても、大きな変化がないことを示した。

これにより、先生が決めて児童生徒は従う、

というパターナリズムの構造が変わらないままとなった。

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158番目という遅い批准は、批准は避けられない、

しかし、抜け道をどう構築するかを考えていたのではないか、

そう勘ぐられてもしかたがないような内容です。

 

「子どもの権利条約」は。真に子どもの権利を守るものなのです。

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子どもは、大人から保護や指導を受けるだけの存在ではなく、

独立した人格と尊厳を持ち、

自己決定しながら成長していくことができる存在である。

とはいえ、子どもが成長するためには、大人の支援が必要である。

そのため、子どもの権利条約には、子どもの健やかな成長のために必要な、

保護される権利、配慮される権利等についても定められている、

 

中でも、子どもの権利を尊重して実践していくために、

4つの原則が重要だとされている。

  1. 生命、生存及び発達に対する権利: すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活の支援などを受けることが保障される。
  2. 子どもの意見の尊重: 子どもは自分に関係ある事柄について、自由に意見を表すことができ、大人はその意見を、子どもの発達に応じて十分に考慮する。
  3. 子どもの最善の利益: 子どもに関することが決められ、行われるときは、「その子どもにとって最もよいことは何であるか」を第一に考える。
  4. 差別の禁止: すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などいかなる理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障される。

よく誤解されがちな点を補足すると、子どもの意見を尊重すること

= すべての意見をそのまま受け入れることではない。

もちろん子どもの意見でも不十分な点はある。

そのときは、より適切な形、

子どもの最善の利益につながる意思決定をする必要がある。

ただ、このときに重要なのが、

きちんと反映されなかった理由を伝えることであり、

対等な立場で意見を交わすことである。

 

また、子どもの権利の考え方では、

0歳からすべての子どもが権利主体者であるとされている。

つまり、笑ったり、泣いているのも、

意見表明の一種であり、幼い子どもの意見表明保障のために、

その意思を汲み取る力が保護者に求められている。

 

子どもの権利条約は、前文と54条からなり、例えば第31条には、

その年齢に適した遊びやレクリエーション活動に参加する権利、

休憩及び余暇の権利が明記されている。

ただ日本の現状では、本来その役割である部活動のもと、

勝利主義になってしまっており、子どもの意思が尊重されることは少なく、

能力主義の子どもが序列化されている。

また、受験勉強や部活で忙しすぎるなど、

十分な休みや余暇の時間を取れておらず、

様々な点で、子どもの権利が適切に保障されていない。

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何事も、個は矮小化され、全体に重きが置かれるのは、

正直、日本の古き悪しき因習だと思います。

 

「子どもの権利条約」は、骨抜きです。

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「通報制度を規定する選択議定書」で、個人通報制度について定めている。

これによって人権侵害を受けた個人かその代理人が、

国連の条約機関に通報し、仮に個人侵害が認められれば、

日本政府に対して是正意を救済を求める勧告を出すことができる。

しかし、日本は個人通報制度に参加していないため、

人権侵害があっても国連に対し、是正救済を求めにくい環境になっている。

また、個人の権利を救済するための仕組みである「国内人権機関」も

日本には存在しない。

「国内人権機関」とは、あらゆる人権侵害からの救済と

人権保障を促進することを目的とした国の機関である。

政府から独立し、人々の人権が侵害された場合に調査を行い、

救済する役割などを担う。

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批准しただけで、必要なことは何もやっていなかったのです。

ただやった、やっているということを、体よく示して、

内実を語らない、いつもの手口ですね。

やらないための抜け道をつくrのが政治?

それによって、子どもの人権は保障されないまま、今日に至っています。

 

つづく

 

写真に意味はありませんが、

リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、

手元にあった写真を適当に貼っています。