『子ども若者抑圧社会 日本』(室橋裕貴著 光文社新書)
から、たくさん引用します。
-----------------------------------------
文部省は「児童の権利に関する条約」について通知を発出(1994.5.20)
「本条約第12条1の意見を表明する権利については、
表明された児童の意見がその年齢や成熟の度合いによって、
相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、
必ず反映させるということまでを求めているのではないこと」を記載し、
暗に子どもの権利条約を批准しても、大きな変化がないことを示した。
これにより、先生が決めて児童生徒は従う、
というパターナリズムの構造が変わらないままとなった。
]---------------------------------------
158番目という遅い批准は、批准は避けられない、
しかし、抜け道をどう構築するかを考えていたのではないか、
そう勘ぐられてもしかたがないような内容です。
「子どもの権利条約」は。真に子どもの権利を守るものなのです。
----------------------------------------
子どもは、大人から保護や指導を受けるだけの存在ではなく、
独立した人格と尊厳を持ち、
自己決定しながら成長していくことができる存在である。
とはいえ、子どもが成長するためには、大人の支援が必要である。
そのため、子どもの権利条約には、子どもの健やかな成長のために必要な、
保護される権利、配慮される権利等についても定められている、
中でも、子どもの権利を尊重して実践していくために、
4つの原則が重要だとされている。
- 生命、生存及び発達に対する権利: すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活の支援などを受けることが保障される。
- 子どもの意見の尊重: 子どもは自分に関係ある事柄について、自由に意見を表すことができ、大人はその意見を、子どもの発達に応じて十分に考慮する。
- 子どもの最善の利益: 子どもに関することが決められ、行われるときは、「その子どもにとって最もよいことは何であるか」を第一に考える。
- 差別の禁止: すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などいかなる理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障される。
よく誤解されがちな点を補足すると、子どもの意見を尊重すること
= すべての意見をそのまま受け入れることではない。
もちろん子どもの意見でも不十分な点はある。
そのときは、より適切な形、
子どもの最善の利益につながる意思決定をする必要がある。
ただ、このときに重要なのが、
きちんと反映されなかった理由を伝えることであり、
対等な立場で意見を交わすことである。
また、子どもの権利の考え方では、
0歳からすべての子どもが権利主体者であるとされている。
つまり、笑ったり、泣いているのも、
意見表明の一種であり、幼い子どもの意見表明保障のために、
その意思を汲み取る力が保護者に求められている。
子どもの権利条約は、前文と54条からなり、例えば第31条には、
その年齢に適した遊びやレクリエーション活動に参加する権利、
休憩及び余暇の権利が明記されている。
ただ日本の現状では、本来その役割である部活動のもと、
勝利主義になってしまっており、子どもの意思が尊重されることは少なく、
能力主義の子どもが序列化されている。
また、受験勉強や部活で忙しすぎるなど、
十分な休みや余暇の時間を取れておらず、
様々な点で、子どもの権利が適切に保障されていない。
--------------------------------------
何事も、個は矮小化され、全体に重きが置かれるのは、
正直、日本の古き悪しき因習だと思います。
「子どもの権利条約」は、骨抜きです。
-------------------------------------
「通報制度を規定する選択議定書」で、個人通報制度について定めている。
これによって人権侵害を受けた個人かその代理人が、
国連の条約機関に通報し、仮に個人侵害が認められれば、
日本政府に対して是正意を救済を求める勧告を出すことができる。
しかし、日本は個人通報制度に参加していないため、
人権侵害があっても国連に対し、是正救済を求めにくい環境になっている。
また、個人の権利を救済するための仕組みである「国内人権機関」も
日本には存在しない。
「国内人権機関」とは、あらゆる人権侵害からの救済と
人権保障を促進することを目的とした国の機関である。
政府から独立し、人々の人権が侵害された場合に調査を行い、
救済する役割などを担う。
---------------------------------------
批准しただけで、必要なことは何もやっていなかったのです。
ただやった、やっているということを、体よく示して、
内実を語らない、いつもの手口ですね。
やらないための抜け道をつくrのが政治?
それによって、子どもの人権は保障されないまま、今日に至っています。
つづく
写真に意味はありませんが、
リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、
手元にあった写真を適当に貼っています。