【学びの散歩道】子どもたちの将来は大丈夫なのだろうか?(40) ゆがんだ子ども像

前回触れたユニセフの調査で、子どもの幸福度が低いことについては、

このブログでも何度か触れてきています。

『子ども若者抑圧社会 日本』(室橋裕貴著 光文社新書)では、

このように表現されています。

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こうした実態は、子どもの個性を尊重しない、

画一的な義務教育に対する子どもの悲鳴であり、

息苦しさを表しているといえよう。

みんなが同じペースで同じことを学ぶのではなく、

子ども主体のカリキュラムに変更するなど、

子どもの権利を軸に教育体制を見直す必要がある。

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学校の問題だけではないと思いますが、...。

 

少し寄り道します。

 

味わいことばノート 119 & 120 - Sol Cafe 『幸せの栖(すみか)』 (hatenablog.com)

昨日書いた「味わいことばノート 120」を読んだとき、

私の中から出てきたのは、

子と親の関係、子どもたちと大人たちの関係でした。

決して優秀である必要はありませんが、

人としての「高み」にある親がいたとします。

そんな親を毎日のように見て育った子は、

無意識に、人としての「高み」を目指して歩んでいくのでしょう。

 

そうならずに、子どもたちが困った状況になっているとしたら、

それは、子どもたちの問題というより、

大人の問題であり、教育の仕組みを含む社会の問題だと思えます。

 

『子ども若者抑圧社会 日本』(室橋裕貴著 光文社新書)によると

こんな悲劇が起こります。

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児童虐待の相談対応件数も21万件超と過去最多となっている。

その対応でも、大人の視点が優先されることは珍しくない。

例えば、2019年1月24日に千葉県野田市で発生した、

小4(10歳)女児が両親より継続的な虐待を受け、

自宅浴室で死亡したのだ小4児童虐待事件では、

教育関係者が父親からの虐待を訴える子どもの書いたアンケートを

父親に見せてしまったように、

児童相談所や学校の先生が親の意向を優先してしまい、

子どもの生命を危険に晒し、子ども自身が守られないケースは多くある。

 

こうした事態を改善し、子ども真ん中の社会をつくるために、

こども基本法は重要な法律である。

ただ、こども基本法は、2023年3月日本財団が実施した

「子ども1万人意識調査」によると、

こども基本法について60%以上が「聞いたことがない」と回答しており、

学校現場で教えるなど、教育内容の見直しが欠かせない。

 

そして何より大人がこれまでの認識を大きく変える必要がある。

これまで日本社会では、子どもは保護の対象とのみ捉えられ、

十分に意思を尊重されてこなかった。

このパターナりスティック

(本人の利益のために大人などの権力者が代わりに決めること)

な考え方を改め、子どもの権利の主体ととらえることが重要になる。

 

これまでの「子ども像」は、子どもは「弱者」だり「未熟」、

だから、保護対象であり、支援対象となっていた。

もちろん子どもは成長過程であり、その側面もあるが、

同時に社会の一員であり、自分の意志で行動できる個人でもある。

そのため、なんでも大人が決めるのではなく、

子どもの自己決定権や意見表明権を尊重し、委ねることが、

大人には求められる。

そうして主体的に社会に関わることが、大人には求められる。

そうして主体的に社会と関わることで、

現状、日本が低い結果となっている社会参加の意欲向上、

自己肯定何の向上などにもつながるのである。

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子どもは親の所有物でもなければ、何もできない未熟者でもありません。

実際そう思っている人は少ないでしょうが、

世間の風潮として、それを感じてしまいます。

実際、「子どもの権利」「こども基本法」を

積極的に周知徹底させる姿勢が全く見えてきません。

 

つづく

 

写真に意味はありませんが、

リンクしてシェアしたときに、写真があった方が見栄えがいいので、

手元にあった写真を適当に貼っています。