『なぜかいじめに巻き込まれる子どもたち』(川上敬二郎著 ポプラ新書)
から、いくつものメモを取っています。
「いじめ重大事態」件数過去最多を更新!
となっていますが、昔もいじめはあったはずなのに、
なぜ、そんな状況になっているのか、よくわかりません。
田舎生まれの私は、私自身が鈍感だったからかもしれませんが、
「いじめ」というものの存在があったとは、思えないからです。
この本ではこうなっています。
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日本では年間を通じて、ほぼ毎日、
1日に約2.5件のペースでいじめの重大事態が新たに発覚。
実態はもっと多い可能性があるが、発覚しただけでも、5年前のほぼ2倍。
2022年の小中高の自殺者は514人、統計がある1980年以降で最多。
いじめの認知件数も、小中校などで、2022年度68万1948件、
前年度より1割増加、過去最大を更新。
いじめの認知件数は、「見逃しを防いだかもしれない」という意味で、
むしろ増えてことを評価する声もある。
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問題はいじめの総件数ではなく、重大事態の件数です。
2020年「ユニセフレポートカード16」の状況がこうなっています。
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日本の子どもたちの「身体的健康」は、先進国38か国中1位。
「精神的幸福度」は、ワースト2位の37位。
その理由は、この二つ。
- 「生活に満足している」と答えた子どもの割合が最も低い国の一つ
- 自殺率の高さ
「スキル」も38か国中27位。
- 「学力スキル」:数学・読解力で基礎的習熟度に達している15歳の割合は、トップ5
- 「社会的スキル」:ワースト2位 すぐに友達ができるが、チリに次いで2番目に低い。
レポートの「日本へのメッセージ」
「まず、子どもや若者のメンタルヘルスのサービスの提供を
真剣に考えなくてはなりません。
精神的健康も健康の一部であり、
身体的健康と同じくらい重要なことと考えることが大切です」
「何かを変えるときに、
人々の意識を変えることから始めなければならないということです。
例えば、いじめは昔の考えでは大したことではなかったのですが、
今の考えでは、長期的に人生に影を落とす深刻な問題です。
意識が変われば、それが保護者、学校を含め、
人々の行動変容につながっていくと思います」
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この本には詳しく書かれていないので、
このレポートが何を意味するのか、よく分かりません。
調べてみると、この二つの情報がありました。
日本の子ども、幸福度調査「世界ワースト2位」隠れた真の問題点とは? 今、考えたい「学力偏重」と「高校生以上の貧困」 | 東洋経済education×ICT (toyokeizai.net)
子どもの精神的幸福度ワースト2位!ウェルビーイングとは?【前半】 | Teach For Japan
前者でみると、対象が15歳ということがわかります。
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「レポートカード16」では、「生活満足度が高い15歳の割合」と
「15〜19歳の自殺率」という2つの指標を基に
精神的幸福度の順位づけがなされています。
ただし、これは文化的に差が出るところで、
生活水準が低くても多くの子どもがハッピーだと答える国もありますし、
そこそこの生活水準の子どもが満足していないと答えていたりします。
日本の場合、「生活満足度が高い15歳の割合」は、全体の62%、
多くの子どもが満足しているわけではありませんが、
一方で40%近い子どもが満足していると答えています。
しかし、この生活満足度以上に問題だと思うのが、
「15〜19歳の自殺率」の高さです。
日本では子どものうつも多い。
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日本人は、1~5までの選択肢があったときには、
1と5は選ばないという特性があるので、
実態より低くなる傾向があると思われます。
生活満足度のランキングより、自殺率とうつの多さがポイントですね。
「いじめ」は、多かれ少なかれ、どこにでもあるものでしょう。
この状況を見る限り、今の日本の問題は、
「いじめ」によるダメージの大きさにあるのではないかと思います。
さらに、こう続きます。
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「レポートカード16」のデータではありませんが、
この年齢の子どもの生活の満足度については、
自己肯定感や友達関係が大きく関係します。
そして、自己肯定感が学校の成績に大きく左右されるのは
日本的な特徴ともいえます。
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格差や貧困の問題が、かなり重要なポイントを占めていそうです。
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学力や肥満などは、親の所得と関係があることがわかっています。
いじめや不登校も、親の所得が低いほど増える傾向にあります。
そこからヤングケアラーや、児童虐待という問題が起こる可能性も高くなります。
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後者のページには、幸福度の低いのは、
3つの理由がありそうだと書かれています。
- いじめ
- 学校への帰属意識
- 友達作りの容易さ
私が勝手に思っていることがあります。
- 学校への帰属意識は、学校のあり方が限定的だということ。
- 友だちづくりの容易さについては、友だちがいないのはダメなのか、友だちが多い方がいいという価値観はそれでいいのか、そもそも、友だちとは何か、などなど、難しい問題があります。
- いじめに対する耐性が低いということがあるのではないかということ。これは本人の問題だけでなく、周囲の問題だと思われます。
1.については、これまで何度も書いてきましたが、
学校の多様性を拡大し、選択肢を増やすことが大事です。
2.3.については、興味深い本を読んだので、
もう少し先になりますが、散歩道を歩いてみたいと思います。
一方、身体的健康が1位となっていましたが、後者のページでは2位でした。
どちらが正しのかわかりませんが、それにしても、高いですね。
そんなに健康なのでしょうか?
子どもの貧困が7人に一人から6人に一人と言われている中で、
なぜこんなにも健康なのでしょうか?
その一つは、「給食」び充実なのではないかと思われます。
つづく